ボロボロで価値が無さそうに見えるスプーンだが…(画像は『The Sun 2021年7月29日付「INSIDE SCOOP ‘Ikea-style’ spoon bought for 20p from car boot fair sells for staggering £2,375 at auction」(Credit: BNPS)』のスクリーンショット)

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車のトランクに不用品を入れて公園などで販売する「カー・ブート・セール」では、様々なものが格安で売られている。販売者にとってはただのガラクタに過ぎないかもしれないが、時にとんでもないお宝が眠っていることもある。今回20円で売られていた1本のスプーンの価値に気付いた男性がそれをオークションに出品すると、なんと29万円で落札されたという。いったいこのスプーンにどんな価値があったのか。『Mirror』などが詳細を伝えている。

このたび注目を浴びているスプーンは、英ロンドン市内のカー・ブート・セールで販売されていた。酸化したせいか黒ずみ、表面は凸凹の状態だ。さらに全体的に捻じれてしまっており、“スプーン”と呼ぶにはあまりにも不格好なものだった。

モダンなカトラリーと一緒に販売されていたが、その中でも古さがひと際目立っていたという。名前を明かしていない発見者の男性はこの20ペンス(約20円)で販売されていたスプーンを一目見て、「これは儲かるぞ」とすぐにその価値に気付いたそうだ。

男性はこのスプーンを購入した後、サマセット州クルーカーンにあるオークション会社「Lawrences Auctioneers」に連絡し、鑑定を依頼した。

鑑定を担当した銀の専門家アレックス・ブッチャーさん(Alex Butcher)は、このスプーンが13世紀後半に作られたものであると明かし、控えめに考えても500ポンド(約76000円)の価値があると見積もった。

この時点で購入価格を大きく上回る驚きの金額が提示され、発見者の男性はオークションに出品することを決めた。そして競売当日、アレックスさんの予想をはるかに超えた激しい競り合いが起こったという。価格はどんどん吊り上がり、20ペンスで買ったスプーンは1900ポンド(約29万円)という衝撃の価格で落札された。最終的には手数料などを加え、落札者は2375ポンド(約36万2000円)を支払ったそうだ。

長さ5インチ(約12.7センチ)、重さ0.35オンス(約9.9グラム)の小さなこのスプーンには先端にどんぐり型の装飾が施され、持ち手の部分が4面構造になっている特徴を持つ。これはローマ時代以降のヨーロッパで最古のスタイルであるという。

今回のスプーンと同様の特徴を持つスプーンが2013年、別のオークション会社で競売にかけられていた。こちらは1300年代前半にイングランドの王として在位していたエドワード2世が所持していたとされるスプーンで、22500ポンド(約340万円)で落札されている。川底で発見されたというこちらのスプーンの写真を見ると、今回のスプーンよりも状態が良いことは一目瞭然だ。

競売人は今回のスプーンを「ダメージがあり、歪んでいる」と商品状態として説明したそうだが、それでも高額だったことはそれなりの価値があるようだ。

鑑定したアレックスさんは「このスプーンは何世紀もの間、地中や川底で眠っていた状態と一致します」と明かしている。また「発見者の男性は銀製品の販売業者ではなく、趣味でカー・ブート・セールを訪れているそうですが、良い目を持っていますよね」と男性の持ち前のセンスを称賛した。

続けて「発見した男性は『娘と一緒にオンラインオークションの様子を見守っていて、とても信じられない』とメールをくれました。私もこの結果には大満足です。素晴らしいロマンチックなストーリーですよね」と喜びを明かした。

ちなみに発見者の男性は、このスプーンの売上金でイングランド東部にて優雅な休暇を過ごすことを計画しているそうだ。

画像は『The Sun 2021年7月29日付「INSIDE SCOOP ‘Ikea-style’ spoon bought for 20p from car boot fair sells for staggering £2,375 at auction」(Credit: BNPS)(Credit: Christie’s)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)