「新型コロナウイルスの世界的流行は、どんな状況になれば「パンデミック」と呼ばれるのか?」の写真・リンク付きの記事はこちら

新型コロナウイルス「SARS-CoV-2」は中国から飛び火し、感染症「COVID-19」を世界中に広めている。この感染症の症状には発熱、せき、咽頭炎などが見られ、特に高齢者など体の弱い患者の場合は死に至ることもある。

世界保健機関(WHO)によって1月に「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」と宣言された新型コロナウイルスだが、米国にまで感染が広がり、イタリアとイランで深刻なアウトブレイク(集団感染)が発生している。そしていま多くの公衆衛生当局の関係者が、パンデミック(世界的大流行)に発展した場合への準備を進めている。

だが、そもそもパンデミックの正確な意味は何だろうか?

すでに封じ込め可能な時点を越えた?

古典的な定義によると、病気の重症度は考慮されない。それよりも地理的な意味合いが強い。世界中に拡散し、かつ多くの人々に感染した病気のことを指す言葉だ。したがって、比較的重症度の低い病気であっても、広範囲に拡散すればパンデミックに分類されうる。

しかし、パンデミックと呼べる規模になると、感染者のごく一部が重症化しただけでも、世界的に見れば重症者は相当な人数になる。このほかの分類として特定地域に限定されるエンデミック(風土病)があり、地域での症例が急増するとエピデミック(局地的な流行)と呼ばれる。

「これまでWHOは、新型コロナウイルスの拡散をパンデミックとは呼んでいません。それでも、わたしも含む多くの疫学者は、すでにパンデミックとして扱っています」と、スタンフォード大学スタンフォード・ヘルスコミュニケーション・イニシアチヴ所長のシーマ・ヤスミンは語る。「新型コロナウイルス『SARS-CoV-2』の拡散は、封じ込め可能な時点を越えた可能性が高いと思います。潜在的なパンデミックに対して最初にすべきことは封じ込めですが、これは中国が前代未聞の規模の検疫措置で試みたことそのものです」

繰り返されてきたパンデミック

人類がパンデミックの試練に晒されたのは、これが初めてではない。14世紀の黒死病(ペスト)は、当時の欧州の人口のおよそ半数を死に至らしめている。1918年の「スペインかぜ」は当時の世界人口の3割に感染し、約5,000万人が死亡した。

2009年に発生した豚インフルエンザのパンデミックでは、世界人口の11〜21パーセントが感染したが、致死性ははるかに低い。死亡したのは最大でもおよそ50万人だった。

幸いなことに、COVID-19などの感染症に対し、ヒトは免疫を獲得できることがわかっている。「つまり、この感染症の拡散が続いても、最初ほど大きな威力にはならないということです」と、ヤスミンは言う(なお、日本人女性が新型コロナウイルスに二度感染したという最近の報道を耳にした人もいるかもしれないが、その結論はおそらく誤りとされる)。

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感染から身を守るために必要なこと

米国では、新型コロナウイルスの今回の第一波によって生じる感染拡大に備え、当局者が準備を進めている。だが実際のところ当局者によると、ウイルスへの対策の大部分はわたしたちに委ねられているという。

自分とほかの人々を感染から守りたいなら、病気になったら家にとどまり、こまめに手洗いをする。どうしても咳をしたいときは、肘で口を覆う。顔に触れないようにする。ウイルスは、せき・くしゃみで生じる飛沫を介して広がるのだ。

だからといって、息苦しさを感じるなど感染を示す症状が出ているか、あるいは医療従事者でない限り、店でマスクを買い漁ってはならない。「必要もないのにマスクを着用したり、大量のマスクを買いだめしたりすると、すでに起きているマスク不足をさらに悪化させるだけです。本当に必要な人々が入手しにくくなってしまいます」と、ヤスミンは語る。

なお、パンデミックに関する詳細と新型コロナウイルスについての追加情報は、ヤスミンが出演している下記の『WIRED』US版のヴィデオも参考にしてほしい。

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