もはや原型が残ってない... プロの職人がボロボロの包丁を砥ぎ直した結果がこちら
切れなくなってしまった包丁を、皆さんはどのように扱っているだろうか。昔から使ってたけど、もう使い物にならないし......と捨ててしまう前に、「砥ぎ直し」を考えてみてもいいかもしれない。
全体をサビにおおわれ、大きく刃が欠けてしまった包丁でさえ、職人の手にかかれば新品のような輝きを取り戻す。
凄い状態の庖丁の砥ぎ直しが来たので、直しちゃうと「コレ自分のじゃない」とか言っちゃう人がたまに居るので、記録用に撮っておきました。
— DANY (@gilmanhouse) February 13, 2020
柄も換えたので、もはや原型が無いなw
特に大きく欠けてサビだらけの方・・・ pic.twitter.com/JXThZsgrYd
こちらは、「包丁砥ぎ師」のDANY(@gilmanhouse)さんによる、2020年2月13日のツイート。
「柄も換えたので、もはや原型が無いなw」
というコメントの通り、ピカピカに輝く包丁は、砥がれる前と同じものだとは思えないほど美しい。
DANYさんのツイートより(編集部で銘の部分にモザイク)
プロの砥ぎ師の手で生まれ変わった刃の姿を見たユーザーからは
「こんな状態でも直せるものなんですね...凄いです」
「良い意味で別物過ぎるな」
「別の包丁買ってきたんじゃないんですか?ってくらいびふぉーあふたーが違いすぎる...スゴイ」
と驚きの反応が寄せられている。
DANYさんのツイートによると、砥ぎ直しを依頼した持ち主からは17日、「すごく綺麗に直ってる」と喜びの電話があったそうだ。
これほど美しく包丁が砥げるようになるまでには、どれほどの修業が必要なのだろう。Jタウンネット編集部は19日、本人にDMで取材した。
包丁砥ぎ師は「一生修行」
DANYさんは、大阪府堺市で工房を営む包丁砥ぎ師。堺市と言えば日本でも有数の刃物の産地であり、「堺打刃物」は大阪府の伝統的工芸品に指定されている。
堺市のウェブサイトによると、その特徴は切れ味の鋭さで、堺の包丁は世界中のプロの料理人に愛用されている。また、その製造工程も特徴的で、古くから分業制が確立しており、「鍛造」「刃付(研ぎ)」「柄付」それぞれを専門とする職人が存在するそうだ。
DANYさんが包丁砥ぎ師になったのは今から20年前。父親の跡を継いで職人になったという。
「時間を掛けてでも丁寧にやれば一通り砥げる様になるまではだいたい5年程度で、あとはそこから仕事として通用する早さで仕上げられる様になるか、更に精度を上げていくのが一生修業と言われています」(DANYさん)
写真左側の包丁のように、大きく刃が欠けてしまったものでも、3時間ほどで新品同様に復活させられるそう。まさに職人技だ。
DANYさんのツイートより
ツイートによると、砥ぎ直しはDANYさんにとってメインの業務ではないが、工房で預かったり、伝統産業会館で砥ぎ直しの実演を行ったりしているようだ。
錆びたり欠けたりしてしまった包丁を砥ぎ直してもらいたいと思ったとき、どれくらいの状態なら、美しく甦らせることができるのか尋ねると、
「片刃の包丁の場合ですが、裏側の鋼が残っている、中子(編注・柄の部分に入っている刀身)があまり錆びていない状態であれば大体砥ぎ直せると思いますので、使う時には裏をあまり砥がないようにと、柄が割れたらすぐ交換するようにして欲しいです」
とのこと。素人目にはもう使えないかもしれない、という見た目になってしまっても、それまでの使い方次第で復活させられる場合もあるようだ。
台所で眠っている包丁があるならば、一度プロの目で見てもらうのもいいのかもしれない。