タイヤのチューブ入りとチューブレスはいったい何が違うのでしょうか?【教えてネモケン037】(教えてネモケン)
タイヤにはチューブ入りとチューブレスがありますよね。
スポークホイールが好みなのですが、パンクすると大変だと言われました。
この2種類の大きな違いはをどんなところにありますか?
ご存知のとおり、バイク用のタイヤには主にチューブ入りとチューブレスの2種類があります。
チューブ入りはホイールとタイヤに間にゴム製チューブを入れで空気圧を保ち、チューブレスはホイールリムとタイヤが密着することで空気圧を保つという構造上の違いがあるのです。
スポークホール(人によってはワイヤーホイールと呼ぶ)は、36~40本ものスポークがホイールリムに組み付けられていますが、1本1本のスポークがリムを貫通する構造となっており、この状態ではタイヤとリムが密閉されていないのです。
そのため鋳造や鍛造によって一体で成形されるアルミやマグネシウム製のキャストホイールのように、タイヤの空気圧を保つチューブが不要になる、チューブレスタイヤを装着できません。正確にはスポークホイールにもチューブレスタイヤを装着することはできるのですが、昔ながらのチューブが必要になるわけです。
昔ながらのスポークホイールには基本的にチューブが必要
現代においてもトラディショナルなスタイルのバイクに欠かせないスポークホイール。各スポークをホイールのリムに裏側に貫通させて組み付ける構造のため、そのままではリムとタイヤの気密性を保つことができず、タイヤの中にチューブを入れる必要がある。バイクのホイールは「スポークじゃなきゃ」というライダーもまだ多い!
パンクすると厄介なことにではチューブレスタイヤと比べて何が違うのでしょう? いろいろありますが、その中でもパンクしてしまったときの差に尽きるといえるでしょう。
たとえばクギが刺さってパンクしてしまったとき、チューブレスタイヤだと空気漏れを抑える柔らかいフィルムのような幕(インナーライナー)がタイヤの内側に貼ってあるため、クギが刺さった穴を塞ぐ効果で徐々にエアが抜けていきます。タイヤに違和感を感じて、空気が減っているのを発見してから。パンク修理できるガソリンスタンドやバイクショップまでゆっくり自走できる可能性を残しています。
対して、従来からのチューブが入った構造の場合、刺さったクギがチューブまで達して穴が開いた時点で、走行中であれば外側のタイヤとチューブの位置がズレ、空気漏れを起こしている穴が切り裂かれて一気に空気圧がなくなります。
バイクが走行中にフラついたり、停車したときいつもより動きが重くなるなどでパンクに気づいても、空気圧はまたたくまになくなり、走れる状態ではなくなります。
そこでゆっくりでも走ろうものなら、タイヤがリムから外れて最後には車体にはさまり、ホイールが回転できない状態に陥ります。
そうなってしまったら、修理に来てもらうか運んでもらうしか方法はありません。
脅かすわけではありませんが、ビッグバイクでこれが高速走行中に起きたら、停車する前に転倒しかねない危険な状態に陥ってしまいます。
パンクでも急激に空気が抜けないチューブレス
チューブレスタイヤの大きなメリットのひとつが、パンクした際に急激に空気が抜けにくいこと。短時間なら走行しての移動もでき、タイヤを車体から外さなければならないチューブ入りタイヤよりは応急処置も容易に行える
スポークホイールにチューブレスタイヤの組み合わせた車両もあるというわけで、単にデザイン的な意味や剛性や軽量化だけでなく、安全性に配慮してほとんどの大型スポーツバイクがキャストホイールにチューブレスタイヤを装着しているのです。
とはいえ、スポークホイールの魅力は、多くのライダーに支持されています。そこでBMWなどスポークを締め上げる先端部分をリムのセンター部分ではなく、リムにスポークを引っ掛ける箇所を新たに設ける構造を開発(クロススポーク)、スポークホイールでもリム部分で空気が密閉できるチューブレスタイヤが装着可能なバイクも存在します。
そうはいっても、パンクは滅多に起きることのない運頼みのようなものですし、その万一ばかり考えてスポークホイールを諦めるというのもどうかと思います。ですから。構造的にこういった違いがあるのを知っておくのと、走っていて違和感を覚えたらすぐにペースダウンして停車し、タイヤをチェックする心がけは忘れないでください。
ちなみにパンクして空気が抜けていると、トレッドを注意深く探しても分からないときがあります。そんな時はタイヤに耳を当てるとスーと漏れている音が聞こえるので覚えておくと良いでしょう。
スポークタイプでもチューブレス対応がある
チューブレス仕様のスポークホイールも存在する。その代表例が'80年代にBMWがR80/100GSシリーズに採用した“クロススポークホイール”。スポークをクロスさせながら逆サイドのリム表面に固定する構造とすることでチューブレス化を実現したもので、現在の最新のGSシリーズにも引き継がれている。同様の形式を持つホイールを採用する車両も増えている