映画『竜とそばかすの姫』より
 - (C) 2021 スタジオ地図

写真拡大

 細田守監督の新作アニメーション映画『竜とそばかすの姫』(公開中)の冒頭に登場する歌姫ベルの歌唱シーン。深紅のドレスをまとったベルが巨大なクジラの上で圧巻のパフォーマンスを繰り広げるシーンだが、実はこのベルはモーションキャプチャで動いており、Mr.Children や一青窈のMVを手掛けたことのあるダンサー/振付家の康本雅子(やすもとまさこ)が本シーンに限らず、ベルの歌唱シーン全ての振付考案とモーションキャプチャを担当している。

 歌姫ベルは、主人公の女子高校生・内藤鈴(すず/声:中村佳穂)のインターネット上の仮想世界<U(ユー)>における、<As(アズ)>と呼ばれるアバター。現実世界では自分に自信がなく内気で、母親を亡くして以来歌うことができなくなっていたすずだが、<U>ではカリスマ的な歌姫ベルに変身。予想だにしなかった事態に戸惑うなか、ベルは<U>で皆に忌み嫌われる謎の存在“竜”(声:佐藤健)と出会う。

 冒頭に登場するベルの歌唱シーンは、細田監督が康本に依頼。コンテンポラリーダンス界の鬼才である康本が、ベルの心情を振付で表現した。細田監督が康本に依頼した理由は、「振付で体の動きをビシッと決めて、というようなものとちょっと違ってもっと心情的な振付。それをお願いできるのが康本さん。単にダンスの振付というだけじゃなく、エモーショナルな内面的なものを表現するための踊りなんです」とメイキング動画で明かしている。

 康本は、映画、舞台、コンサートやミュージックビデオの振付、演出などで活躍。これまで振付で関わってきたアーティストは桑田佳祐、ケツメイシ、一青窈、松尾スズキ、Mr.Children、ゆずらそうそうたる顔ぶれ。近年では、2019年の映画『WE ARE LITTLE ZOMBIES ウィーアーリトルゾンビーズ』に出演。小学生や女性を対象にしたワークショップも行っている。(編集部・石井百合子)