新型コロナウイルスの影響によるロックダウンにより、Amazonに流れ込む広告費が増加している。小売兼広告企業のAmazonにとって、長期的な利益となる可能性が高い。

Amazonの広告事業売上は1〜3月、前年同期比44%増の39億1000万ドル(約4154億円)だった。この成長率は2強であるGoogle(13%)とFacebook(17%)を上回っており、Amazonは勢いを維持している。GoogleとFacebookは第1四半期、それぞれ280億ドル(約2.9兆円)と174億ドル(約1.8兆円)の広告売上を計上しており、それらに比べると、Amazonの広告事業は小規模だ。しかし、その差は縮まっている。

本記事の取材に応じたメディアバイヤー7人によれば、Amazonの第1四半期の成長は、新型コロナウイルスの到来後に広告主が大幅な修正を行ったことよりも、到来前の需要増加に起因するという。事実、マークル(Merkle)のAmazon検索機能担当責任者、ダニエル・ウォーラー氏は、Amazonの注文を処理する能力が落ちると、広告収入の伸びは第2四半期直前に低下したという。

Amazonの検索広告も苦境に

広告主はAmazonで売りたい商品があるとき、Amazonの広告枠を買う。しかし、3月以降、Amazonで商品を売ることが難しくなっている。Amazonが6つの必要不可欠なカテゴリーの商品のみを出荷すると明言したためだ。前述のメディアバイヤーたちによれば、Amazon自身のサプライチェーンの負荷を軽減することが目的だったが、広告主が商品の売り込みに使う金額も見直される結果になったという。

マークルが顧客の第1四半期の支出を分析したところ、典型的なAmazonの広告主は3月最終週、1月の半分しか1日あたりの広告費を使っていないことがわかった。Amazonが必需品以外の出荷を制限した結果、広告枠の購入を減らした広告主もいれば、3月最初の売上が好調で、製品在庫や広告予算が不足に陥った広告主もいた。

その結果、Amazonの検索広告も苦境に陥った。広告エージェンシー、ティヌイティ(Tinuiti)の顧客は第1四半期、米国で4億ドル(約424億円)の広告費を使った。その内訳を分析したところ、検索広告スポンサードプロダクツ(Sponsored Products)の広告費は25%超の成長を遂げていたが、顧客が在庫、フルフィルメント、消費者需要の問題に直面したところ、3月最終週に6%まで減速した。

Amazonが物流を再編したのは必需品を優先するためかもしれないが、結果的に、必需品以外から利益を得ることが難しくなった。必需品以外の商品も、需要がゼロになったわけではない。商品の納期が長くなると、広告主はその商品の広告枠を購入しなくなる。納期が長くなると、商品の売れ行きが悪くなるためだ。その証拠に、必需品以外の商品は、コンバージョン率が低下している。

CVが10%も低下した広告主も

ティヌイティによれば、米国では3月後半の2週間、多くの広告主がコンバージョン率の低下を経験した。家庭用品、玩具、ゲームといった必要不可欠でないカテゴリーの一部は、コンバージョン率が平均10%低下したという。

Amazonのコンバージョン率が下がったということは、広告価格を上昇させる競争が少ないということだ。eコマースエージェンシー、ストレート・アップ・グロース(Straight Up Growth)の共同創業者、ダニエル・テハダ氏は、その結果、第1四半期のクリック単価(CPC)も下がったと説明する。ストレート・アップ・グロースの調査では、4月のCPCは最大30%低下している。

ハバス・メディア(Havas Media)の顧客はAmazonの「ニューノーマル」への適応に苦労している。同社パフォーマンスマーケティング担当マネージングディレクターのブラッド・ベイター氏は、顧客の通信会社とスポーツウェアメーカーはAmazonで販売した商品を4週間も出荷できなかったと報告している。いずれのケースも、Amazonが4月はじめに約束したように、納期が再び短縮されるまで待ち、売上が回復するかどうかを確かめなければならなかった。特に玩具、ゲームといった需要の大きいカテゴリーでは、納期はすでに改善されているが、前述の2社はいまだ納期の遅延に悩まされている。

「ある顧客の売上は前年比で50%減少している。それ自体かなり大きい数字だが、Amazonにおけるメディア支出の投資利益率(ROI)にも影響が出ている」と、ベイター氏は話す。

それでも、数少ない重要な収入源

実店舗の休業が続いているため、企業はAmazonからの撤退に消極的になっている。おそらくAmazonはいま、企業にとって、数少ない重要な収入源のひとつなのだろう。

こうした問題が起きていたにもかかわらず、Amazonの広告は、消費者に商品を届けることが可能な広告主に売上の大幅な増加をもたらし続けた。マークルによれば、スポンサードプロダクツの広告は第1四半期、広告主が支出を70%増やした結果、前年比70%の成長を遂げた。スポンサードブランド(Sponsored Brands)の広告も同様の結果を出している。マークルによれば、広告費が118%上昇し、前年比131%の売上増加を記録している。

新型コロナウイルスの影響による危機が続いても、Amazonの広告事業は繁栄できると示唆する初期兆候がいくつかある。FacebookとGoogleはさまざまな広告の柱となる存在だが、これらのプラットフォームは売上を効率的に増やしてくれると証明し続けられる広告はあまりない。Amazonはほかのどのプラットフォームより、市場に存在する購入者をはるかに多く引き付けることができる。いまのように不安定な時期には、これが回復力を高めるための資産になる。

マークルのウォーラー氏は「新型コロナウイルスの到来をきっかけに、企業はメディアチャンネルの再評価を余儀なくされている。いま、Amazonにできることは、ほかのプラットフォームにはできない方法で、広告が売上やリーチに及ぼす方法を測定することだ」と話す。「一部の広告主はAmazonを成長チャンネルと見なし、全体的な予算の一部をAmazonに回している。Amazonで成長を遂げた結果、Amazonに追加投資できているというケースもある」。

Seb Joseph (原文 / 訳:ガリレオ)