JR御茶ノ水駅構内に設置された消毒液のディスペンサーに貼り出された紙の内容が、SNSを中心に話題になっています。同様の貼り紙が鉄道博物館にもあるようです。駅名標を模したこの貼り紙、どんな背景で生まれたのでしょうか。

本物とシンクロ率高い「駅名標」に込められた想い

 消毒液ならぬ「消毒駅」……駅構内に設置された噴霧器に貼り出された紙の内容が、SNSを中心に話題になっています。

 話題になっているのは、JR御茶ノ水駅(東京都千代田区)の聖橋口の改札内にある消毒液のディスペンサーです。設置台には、JR東日本の駅名標そっくりのデザインに「消毒駅」と書かれた紙が。前駅の駅名は「対策」、次の駅名は「習慣」とされ、駅ナンバリングや諸外国語標記、特定都区市内標記などもあり、完成度の高さが評判を呼んでいます。


駅名標を模した消毒液のPOP(画像:JR東日本)。

 この「消毒駅」が生まれた背景は何だったのでしょうか。

 JR東日本東京支社によると、設置されたのは2021年3月中旬ごろ。地元の商店会からの提供があったことから、「御茶ノ水」という街へ安心に訪れてほしいこと、またこの地域に点在する医療施設の医療従事者への応援として、駅の利用客と一丸となって感染予防に取り組みたいというふたつの想いで、この取り組みを始めたそうです。

「消毒駅」というアイデアは、御茶ノ水駅で勤務する3人の新入社員の発想から生まれたそうです。「少しでも楽しんでいただきたい」という想いから、実際にある中央線快速電車の御茶ノ水駅の駅ナンバリングを入れ、カラーリングを本物から忠実に再現したとのこと。高い完成度の裏にはやはりこだわりがあったようです。

「対策」「習慣」というふたつの「隣の駅」については、「新型コロナウイルスに打ち勝つためにお客さまと一体となって取り組みたい、また自粛疲れなどから少しでも明るい気分になれるように」という想いが込められていると、担当者は話します。

鉄道博物館には「中消毒駅」も!?

 一方、鉄道博物館(埼玉県さいたま市)のミュージアムショップ「TRAINIART(トレニアート)」には、さらにバリエーション豊かなものがあります。

 こちらも駅名標を模したデザインですが、基本形の「消毒駅(液)」のほか、店の入口の3か所にそれぞれ「北消毒駅(液)」「中消毒駅(液)」「南消毒駅(液)」の貼り紙があります。まるで同市内の「7つの浦和駅」(北浦和駅、中浦和駅、南浦和駅など)を彷彿と、来館者をニヤリとさせます。ちなみに、隣の駅は「手洗い」「うがい」、あるいは店名の「トレニアート」となっています。

 ショップを運営するJR東日本商事によると、この貼り紙は2020年夏頃から設置しているとのこと。家族での来館者が多いなか、子どもたちが消毒液を手につけるのを嫌がっている光景を目にし、何とか子どもたちに楽しんでもらい、心理的抵抗を少なくしたいとの想いから生まれたアイデアだそうです。