日本人にとって、富士山はやはり特別な存在だ。

富士見台とか冨士見坂といった地名が各地に存在するが、富士山が見えることはそれだけで価値があるという証拠なのだろう。

飛行機に乗れば、頼んでもいないのに、「ただいま当機の左手に、富士山を見ることができます」などと機内アナウンスが流れる。それではと、窓の外を注視する乗客が多いのだろうか。

富士山に対する熱い想いは、全国共通のものだと思っていたら、静岡県民の場合はどうやら別格らしい。

2020年10月17日、次のような写真付きのツイートが投稿され、話題となっている。

「これが静岡の日常」という言葉と共にアップされた写真は、富士山を背景に撮影した街並みだ。左が、昼間の光景。右が夕景だ。どちらも素晴らしい。背後に迫る富士山が、圧倒的に大きくて、その迫力が半端ない。こんなに近くに富士山が見えるなんて、さすが静岡県である。

このツイートには28万件を超える「いいね」が付けられ、今も拡散中だ(10月21日昼現在)。他県民から「常にあの富士山を見ることができるなんて本当に羨ましい」「毎日が葛飾北斎。。。すごいなぁ、静岡」など絶賛の声が寄せられるなか、当の静岡民からは次のようなツイートが。

「やっぱ静岡県っていいですよね。商店街から見える富士山の写真最高です」
「富士山はいつも見えるものっていう印象があります」
「台風はじめ災害が少ないのは富士山が守ってくれているからだ、と地元民はみんな信じている」
「富士山目的でなくても写真を撮ったら写り込んでしまうのですよね」

「静岡の日常」とは、どういう意味なのだろう。投稿者のHiro(@omochi_219)さんに詳しく聞いてみよう。

「この光景が当たり前で、いつも見る景色なのです」


Hiro(@omochi_219)さんのツイートより

投稿者のHiroさんがこの写真を撮影したのは、10月12日、静岡県富士市の富士駅前だったという。

「1枚目(写真上)は昼間に撮影したものです。富士山に良い感じに雲がかかっていたのと、横断歩道に綺麗な光が差し込んでいたので、そこに人が通った瞬間に撮りました。

2枚目(写真下)は夕方の日が沈む時間帯で、富士山に夕陽が当たり赤く染まったところを撮影したものです」


Hiro(@omochi_219)さんのツイートより

富士山の存在こそ、静岡県民にとって日常ということなのか?

「私自身が静岡県民なのですが、生まれた時からずっと富士山を身近に感じて育ちました。この光景が当たり前でいつも見る景色なのです。
身近すぎて富士山を見ても何とも思わなくなる事もありましたが、やはり雲が綺麗にかかった富士山や、夕陽に照らされて赤く染まった富士山を見ると、やっぱり綺麗だなぁと、改めてその魅力に気付かされます。 そんな日常が身近にあることに感謝しています」

静岡県民が他の地域に行くと、富士山が見えない喪失感が大きいと聞くが......

「身近な存在すぎて、富士山が雲に隠れてしまって見ることができなくても喪失感は感じないのですが、他県に行った際に富士山がないと、『ああ、ここは静岡じゃないのか』と、なぜか大きな喪失感を感じます。きっと静岡県民あるあるだと思います(笑)」

ツイッターで大きな反響があったことについては、「皆さん富士山が大好きなんだなぁと思いました。 そしてここまで人の心を掴む富士山は日本の象徴だなと改めて知ることが出来たのが、今回私の中で大きな収穫です」と満足気に語った。