摂食障害の4歳男児とその母親(画像は『Manchester Evening News 2021年11月10日付「‘He ate half a book’: Mum hits out at cruel jibes over toddler’s rare condition which causes him to eat nappies and furniture」(Image: CATERS NEWS)』のスクリーンショット)

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幼い子を育てていると「何でも口の中に入れてしまう」という悩みを持つ親も少なくない。だがイギリス在住のある男児は、栄養価のないものを食べてしまう摂食障害のひとつ「ピカ(PICA、異食症)」と診断された。4歳になる男児は2年ほど前からティッシュペーパーを口にするようになり、今ではおむつや本、家具などあらゆるものを食べるようになってしまったという。『Manchester Evening News』『The Mirror』などが伝えている。

英キングストン・アポン・ハル在住のウィリアム・バックリー君(William Buckley、4)は、2年ほど前から食べ物以外のものを口にしはじめ、4歳になった現在は「ピカ(PICA、異食症)」と診断されている。「ピカ」とは、髪の毛や土、チョークなど栄養価のないものを無性に食べたくなるという珍しい摂食障害だ。

ウィリアム君は2歳の頃からティッシュペーパーを食べはじめ、今ではおむつやおもちゃ、ベッドなどの家具まで食べるようになってしまった。

そんな息子の症状について母親のマリーさん(Marie、32)は、このように明かしている。

「ピカは栄養価のないものを食べることに魅力を感じる病気です。子供の診断をするのはとても難しくて、多くの専門家は成長とともに改善していくものだと話します。ウィリアムは以前からおむつを食べようとしていたわけではなく、ここ3か月から半年の間に新たに生じた問題です。今では毎日のようにおむつを食べようとしますが、特に夜、寝室にいる時がひどいです。」

「他にも自分の部屋で間違った棚に置かれていた本を半分も食べたり、マットレスに敷いているベッドパッド、カーペット、ぬいぐるみなどのソフトトイ、ベビーカーのレインカバーなどふわふわしているものは何でも食べるし、髪の毛も食べます。なので私はウィリアムの部屋から本やソフトトイをすべて取り除きました。日中はかまったりして気をそらすことができますが、夜は難しいですね。」

ピカの他にも自閉症スペクトラム(ASD)、全般的発達遅滞(GDD)、感覚処理障害(SPD)を持つウィリアム君は現在、プレスクール(幼稚園)に通っており、ニーズに合った学校が見つかるのを待っているそうだ。

ピカについてより多くの人に知ってもらいたいと願うマリーさんは、こう語る。

「ウィリアムの症状に対する認識の低さは衝撃的なものです。摂食障害に対する人々のコメントには愕然としますし、専門家や組織ですらお互いに話し合いをもつことはなく、アドバイスが矛盾していることがあるのです。私はFacebookのサポートグループにお世話になっていますが、それがなかったら今ほど多くのことを知らなかったでしょう。ウィリアムの障害を隠したところで、それがなくなるわけではありません。より多くの人にこの隠れた障害の実態を知ってもらうために、現実を明かそうと思ったのです。」

なお摂食障害の慈善団体「ビート(BEAT)」では、ピカの診断基準について次のように説明している。

「ピカの診断を受けるためには、その行動が少なくとも1か月間続いていること、文化的慣習の一部ではないこと、発達上不適切であることが必要です。赤ちゃんが物を口にすることはよくあることで、本来食べるべきではないものを誤って食べてしまう可能性があるため、一般的に2歳以下の子供には診断されません。ピカは性別や年齢を問わずに発症しますが、子供に発症しやすく他の摂食障害などと併発することもあります。」

画像は『Manchester Evening News 2021年11月10日付「‘He ate half a book’: Mum hits out at cruel jibes over toddler’s rare condition which causes him to eat nappies and furniture」(Image: CATERS NEWS)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 上川華子)