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アダルトビデオ(AV)の女優の顔を芸能人とすげ替えた、いわゆる「ディープフェイク」動画をつくり、インターネット上に投稿したなどとして、熊本市の男性が、著作権法違反と名誉毀損の罪に問われた事件。

東京地裁(楡井英夫裁判長)は9月2日、男性に対して、懲役2年、執行猶予3年、罰金100万円の有罪判決を言い渡した。

●芸能人2人の顔にすげ替えていた

男性は2019年12月〜2020年2月、AV制作会社の許可を得ずに、AVの女優の顔に女性芸能人2人の顔を合成加工して、その芸能人らがAVに出演したかのように見える複数の動画を自身が運営する会員制の有料サイトに掲載した。

不特定多数がそれらの動画を閲覧することができる状態にして、AV会社の著作権を侵害するとともに、芸能人らの名誉も傷つけたとして、著作権法違反と名誉毀損の罪に問われていた。

●ポイントは「精巧さ」

争点となったのは、これらの動画によって、芸能人2人がAVに出演したとして、社会的評価を害するに足りる事実を摘示したかどうか。弁護側は「精巧さの点で、芸能人2人がAVに出演したと誤信させるものではない」などと反論していた。

しかし、楡井裁判長は「顔と輪郭部分のつながり、顔の向き、表情の変化などはいずれも自然であり、精巧に作成されたもの」と評価。「『ディープフェイク』や『激似』などの見出しを付けても、視聴者が誤信するおそれは否定できない」などと判断した。