昨季は自身初のJ2でプレーし、横浜FCの13年ぶりのJ1昇格に貢献。今年6月には42歳となるが、非凡なテクニックや優れた戦術眼は健在だ。(C)SOCCER DIGEST

写真拡大 (全3枚)

 4月23日発売のサッカーダイジェストでは、「Jリーグ歴代ベストイレブン」と題し、現役選手や元日本代表など総勢50名に“マイベストイレブン”を選んでもらった。

 選ばれた新旧Jリーガーは、それぞれ様々な理由で選出されているが、識者50人の回答を集計してランキング化し、全体の過半数以上となる27票を集めて3位にランクインした中村俊輔は、“FK”という絶対的な武器で高い評価を得た。

 これまでJ1の舞台で決めてきた直接FK弾は、歴代最多の24ゴール。記念すべき1発目はプロデビューした97年の平塚戦で記録。当時被弾したGK小島伸幸(群馬GKコーチ)も、俊輔をマイベストイレブンに選んでいる。

「彼にFK第1号を決められたのは、今となっては光栄です(笑)。しかも実は翌年にも同じような位置から決められているんですよね。FKのタイミングが独特で、僕は結局分析し切れませんでした。木村和司さんのキックも嫌だったけど、それ以上に捕まえ切れないボールを蹴ってきたのは、彼が初めてでしたね」(小島)

 その他、FKに関する俊輔の主な選出理由は以下のとおりだ。

「CKとかFKとか、セットプレー1本で試合を決められる選手。あの左足で多くのチャンスを作ってくれますし、そういう存在はチームに絶対に必要ですから」(仲川輝人/横浜)
「試合を決めてくれる決定力と、FKの技術はトップクラス」(佐藤美希/Jリーグ名誉マネージャー)
「クロス、パス、FK、シュートすべてが芸術!! 何回もゴールシーンをYouTubeで見て感動してました」(シュウペイ/ぺこぱ)
「FKを蹴らせたらワールドクラス」(ワッキー/ペナルティ)
 
 もちろん、俊輔は“FKだけ”の選手ではない。それは、選手や監督として実際に対戦経験のある選定者のコメントが証明している。

「シュンさんはヤットさん(遠藤保仁)と同じで、僕がこうされると嫌だなと思うプレーをしてくるんですよ。どうすれば試合を動かせるか、理解している。だから読み合いというか、対戦していて非常に面白いんですよね」(中村憲剛/川崎)
「中村選手はドリブルもパスも上手くて、点を取らせることもできます」(森重真人/FC東京)
「(香川)真司、俊輔、乾(貴士)、(中村)憲剛らもボールを持てて、“相手を攻められる”。そして正確に『止める・蹴る』を実践でき、ボールを奪えて、素早いパスワークでゴールも挙げられる」(風間八宏/静岡SSUアスレジーナ・テクニカルアドバイザー)
 
 多様で質の高いテクニックと優れた戦術眼。それらもFKと同様、俊輔のストロングポイントであり、「マリノスでアイドルとなってJリーグの人気を下支えしていた」(セルジオ越後/解説者)その功績も評価ポイントのひとつだ。

 さらにワッキーは「サッカーをするために生まれてきた人だと思う。もう天才レフティの代名詞」と絶賛。JリーグのMVPに2度(2000年、2013年)、選ばれた唯一無二の選手であり、ワッキーは「2回目の受賞の時に1回目と同じコメントを言うんですよね。『13年前と同じ言葉で締めさせていただきます』って。あの時は泣きそうになっちゃいましたよ。素敵です」と感動を覚える。

 13年のJリーグアウォーズで、檀上に立った俊輔は最後にこう言った。

「これからもこの賞(MVP)に恥じぬよう、良いプレーをし続けて、サッカー界に少しでも貢献できたらなと思います」

 2020年、41歳となった今も俊輔は現役を続けている。再開後のJリーグでも、その円熟のプレーでサッカー界を盛り上げてくれるはずだ。

構成●サッカーダイジェスト編集部

【画像】セルジオ越後、小野伸二、大久保嘉人、中村憲剛ら24名が厳選した「 J歴代ベスト11」を一挙公開!