KFCは4月、全店舗が臨時休業となるなかで広告を控えていたが、5月下旬になって英国とアイルランドでテレビ広告を再開した。(広告を再開した)週末までに960店舗のうち半分以上が営業を再開する予定だったため、より多くのチャネルでより多くの広告が購入された。

KFCは店舗の休業中、独自バージョンのフライドチキンを作ろうとするファンのさまざまな試みの画像を拝借した。少数のファンが店舗休業後数日間に自身の試みを共有しはじめたあと、KFCは「#RateMyKFC」のハッシュタグを用いて、それらを取り入れたのだ。その後、KFCのエージェンシー、マザー(Mother)がもっとも人目を引く画像をテレビ広告に利用した。この広告では、KFCはファンに感謝しつつ、ジャスト・イート(Just Eat)やデリバルー(Deliveroo)、ウーバーイーツ(Uber Eats)のようなサービスを通じてデリバリーができるため、自作しなくてもいいと説明している。

「我々にとって、広告は依然として全体的なコミュニケーション戦略の要なので、当初計画されていたレベルに戻る年末を見据えていく」と、KFC英国・アイルランド法人でマーケティングディレクターを務めるジャック・ヒンチリフ氏は話す。

こうした姿勢を取りながらも、ヒンチリフ氏はまだ、長期的なメディア計画にコミットしていない。それどころか、多くの広告主にとっては「90日が」新たな長期だ。広告コンサル企業のアドバタイザー・パーセプションズ(Advertiser Perceptions)がマーケター151人を対象に実施した調査によると、広告主の半数は、計画の範囲を半分に短縮し、3カ月以内のメディアにしかコミットしていないという。

「#RateMyKFC」のハッシュタグで投稿された画像

デリバリーが主要チャネルに

デリバリーに重点を置くという決定は、KFCのメッセージングにおいて「大きなシフト」だと、ヒンチリフ氏はいう。

全国的なロックダウン(都市封鎖)を受けて自宅で夕食が取られるなかで、世界中のレストランがデリバリーモデルに方針転換してきた。そうした(デリバリーの)注文により、英国とアイルランドでは、KFCに及ぼすロックダウンの影響が和らぎ、ここ数週間で売上が加速してきたという。開店から1年以上経つKFCの店舗での売上は、3月31日に終了した第1四半期に8%減少していた。

顧客が食品のより便利で簡単な入手方法を探していることもあり、ここしばらくはデリバリーが増加しており、この1年間にわたって成長につながる主要なチャネルになってきた」と、ヒンチリフ氏は語る。

ふたつの大きな課題を象徴

KFCの広告は、ロックダウンが緩和されるなかで広告主が成し遂げようとしてきたふたつの大きな課題を象徴している。ひとつ目の課題は、危機のあいだに不当に利益を得ていると解釈できない形での、メッセージングと、共感を示す方法だ。ふたつ目の課題は、人々がまだソーシャルディスタンシング(社会的距離の確保)を強いられている時期の広告制作だ。

「ロックダウンが全面解除されても、行動や意識が改善されるかもしれない」と、文化的マーケティングコミュニケーション企業、プラットフォーム13(Platform 13)の創業者レイラ・ファタール氏は語る。「新しいガイドラインに従った生活は、ブランドが役立つと同時に楽しめるものへと進化する余地がある。今後の数カ月間にすべてを考慮に入れる必要がある」。

KFCのような広告主が支出を増やすのには良いタイミングだ。テレビや、競争に拍車をかける広告主がより少ないデジタルなど、メディア全体で広告料金が低下しているからだ。英国広告協会(Advertising Association)の「Warc支出レポート(Warc Expenditure Report)」によると、テレビ広告料金は英国で50%も急落している。

Seb Joseph(原文 / 訳:ガリレオ)