「ルールを守らないと、踏切は鬼になります!」

そんなフレーズが書かれた啓発広告が、JR日暮里駅(東京都荒川区)などのデジタルサイネージに表示されている。


鬼になった踏切(sasakishunさんのツイートより、編集部でトリミング)

こちらは、グラフィックデザイナーの佐々木俊さん(@nuhsikasas)が2020年10月24日に日暮里駅で撮影した一枚だ。

描かれているのは、赤い目を三角形に吊り上げ、ギザギザの歯をむいた赤鬼だ。おなじみの虎柄パンツを履き、手には先端にトゲのついた、黒と黄色のシマシマ模様の金棒を持っている。

頭にはツノが生えていて、それも金棒と同様にしましま。そして、クロスしている。このクロスを見たことがある人は多いだろう。

そう、踏切の警報機だ。

この鬼は踏切をモチーフにしたもので、目は警報機の警報灯、金棒は遮断機の遮断かん(踏切内への侵入を防ぐ竿)が元になっているようだ。

踏切がこんな感じで我々を待ち受けているのかと思うと、ちょっと怖い。

今後踏切を見るたびに、この鬼の姿を思い出して「怒られないように気を付けて渡ろう」という気持ちになりそうな、なんとも言えない説得力のあるイラストだ。

このポスターはどんな経緯で生まれたのだろう。Jタウンネット編集部は11月6日、JR東日本東京支社に取材した。

ルールを守らないと鬼が真っ赤になって...


鬼じゃない踏切(画像はイメージ)

同社の広報課の担当者によると、鬼になった踏切のイラストは、日暮里駅の社員が発案したもので、20年9月20日からデジタルサイネージに表示されている。

これは、9月21日〜30日の「秋の全国交通安全運動期間」のために作成されたものだそうだ。

「通常ですと、秋の全国交通安全運動期間中、三河島駅・西日暮里駅・日暮里駅の3駅の社員で実際に踏切に赴き、警察と共にドライバーや歩行者に踏切安全啓発活動を行っています。
しかし、今年度はコロナ禍の中、接触機会削減のため啓発が出来なくなりました。そこで三河島駅社員の発案で、各駅設置のデジタルサイネージにデジタルポスターを掲出してみてはいかがと言う事になりました」(広報課担当者)

例年、荒川区西日暮里にある3駅の社員が行っている啓発活動ということで、鬼のポスターも3駅のデジタルサイネージで、新型コロナウイルス感染拡大防止関連の啓発や鉄道利用の案内などと交互に表示されているという。

踏切を鬼にした理由については、

「踏切の表示が『黄・黒』の縞模様、それに対して鬼のイメージは『赤・黒』の縞模様。
『交通ルールを守らないと鬼が真っ赤になって怒り出しますよ!』という気持ちを込めて作成いたしました。
赤と黄色のコントラストも非常に目立つので、幅広い年代のお客さまに良いお知らせになるのではないか、という考えのもと採用いたしました」

としている。

実際、佐々木さんのツイートには「きっと子供が見ても伝わる」というコメントも寄せられていた。

鬼というのは昔から怖がられている存在ではあるが、「鬼滅の刃」が大ブームになっている昨今。踏切が鬼にならないようにルールを守らなくては、と思う子供たちはより一層多いのかもしれない。

なお、踏切の基本的なルールは「警報機が鳴っている間は踏切内に入らない」というごく単純なもの。どんなに急いでいても、新たな鬼を生まないようにしたい。