発売から60年弱で累計販売台数1億台という記録を打ち立てたホンダの原付、スーパーカブ。2021年にはスーパーカブを題材にしたアニメが放送され、人気が再燃しています。愛され続ける魅力は一体なんなのでしょうか。

アニメ効果で人気が再燃中のスーパーカブ

 2021年4月から6月まで放送されたアニメ『スーパーカブ』。その名のとおり、ホンダの二輪車「スーパーカブ」を題材に、両親も、友達も、お金や趣味も、将来の目標も持たない高校2年生の少女・小熊が、中古のスーパーカブを買ったことで生活が変わっていく……というストーリーのアニメです。


スーパーカブの現モデルのひとつ「スーパーカブ50」(画像:ホンダ)。

 ホンダが車両デザインの協力・監修を担当し、スーパーカブの描写力の高さが放送のたび話題に。SNSでは、アニメ視聴者たちによる「スーパーカブ欲しくなってきた」「カブ買う」などの書き込みも見られました。

発売から約60年かけて販売1億台を突破

 スーパーカブの初代モデル「スーパーカブC100」が誕生したのは1958(昭和33)年です。ホンダ創業者の本田宗一郎氏のもと、「誰でも扱えるバイク」を目指し開発されました。

「C100」は当時の小排気量車で主流だった2ストロークではなく4ストロークを採用、さらに高燃費で耐久性も高いという実用性が支持されます。日本の年間オートバイ総販売台数が30万台程度の時代に、発売から5か月で2万4千台、翌年には16万7千台も売れる爆発的なヒットとなりました。

 ちなみに、「C100」の価格は5万5000円。サラリーマンの初任給が8,500円程度という時代でした。

さまざまな用途に進化を遂げたスーパーカブ

 あわせて、スーパーカブは発売直後から海外展開が積極的に行われました。1959(昭和34)年のアメリカへの輸出、販売開始を皮切りに、これまで160か国以上で販売。世界中で支持されたことも、二輪車で世界初の販売台数1億台突破という記録を打ち立てる要因となりました。

 愛好家のあいだでは交流が盛んに行われ、持ち主を「カブ主」、いわゆるオフ会を「カブ主総会」と呼ぶことも。


初代モデルの発売前に掲載された新聞広告(画像:ホンダ)。

 そんな歴史あるスーパーカブ、車種のラインナップが多いことも特筆されます。現在も8車種が展開されています。

スーパーカブ110」と「スーパーカブ50」は最もベーシックな車種です。110は90ccモデルの後継として開発され、原付二種のグレードとして力強い走りが特徴です。「クロスカブ」は2013(平成25)年に初代モデルが発売されたカブシリーズ。アウトドアスタイルを取り入れているほか、シート高が低く抑えられ、小柄な女性でも扱いやすい一台となっています。

「CT125ハンターカブ」は2020年にラインナップに加わった新人カブです。初代スーパーカブ・C100を現代風にアレンジしたカブ系オフロードスタイリングで、エンジンも低回転・高トルク型にチューニング変更されています。また、シリーズ中で唯一、フロントのみならずリヤにもディスクブレーキが装備されているのも特徴です。

スーパーカブC125」は初代スーパーカブC100の誕生60周年を記念して、2018(平成30)年に発売されました。初代のスタイルやカラーをオマージュしたモデルとなっています。

 この「C125」の2022年モデルが2021年6月、欧州で発表されました。今回はボディデザインを踏襲しつつ、ニューカラーやダブルシートの印象を変更しています。カラーリングは、従来のカブシリーズにはなかったマットグレーを採用し、高級感が格段にアップしていることも印象的です。日本での発売時期は今年9月頃とされています。