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オムロン株式会社は、台湾の協調ロボットメーカー テックマン・ロボット社(Techman Robot Inc.)への出資を合意したと2021年10月25日に発表し、翌26日に記者会見を行った。出資率は約10%。出資の完了は2021年12月を予定する。出資額は非公開。



これらの課題に対してオムロンが提唱している独自の価値創造コンセプトが「i-Automation!」である。intelligent(知能化)、integrated(制御進化)、interactive(人と機械の協調)の「3つのi」で、製造現場を変えることを提案している。人と協調する賢いロボットが他の機器と連携しながら走り回るような工場だ。特にオムロンは、各種制御機器やロボットとの連携を強みとしている。



会見ではダイレクトティーチング、安全性、リレーソケット挿入のデモが行われた。ダイレクトティーチすることでフローチャートが自動で生成され、掴んだり離したりといった操作をハンドに対して教えることもできる。従来の産業用ロボットではこのような簡単な作業についても専門家によるプログラミングが必要だった。また、人と接触した場合には安全に停止することができる。また、カメラが標準搭載されており、別の工程の作業にロボットを移設することも容易となっている。



ロボットを直接動かすだけでフローチャートが自動生成される

これまでの提携で多くのソリューションパッケージを生み出しているという。具体的にはマシンテンディング、パレタイジング、塗布、ネジしめ、研磨、バリ取りなどだ。もっとも多い用途は「工場内でのパレタイジング」とのこと。

●新たな協調ロボットを2023年に市場投入へ



協働ロボットの市場推移予想

オムロンとテックマンは今回の提携で新たなソリューションを生み出していきたいとしている。協働ロボット市場は今後2025年までの平均市場成長率25%で伸びると予想されている。

だが、さらに大きな成長余地が残されている。協調ロボットは安全性を重視しているため速度が遅い。このスピードの課題をクリアすればもっと成長すると考えられている。また、柔軟な業務内容変更に対応させるためには、現状よりもさらに、より簡単な操作が求められる。

辻永氏は「生産性と安全性の両立を実現できれば、新たな市場を創造できる。新たな市場を開拓するために新たなロボットを開発していきたい」と語った。産業用ロボットで築いた「統合コントローラー」のコンセプトを協調ロボットの世界にも持ち込み、安全性と生産性を両立し、同期しながら複雑な作業を行う世界を実現したいという。



統合コントローラーのコンセプトを協調ロボットに導入

具体的にはシステム全体とのすり合わせ制御を実現することで新たなアプリケーションを生み出すことを目指す。また、Oneツールで立ち上げ時間短縮を目指す。



安全性と生産性の両立を目指す

そして今後、2023年に新たな協調ロボットを市場へ投入し、2024年度にはロボット事業で600億円から700億円規模の売り上げ達成を目指す。



2024年度にはロボット事業で600億円から700億円規模の売り上げ達成を目指す

ロボットについては人と同じ作業ができることを目指すために、現状のおよそ2倍から3倍との速度を実現し、人と同じ速度で動作でき、かつ安全性を担保するようにする。他社に対する優位性については単体では簡易性を特徴とするが、「ロボット単体を販売するわけではなくアプリケーションとして販売する。周辺機器との組み合わせで幅と深さを広めていく。これは他社では実現できない方法だ」と語った。

なお、これまでの販売実績などの具体的な数字は開示されなかったが、工程に沿った多くのアプリケーションを生み出しているという。新しい協働ロボットの販売形態等はこれから詰めていく段階で、現在は未定。また、テックマンのロボットアームとオムロンの移動台車を組み合わせた「MoMa」については、システムインテグレーター各社に提案している段階とのことだった(ciRobotics社の事例などを参照 https://robotstart.info/2021/04/14/moriyama_mikata-no126.html)。

■動画:



(森山 和道)