2020年10月23日(金)に発売された「iPhone 12」および「iPhone 12 Pro」は、2017年に登場したiPhone Xから続いてきた曲線的なデザインから、iPhone 4のような直線的なデザインに変身しています。iPhone 12およびiPhone 12 Proは見た目だけでなく中身にもさまざまな変更が加えられているので、実際にどの程度これまでのモデルと異なるのか、そもそもiPhone 12とiPhone 12 Proはどれくらい違うのかを比較しまくってみました。

iPhone - モデルを比較する - Apple(日本)

https://www.apple.com/jp/iphone/compare/

◆デザイン

iPhone 12およびiPhone 12 Proの見た目がどんなものに仕上がっているのかは、以下の記事をチェックするとよくわかります。

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iPhone 12とiPhone 12 Proは完全に同サイズなので、見た目の違いは背面のカメラの数と、本体カラーのみです。iPhone 12はブルー・グリーン・(PRODUCT)RED・ホワイト・ブラックというポップなカラー展開ですが、iPhone 12 Proはパシフィックブルー・ゴールド・グラファイト・シルバーという落ち着いたカラー展開です。ただし、iPhone 12にはポップなカラーが多いので、「iPhone 12がいいけど落ち着いた色味のものがいい」という人には選択肢がかなり限られてしまうのが難点。

以下の写真は左がiPhone 12 Proのパシフィックブルー、右がiPhone 12のブルー。



金属フレームの素材にiPhone 12 Proは医療レベルのステンレススチール、iPhone 12は航空宇宙産業レベルのアルミニウムを使用しています。iPhone 12 Pro(下)は鏡面仕上げとなっているため指紋などの汚れが目立つのですが、iPhone 12(上)はつや消し仕上げなため汚れは目立ちません。



一方、背面カバーガラスはiPhone 12 Proがつや消し仕上げになっているため指紋などの汚れがつきにくくなっているのですが……



iPhone 12は指紋などの汚れが比較的つきやすいです。写真だと分かりづらいのですが、Appleロゴや光が反射している部分で指紋汚れが見てとれます。



◆5G

iPhone 12とiPhone 12 ProはどちらもiPhone初の5G対応端末ですが、日本で販売されるモデルはサブ6GHz帯を用いた通信にのみ対応しており、ミリ波帯には対応していません。



また、5G通信を使用するためには専用の回線契約を結ぶ必要があります。

例えばNTTドコモの場合は5G対応プランに入る必要があり、その中の「5Gギガホ」とXi対応プランの通常の「ギガホ」を比べてみると、5Gギガホは月額税抜500円割高です。



auの場合は4G LTEプランと5Gプランの両方が用意されていますが、どちらも料金に差はない模様。



ソフトバンクの場合は5Gでの高速通信を使用したい場合、「5G基本料」として月々の使用料にプラスで1000円を支払う必要があります。



なお、5Gのサービス対象エリアはNTTドコモ・au・ソフトバンクのいずれも記事作成時点では「都心部の限られたエリア」のみであるという点には注意が必要です。



◆ディスプレイおよび解像度

iPhone 12とiPhone 12 Proはどちらも6.1インチのSuper Retina XDRディスプレイを搭載しており、解像度は2532×1170ピクセル、画素密度は460ppiです。ディスプレイ性能はほぼ同じですが、iPhone 12の場合は標準コンテンツの最大輝度が625ニトであるのに対して、iPhone 12 Proは800ニト。ただし、HDRコンテンツの場合、どちらも最大輝度は1200ニトとなります。



なお、iPhone XR/11は6.1インチのLiquid Retina HDディスプレイで、解像度は1792×828ピクセル、画素密度は326ppi。iPhone X/XS/11 Proは5.8インチのSuper Retina XDRディスプレイで、解像度は2436×1125ピクセル、画素密度は458ppi。つまり、iPhone 12はiPhone XR/11と同じディスプレイサイズであるものの解像度・画素密度がパワーアップしており、iPhone 12 ProはiPhone X/XS/11 Proと比べて解像度はほぼ変わらずに、ディスプレイサイズがわずかに大きくなっているわけです。

以下の写真は左からiPhone 11・iPhone 11 Pro・iPhone 12・iPhone 12 Proの順に並べたもの。



また、iPhone 12およびiPhone 12 ProではディスプレイガラスにCeramic Shieldという従来よりも4倍高い耐落下性能を持つガラスを採用しているため、「iPhoneを落として画面がバキバキに割れがち」という人にはもってこいかも。なお、Ceramic ShieldはAppleがGorilla Glassで有名なコーニングと共同開発したものです。



◆カメラ

iPhone 12 ProとiPhone 12の最大の違いはカメラです。そもそもカメラの数がiPhone 12 Proは3つで、iPhone 12は2つ。iPhone 12 Proのトリプルカメラは超広角(f/2.4)・広角(f/1.6)・望遠(f/2.0)という3つのカメラを搭載していますが、iPhone 12は超広角(f/2.4)・広角(f/1.6)という2つのカメラしか搭載していません。



iPhone 12とiPhone 12 Proのカメラ機能を比べると、RAW情報を扱える新しい画像フォーマットの「ProRAW」、「デュアル光学式手ぶれ補正」、「2倍の光学ズームイン、4倍の光学ズームレンジ、最大10倍のデジタルズーム」、「ナイトモードポートレート」がiPhone 12 Proでのみ使用可能。ただし、ProRAWは記事作成時点では「間もなく登場予定」の機能なので使用できません。

記事作成時点での最新版となるiOS 14.1をインストールしたiPhone 12 Proで「設定」→「カメラ」→「フォーマット」の順にタップして画像フォーマットを変更しようとしても、従来通りの選択肢しかなく「ProRAW」の文字は見当たりません。



また、「デュアル光学式手ぶれ補正」はiPhone X/Xs/11 Proで、「2倍の光学ズームイン、4倍の光学ズームレンジ、最大10倍のデジタルズーム」はiPhone 11 Proでも利用可能です。

つまり、記事作成時点でiPhone 12 Proでしか使えないカメラ機能は「ナイトモードポートレート」のみ。暗所でもポートレートモードを使用できるという機能で、ナイトモードポートレートが機能している際は、ポートレートモードの画面左下の赤枠部分にあるナイトモードが機能していることを示すアイコンが表示されます。



また、AppleはiPhone 12およびiPhone 12 Proの広角カメラについて、「画素センサーが従来よりも47%大きくなり、iPhone史上最大サイズとなった」と説明しており、従来比で光を27%も多く取り込めるようになったとアピールしています。加えて、iPhone 12/12 Proでは広角カメラと超広角カメラの両方でナイトモードを利用できるようになった(iPhone 11 Proは超広角カメラでのナイトモードの使用は不可)ため、ナイトモードの活躍の場がさらに広がっています。



なお、iPhoneのナイトモードを使うとどんな写真が撮影できるかは、以下の記事を見ればよく分かります。

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他にも、iPhone 12およびiPhone 12 Proでは新たに「Dolby Vision対応のHDRビデオ」および「ナイトモードのタイムラプス」の撮影が可能。iPhone 12 Proでは最大60fpsのDolby Vision対応HDRビデオが撮影できるのに対して、iPhone 12では最大30fpsのものが撮影できます。HDRビデオ撮影機能はデフォルトでオンになっており、「設定」→「カメラ」→「ビデオ撮影」からいつでもオンオフ可能。



さらに、iPhone 12およびiPhone 12 Proではインカメラでも新しく「Dolby Vision対応HDRビデオ撮影(最大30fps)」「ナイトモード」「Deep Fusion」の利用が可能となっています。

また、iPhone 12 ProにはiPhoneでは初となるLiDARスキャナが搭載されており、これによりAR表現の幅がより広がり、カメラのピント合わせの精度が向上し、ポートレートモードでより美しいボケ効果を実現できるようになっているとのことです。

◆A14 Bionicチップ

iPhone 12とiPhone 12 ProはAppleが「スマートフォンで最速のチップ」とうたうA14 Bionicチップを採用しています。Antutuベンチマークでベンチマークテストを行ったところ、スコアは以下の通りでした。なお、テストに使用したiPhoneはすべて記事作成時点での最新版であるiOS 14.1にアップデートしています。

iPhone 12のスコアは「552248」。スコアは高いほど好成績であることを意味します。



iPhone 12 Proのスコアは「574554」。iPhone 12とiPhone 12 Proは同じA14 Bionicチップを採用しているのでほぼ同等のスコアですが、iPhoneで初めて6GBのRAMを搭載しているというiPhone 12 Proは、RAM関連のスコア(MEM)がiPhone 12よりも高めです。



続いて1世代前のA13 Bionicチップを搭載したiPhone 11のスコアは「520794」。



同じくA13 Bionicチップを搭載しているiPhone 11 Proのスコアは「533896」です。



なお、2017年に発売されたiPhone Xのスコアは「342809」でした。

◆MagSafeアクセサリ

また、iPhone 12シリーズは初のMagSafe対応端末なので、専用アクセサリを使用することも可能です。MagSafe充電器を使えばスマートフォンのワイヤレス充電時に問題となる「ワイヤレス充電器の正しい位置にスマートフォンを置かなければ充電効率が非常に悪くなる」という点をクリアできる点もポイントです。

なお、iPhone 12シリーズでMagSafe対応アクセサリを使ってみるとどんな感じになるかは以下の記事を読めば分かります。

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