これからの帰省シーズン、義母だけではなく、義姉・義妹ともおつき合いが発生する人も多いのでは。夫との結婚のタイミングによっては、すでにできあがっている「母娘」や「嫁姑」関係の中に後から入らなくてはならず、苦痛に…。

漫画家、エッセイストの瀧波ユカリさんに、読者から実際に寄せられたお悩みをズバリ解決してもらいました。

義母・義姉側が新参者の居心地をよくするための気づかいをすべきなんです



【お悩み】義母と義姉の結束が強くて入っていけません…


3〜4か月に1度、夫の実家に行くのが憂鬱で仕方ありません。というのも、義母と義姉たちの結束が強くて、なかなか打ち解けることができず…。
帰省したときに女性だけで台所で料理をしている時間が多いのですが、とくにその時間が苦痛でたまりません。
義姉とは、お互い警戒しているような感じで、会話もまったくと言っていいほど弾みません。実家に行くと、早く帰りたいとばかり考えてしまい…。
夫にも相談はしているものの解決できません。(東京都・36歳、夫41歳)

<瀧波さんからのアドバイス>無理、無理、無理!!あなたは怒ってもいいんです

「夫の実家で女性だけで料理をする」というキーワードだけで「無理!」と叫びたくなる私です。

結婚相手の家の台所ルールにのっとった手順と手つきで料理しながら、これまたその家の会話ルールを逸脱しないように相槌を打ったり質問に答える。なんて高度なマルチタスク。しかも立場はいちばん下っ端。やってらんないですよ。時給3500円くらいもらわないと割に合わない。
相談者さんは現時点ではそこまで思っていないかもですが、私からするとそれくらい無理。しかも「義母と義姉たちの結束が強い」というキーワードが「無理」にさらに輪をかけます。無理、無理、無理!!

これは私の推測ですが、義母と義姉たちは、自分たちの仲のよさをかなり誇らしく感じているのではないでしょうか。そして、「こんなに仲がよい私たちの一員になる機会をあなたに与えてあげますよ」「こんなに楽しく料理している私たちと一緒にやるなら、あなたもきっと自然と楽しめるはず!」と思っているのかもしれません。もちろん善意として、無意識に。

しかし新参者に機会を設けるなら、新参者の居心地をよくするための気づかいもすべき。呼ぶだけ呼んで、あとは私たちの結束のなかに入ってきてねって姿勢は無礼だし、思いやりに欠けていますよ。
企業にたとえると、新人の歓迎会を開いておきながら新人のわからない話で社長と部下が盛り上がり続けているようなものです。


もし彼女たちがあなたへの気づかいを怠っていると感じるなら、あなたは怒っていいんです。義母や義姉に直接怒りを表明しろということではありません。自分がまっとうに配慮されていないこと、忍耐を強いられ精神的コストを払っていることに対して、傷ついたり怒ったり悲しんだりしていい、ということです。どう思っていいのかわからなければ、友達に吐き出しながら気持ちを整理するのも有効な方法です。

今はまだ見えていない、あるいは見ようとしていない義母や義姉たちへの感情があなたの中にしっかり立ち上がれば、これからどうすればいいかも考えやすくなるはず。「こんなろくでもない目に遭っているんだから、半年くらい行かなくてもいいや。そのせいで向こうがどう思ってもかまわない」って思えれば、むしろラクですよ。

いつか彼女たちが「もっと気をつかえばいいのかな」と気づくこともあるかもしれません。みんなで楽しく料理ができるのはきっとそのさらに先。そうなれることを今はあまり期待せず、まずは現状を分析して自分の感情を確認してみてくださいね。応援しています!

●教えてくれた人
【瀧波ユカリさん】


1980年、北海道生まれ。漫画家、エッセイスト。アニメ化もされた『臨死!! 江古田ちゃん』(講談社刊)でデビュー。著書に『モトカレマニア』(講談社刊)など

<イラスト/瀧波ユカリ 取材・文/ESSE編集部>