政府は9日、新型コロナウイルスの緊急事態宣言について栃木県を含む19の都道府県で期限を9月30日までに延長することを決めました。これを受け福田 富一知事は県内全域への要請を継続したうえで往診の体制づくりといった自宅療養者への支援など追加対策を発表しました。

栃木県では全体の新規感染者の数は減少傾向にあるものの病床の使用率は50%を超え自宅療養者の数は高止まりの状態が続いています。栃木県を含む19の都道府県で緊急事態宣言の延長が決まり、県は、飲食店などへの時短要請といった緊急事態措置による要請を継続します。そして、県民には「通院」や「食料品の買い出し」など以外の「今すぐ必要ではない」外出自粛の徹底を引き続き強く求めます。

宣言延長の発表から一夜明けた10日午後5時ごろの宇都宮市中心部の様子です。行き交う人の姿はまばらでした。およそ20店舗の小型店舗が軒を連ねる宇都宮屋台横丁です。栃木県にまん延防止等重点措置が適用された8月8日から一部テイクアウトやランチに挑戦する店舗があるものの全ての店が原則、休業しています。

それからおよそ1カ月。店を開けられない苦しい状況が続き店主は、宣言の延長について「現在の感染者の数では仕方がない」と理解を示しながらも複雑な思いを抱いています。

宇都宮屋台横丁 あたしッ亭 鈴木泰子店主

宣言後に客が戻る保証はない。店を続けられるのかという店舗も。みんな精神的に不安になっている。

宇都宮屋台横丁を運営会社村上 村上 龍也社長

打てる策がないが、年末に向けては動き出さなきゃと考えている。

一方、県内有数の観光地鬼怒川温泉にあるホテルでは秋の行楽シーズンが目の前に迫る中で緊急事態宣言の延長期間を迎えます。

鬼怒川グランドホテル 夢の季 高久学支配人

ワクチン2回打った人が増えて10月11月の秋のトップシーズンの予約入り始めたところだった。今のところそんなにキャンセルは出ていないが心配。

こちらのホテルでは感染症対策をしながら営業を続ける方針です。

高久支配人部屋食のプランを充実させたい。

先月20日から始まった緊急事態の期間は、これまでで最長となる40日以上になります。「3回目で最後にしたい」試練の状況は続きます。

緊急事態宣言の延長を受けた県の医療提供体制や、ワクチン接種に関する新たな対応について改めて整理します。

はじめに、ワクチン接種の加速化に向けた取り組みです。新規感染者に占める若者の割合が増加していることから、とちぎ健康の森にあるとちぎワクチン接種センターと新たに設置する小山市の県南体育館、矢板市文化会館の大規模接種会場で9月と10月、18歳から39歳までの接種枠をおよそ1万2千人分設けこれまでの3割から4割に増やします。このほか、ワクチンを2回接種した若者に抽選で県産品などを贈る事業を行うということです。新たに6カ所設置する接種会場の予約は9月14日以降順次始まり詳細を県のウェブサイトで公開しています。

続いて、自宅療養についてです。県が、自宅療養者を往診する医療機関などを募集したところ37の医療機関と、33の訪問看護事業所から応募があったということです。今後速やかに各地域で往診ができるよう準備を進めていくとしています。

栃木県を含む19都道府県の緊急事態宣言の延長が発表された一方で政府は9日、対策本部の会合で行動制限緩和の基本方針を決定しました。そのポイントは次の通りです。

緊急事態宣言地域でも大学などの部活動や感染リスクの高い課外活動を原則可能とします。ワクチンを2回接種済みか陰性証明があれば、緊急事態宣言下でも都道府県をまたぐ移動の自粛要請の対象外とします。緊急事態宣言などの地域でも、感染対策の第三者認証を受けている飲食店を対象に営業時間や酒類提供の制限を緩和します。接種者は人数制限も緩和します。

こうした出口戦略の在り方について福田知事は9日の会見で期待を寄せながらも全体的な状況をみながら県として対応を判断したい考えを示しました。まずは、延長された緊急事態宣言の期間新規感染者の数減らし医療提供体制の負荷を抑えることが最優先です。