山田洋次組での経験を振り返った菅田将暉

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 俳優の菅田将暉29日、都内で行われた映画『キネマの神様』(8月6日公開)の完成報告会見に出席し、山田洋次監督との撮影エピソードや作品に対する思いを語った。この日は、菅田と山田監督とともに共演者の永野芽郁、野田洋次郎、寺島しのぶ、小林稔侍、宮本信子も来場した。なお、当初予定していた北川景子は欠席した。

 本作は、松竹映画100周年を記念して製作された本作は、『男はつらいよ』シリーズなどの山田監督が原田マハの小説の映画化し、映画の神様を信じ続けた男と、その家族に起こる奇跡の物語が紡がれる。菅田とともにダブル主演を務める予定だった志村けんさんの突然の逝去や、緊急事態宣言による撮影の長期中断、二度の公開延期といった困難にも見舞われたものの、ついに完成の日を迎えた。

 菅田が演じるのは、志村さんに代わって主演を担う沢田研二ふんするギャンブル狂いのゴウの若き日の姿。撮影所で夢を追いかけるゴウ役として山田監督とのタッグを果たした菅田は、山田組について「撮影のシステムが執念の塊。ほかの映画の撮影現場とは段取りや準備の仕方、時間の使い方がまるで違います」と語る。撮影現場では山田監督が考え込み、1〜2時間ほど経つこともしばしばあったそうで、「スタッフのみなさんが山田さんのことをそれだけ信頼しているということ。山田さんが決まるまで待とうという空気(が流れていた)」と振り返った。

 その言葉を受けて、山田監督が「みんな、うんざりしているだろうけどね」と自嘲気味に話すと、菅田は「そうですね。正直、気を遣っているスタッフさんも何人かいました」とぶっちゃけ。さらに「それだけ粘って撮影しても、次の日にリテイクだったり」と裏話も明かしつつ、「俳優としては、そんなに求めてもらうことはない。うれしかったです」と感激の表情を浮かべた。

 この日は、沢田が姿を見せなかったことからセンターポジションに立った菅田。「まさか山田洋次作品の真ん中に立つ状況になるとは思いませんでした。いろんなことがあって『今、完成しました』と言えることが一番の喜びなのかなと思います」と複雑な胸中を吐露しつつ、「個人的にもいろんなことがありすぎて思い入れたっぷりなので、もう一回くらいトークをしたいです」と笑顔を見せる。最後に「たくさんのメッセージが詰まっている、映画館で観るべき映画になっていると思います。よろしくお願いします」と呼びかけた。(取材:錦怜那)