《青梅強盗殺人》“実行役”の知人が告白、被告の過去と「殺意のなさ」の理由
「トシキはもともと、人なんか殺せるような人やないと思う。もし本当にやったとしても、それは上の人に指図されて、断り切れなかったからやと思う。私は彼の罪が少しでも軽くなればと考えて、証言しようと思ったんです」
【写真】殺害された被害者と、知人に見せびらかしていた“札束”
週刊女性の取材にそう重い口を開いたのは、週刊女性1月21日号で報じた東京の資産家強盗殺人事件で逮捕された野村俊希被告(25)の知人。
母親からも捨てられて
昨年12月に青梅市の小川和男さん(享年67)が殺害された事件で、1月24日、新たに橘健吾容疑者(26)と簗瀬(やなせ)誠容疑者(23)が逮捕された。
野村被告はハン・イルイン被告(31)とともに12月27日にすでに逮捕されていて、今年になって強盗致死と住居侵入の罪で起訴されていた。
当初は「強盗殺人」で逮捕されたが、殺意があったことは認定できないとして「強盗致死」となったが、知人も野村被告が簡単に殺人までするような男ではなかったと証言する。
「トシキはもともと大阪府の出身で、中学校のころに両親が離婚。兄と姉は父親に引き取られ、彼は母親に引き取られた。その後、傷害事件か何かを起こして警察ざたになったため、母親からも捨てられてしまったんです。私にはそんな凶暴な様子はまったく見せなくて、普通の男。可愛いやつなんですけどね」
傷害事件の後、野村被告は京都の建設会社で働くようになり、そこで出会ったのがハン被告だった。
「確か、建設会社ではトシキの上司だったはずです。でも、トシキはちゃんと会社員として働いていたと思う。20歳前後のとき、いったんは京都の女性と結婚して、子どもも1人生まれています。でも、結局は長続きしないで、離婚していますけど」(同・知人)
しかし、2015年に野村被告は富山市で強盗致傷事件を起こしてしまう。市内の公園で男性に殴る蹴るなどの暴行を加えて、現金を強奪。地元の大工とともに逮捕され、執行猶予つきの判決が言い渡されていた。
“使いっ走り”だったと思う
今回の事件は、その猶予中の犯行と見られるが、そこまで困窮していたのだろうか。
「私にはトシキが金に困っていたようには見えなかったんやけど、ほかの仲間には“金がない、金がない”とこぼしとったようです。もしかしたら、富山も今回の事件と同じで、金のある人を狙っていたのかも」(同)
これまでの報道によれば、被害者の小川さんと野村容疑者らは面識のない間柄と伝えられていたが知人は、
「私が直接、聞いたわけではないんやけど、どうやら仲間には“一度、青梅市には下見に行っていた。被害者とも一度、会って話をしている”と話しとったようです」
と下調べをしたうえでの計画的な犯行だった可能性があると指摘して、こう続ける。
「遠方まで出かけていって強盗するというやり方ですが、彼はまだ若いので、いわば“使いっ走り”だったと思う。誰かもっと悪い連中がバックにいて、その連中が指示して、トシキみたいな下っ端のやつを実行犯として雇ったという手口やないかと思う」
確かに、野村被告とハン被告は実行役で、今回捕まった橘容疑者は監視役、簗瀬容疑者は車の運手役を務めていたとされ、さらに情報提供者がいるとの説もある。
「最初は物盗りに入ったんやけど、金を見つけられなくて、被害者に顔を見られて逃げてきた。そうしたら、“それはマズい。もう一度、引き返して殺してこいよ”と上の人に命令された。それを断り切れないで、トシキはやったんじゃないか」
そう言ってまでかばう仲間のためにも、野村被告は裁判で事件の真相を明らかにして、罪を償う必要がある。殺意がなかったとしても、人を殺(あや)めたことに変わりはないはずだ。