例年より比較的暖かかった秋が過ぎ、朝晩はすっかり冷え込むようになった。寒さに縮こまった体をほぐしてくれるのが、温かいスープ。特にトウモロコシを主原料とするコーンポタージュは、日本の食卓でも定番のスープだ。

スープの定番コーンポタージュ。味や作り方にもさまざまな違いが


コーンポタージュは市販品も多数あり、粉末の即席タイプ、袋ごと温めるレトルトタイプ、牛乳を加えて調理する濃縮タイプなど、種類はさまざま。今回はスーパー等で手軽に手に入るコーンポタージュの中から5商品をセレクトし、それぞれどんな特徴があるか飲み比べてみた。(作り方は各パッケージに記載の方法に従う)

○ポッカサッポロ「じっくりコトコト 濃厚コーンポタージュ」

来年で発売25周年を迎えるポッカサッポロの「じっくりコトコト 濃厚コーンポタージュ」。粉末をお湯に溶かして飲むタイプで、甘みの強いコーン(スーパースイート種)が粗びきで入っている。カップに粉末を入れ、熱湯を150ml注ぐ。15秒ほど混ぜて(パッケージには「10秒以上」と記載あり)、1分置いたら完成だ。

ポッカサッポロ「じっくりコトコト 濃厚コーンポタージュ」(3袋入/希望小売価格230円)


香りも甘く、舌触りはなめらか。1分置くことでスープにとろみが増しているように感じられた。粗びきのコーンの食感は主張しすぎず、ちょうどいいアクセントになっている。甘みがしっかりしているので、小さい子どもも好みそうな味だ。

じっくりコトコト特製のブイヨンと北海道産生クリームで仕上げ、濃厚な味わいを表現しているという。「スーパースイートコーンの粗びき具材が、コーン本来の素材の美味しさを引き立たせています。少ない湯量で溶かして、牛乳やベーコン等の具材と一緒に調理すれば簡単に美味しいパスタが作れるので、在宅ランチにも重宝します」(ポッカサッポロフード&ビバレッジ 加工食品事業部 郭さん)

ポッカサッポロ「じっくりコトコト 濃厚コーンポタージュ」のポイント

・素材の甘みを引き立てる粗びきコーン

・クリーム入りでしっかりとした甘み

・独自開発のブイヨンで旨みとコクを表現

○味の素「クノール カップスープ」コーンクリーム(3袋入)

続いて、味の素「クノール カップスープ」コーンクリーム(3袋入)。こちらも粉末タイプだ。北海道産スーパースイートコーンの、芯から少し離れた一番甘みのある部分のみを使用。自社パン工房で焼き上げたクルトンが数粒入っている。熱湯150mlを注ぎ、15秒混ぜればあっという間に完成だ。

味の素「クノール カップスープ コーンクリーム」(3袋入/購入時価格169円)


野菜を煮込んでいるときのような香ばしい香りが漂い、スープのやさしい甘みの中に野菜の旨みを感じる。パッケージの原材料表記には「オニオン」「バターソテーオニオンパウダー」の記載があり、玉ねぎの風味が出ているようだ。出来上がり直後はカリッとしていたクルトンは、少し置くとほどよく角が取れた硬さになり、食感の変化も楽しい。

「発売から47年間ご好評いただいているロングセラー商品です。今年8月のリニューアルでは、『原料の増量による素材感の向上』、『当社独自原料によるミルクの濃厚感の向上』を実施しました。また、今回ご紹介した製品には『北海道指定農場栽培スーパースイートコーン』を100%使用しています」(味の素 栄養・加工食品事業部 鈴木 博之さん)

味の素「クノール カップスープ」コーンクリーム(3袋入)のポイント

・熱湯を注いで15秒で完成

・やさしい甘さと食欲が湧くオニオンの香ばしい香り

・クルトンの食感の変化も楽しめる

○スジャータめいらく「コーンクリームポタージュ 粒入り」

スジャータめいらく「コーンクリームポタージュ 粒入り」は紙パック入り。スーパースイートコーンを丁寧に裏ごしし、北海道産生クリームを加えたストレートタイプのスープだ。鍋に入れてかき混ぜながら温めるか、器に移して電子レンジ(500W)で1分加熱し、かき混ぜてから追加で20秒温めて完成。今回は電子レンジを使用した。

スジャータめいらく「コーンクリームポタージュ 粒入り」(500g/希望小売価格228円)※期間限定パッケージのため、現在販売している商品のデザインとは異なります


生クリームの割合が多いのか、スープの色はやや白が強め。コーンの粒感としっかりとしたコクはありながら、意外にも甘さは控えめな印象だ。原材料を見てみると「ソテーオニオン、チキンエキス、ソテーキャロット、ポークエキス」などの表記がある。野菜や動物性エキスの旨みも効いて、甘さと旨みのバランスが取れた味だと感じた。

500gでカップ2,3杯分に相当するが、同商品は900gのパックも販売しており、こちらは家族の分を一度に作るときなどに重宝しそうだ。「生クリームや『スジャータ』(コーヒーフレッシュ)をかけたり、コーンを追加していただくとさらに美味しく召し上がれます」(スジャータめいらくグループ 広報室 大橋里奈さん)

スジャータめいらく「コーンクリームポタージュ 粒入り」のポイント

・鍋で温めるか、電子レンジ調理かを選べる

・コク・甘み・旨みのバランスが取れた味

・ファミリーにもぴったりな900gサイズもあり

○ハインツ「大人むけのスープ 粒コーンのクリームポタージュ」

ハインツの「大人むけのスープ」シリーズは、素材や味にこだわった贅沢感が特徴のレトルトパウチ入り商品。その中から、スーパースイートコーン、生クリーム、発酵バターを使用した「大人むけのスープ 粒コーンのクリームポタージュ」を実食した。カップに移してラップをかけ、500Wの電子レンジで1分30秒加熱した。(パウチごと湯せんで温める方法もあり)

ハインツ「大人むけのスープ 粒コーンのクリームポタージュ」(160g/希望小売価格178円)


今回飲み比べをした中で、スープの黄色が一番濃かったのが本商品。コーンが粒のままたっぷり入っており、香りも豊かだ。コーンの多さに加え、生クリームと発酵バターのコクも感じられる。おかず代わりにもなりそうな、満足感のある1杯だ。

「自分らしく毎日を楽しむ大切さを知っている大人のために、『厳選されたこだわりの味を手軽に味わえる』というコンセプトのもと商品を開発しています」(ハインツ日本 マーケティング部担当者)とのことで、ちょっと贅沢な気分を味わいたいときに選びたい商品だ。

ハインツ「大人むけのスープ 粒コーンのクリームポタージュ」のポイント

・素材や味にこだわった贅沢感が味わえるシリーズ

・生クリームと発酵バターでコクのある味

・コーンがたっぷり!食べごたえ抜群の1杯

○キャンベル「コーンポタージュ」

キャンベルの濃縮缶スープ「コーンポタージュ」は、今回の飲み比べで唯一の濃縮タイプ。2倍濃縮でペースト状になったスープを鍋にあけ、牛乳300mlをゆっくり注いで混ぜながら中火で温める。温まってきたらスープ全体を泡立て器でよく混ぜるのがポイントだという。1缶で約3人前が作れる。

キャンベル「コーンポタージュ」(305g/希望小売価格302円)


スイートコーンの粒がぎっしり入っており、今回飲み比べした商品の中では甘さが一番控えめだと感じた。商品説明には「コーン本来の香り、甘み、自然の色味を生かした」とあり、味や香りづけは最小限に抑えているようだ。コーンの旨みがしっかり感じられるので、スープとして飲むのはもちろん、濃縮タイプだからこそ好みの濃さで、グラタンやリゾットなど他の料理へのアレンジもしやすそうだ。

「日本向けに日本人の嗜好に合わせて作った日本専用製品となります。随時、より日本人の好みに合うよう開発を加えております」(キャンベルジャパン 広報担当)。濃い味が好きな人は牛乳を少なめに、薄味が好みなら牛乳を多めに、と自由に調整できるのも魅力だ。

キャンベル「コーンポタージュ」のポイント

・牛乳を加えて作る濃縮タイプ

・コーン本来の味わいを活かして甘さ控えめ

・牛乳の量を調整して好みの濃さに変えられる

甘さ、コク、香りなど、どの商品も絶妙な違いがあり、驚きや発見の多い飲み比べ体験だった。寒さも本番を迎えるこれからの時期こそ、温かくまろやかな味わいのコーンポタージュを飲んで、心も体もホッとリラックスしてみては。

※価格は特記がない限り税別