ジャニーズ事務所を支えてきた近藤真彦

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「週刊文春」が報じた不倫問題により、<家庭を持つ一社会人による振舞いとして大変軽率であり、自覚と責任に欠ける行動であった>と、11月17日付での無期限芸能活動自粛処分が発表された、近藤真彦

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 今年は歌手デビュー40周年という節目の年で、12月にはそれを記念したライブも開催予定だっただけに(公演は中止)、その影響は小さなものではない。

5年おきの“やたら大きい扱い”

「そんな中、注目したいのは自粛発表直後に発売された週刊誌『AERA』『週刊朝日』『サンデー毎日』の3誌の表紙がすべてマッチだったことです」

 と、ある芸能ジャーナリストは語る。3誌は表紙以外にもそれぞれインタビューも掲載し、さながらマッチ40周年を祝うかのような雑誌の作りをしていた。いざ発売となったタイミングで不倫を認め、無期限の活動自粛が発表と、まさに直撃を受けたかたちとなった。

「3誌の『間の悪さ』というネットニュースもありましたが、最初の不倫報道が出たのは、3誌発売の前の週でした。その段階で、表紙を差し替えるなどの対応ができたかもしれませんが、それはしなかった。つまり『大丈夫』という判断をした可能性が高いわけです。なんとか乗り切れるだろうと。文春の第2弾では、マッチの強気ぶりについて書かれていましたが、くしくもそれを裏づけるようなかたちとなった気がします」

 不倫記事が出たあと、後追いしたメディアはごく一部のみ。テレビや新聞が報じたのは、自粛処分が発表されてからだっただけに、その空白の約5日間にはさまざまな憶測が飛び交った。ジャニーズ事務所における「近藤真彦」という存在について、多くの記事が出たのもいうまでもない。

「マッチは事務所内でもある意味、異質な存在なんです」というのはスポーツ紙記者だ。

「今年はレコードデビュー40周年ということで、コロナの影響で結局中止になりましたが、久しぶりの全国ツアーも予定されていました。レーシングチーム監督との2足のわらじを履いていることもあり、芸能活動は、30周年、35周年と、活発になるのは5年おきといったところです。しかし、そのときの扱いがやたら大きいところに、ジャニーズファンもちょっと困惑しているようです」

 “やたら大きい扱い”というのは、たとえば35周年記念で出演した『FNS歌謡祭』(フジテレビ系)でのこと。TOKIOや嵐、関ジャニ∞、KAT-TUN、Hey! Say! JUMPといった、豪華顔ぶれの後輩たちが、35周年のスペシャルステージで過去のヒット曲や最新曲を披露するマッチを、最前列の観客として盛り上げる演出がみられた。

「大先輩をヨイショする宴会みたいだったと揶揄されたりもしました」(前出・スポーツ紙記者)

 さらに、同年大みそかの恒例の「ジャニーズカウントダウンコンサート」。ここでも「マッチ35周年祭り」状態で、マッチが持ち歌を何曲も披露し、後輩ともコラボ。最後には黒柳徹子がステージに登場し、35周年を大々的に盛り上げるものとなった。前出のスポーツ紙記者は、苦笑交じりに言う。

「ドームのファンも、ここまで『マッチリサイタル』状態になるとは思っていなかったでしょう。必然的に、ほかの後輩たちの出演の尺も削られたわけですから。今年はカウコンが開催されるかどうかまだ発表されていませんが、マッチが活動自粛となったので、あの悪夢の再来はないと安堵するファンもいるはずです」

マッチはジャニーズの絶対的象徴

 一時代を築いたアイドルではあったが、近年は目立った芸能活動もなく、ヒット曲もない。ドラマ出演もなければ、バラエティー番組に出ることもない。それなのに後輩総出で盛り上げる存在、「近藤真彦」とはいったい何なのだろうか。

「歌もダンスも、正直うまいとはいえませんよね(笑)。ただ、その存在感はすごいんです。存在感そのものが武器で、彼の魅力といっていいと思います。これは、誰もが持てるものではなく、天性のすごさですね。それでいて、人懐こさや親しみやすさも合わせもつ。そのギャップも、周囲にいる人たちにとっては魅力的なのではないでしょうか」(前出記者)

 その魅力を知る人たちから大事にされてきた。前出の芸能ジャーナリストは「ジャニーズがここまで大きな人気と力を持つようになったきっかけとなる存在だということは、間違いありません」と、その功績を語る。

 近藤真彦が人気を得たきっかけは、'79年から放送されたテレビドラマ『3年B組金八先生』(TBS系)の生徒役での出演。田原俊彦、野村義男とともに『たのきんトリオ』として、多くの女性を虜にした。

「それまでのジャニーズは、大スターがなかなか生まれず苦しい時期だったといいます。それを一気に変えた、たのきんの人気。元社長のジャニー喜多川さんや姉のメリーさんにとって、それはもう大きな大きな存在ですよ。メリーさんは常々『うちのナンバーワンはマッチ』と言い続けているように、絶対的象徴なんですよね」(同前)

 昨今、芸能活動を積極的に行わなくても「ジャニーズの象徴」という存在で、頂点に君臨し続けてきた近藤真彦。とはいえ東山紀之や、タレント活動から退いた滝沢秀明のように、後輩たちの面倒を定期的に見てきた姿は見られていない。

「ジャニーさんが亡くなり、メリーさんも退任。事務所の新たな一歩のためにも、そろそろマッチの威光をセーブするか、もっと後輩も交えた活動をするかといった部分もあったかと思いますが、結果的にセーブの方向になってしまったことは不思議な運命です」(同前)

 今後のマッチの活動についてはまったくの白紙だが、芸能活動を再開するとなったとき、そのバックに“後輩総出”の姿はあるのだろうかーー。

〈取材・文/渋谷恭太郎〉