「耳が聞こえない」と居酒屋に伝えたら... スタッフのアイデアに絶賛「最高のおもてなし」
「全員耳が聞こえない」と伝えたら、手作りの旗を渡してくれた――
ある居酒屋の気の利いた対応が、ツイッターで話題になっている。
旗を振って店員に合図(画像はねこ@catfoodmamiさん提供)
投稿したのは聴覚障害のあるツイッターユーザーのねこ(@catfoodmami)さん。ねこさんの知人が店の予約をする際に「全員耳が聞こえない」と伝えたところ、店員を呼ぶ用の旗と、注文時の説明が書かれた紙、筆談用の紙とペンを用意してくれたという。
ねこさんは遅れて店に行ったといい、
「声で呼べないから店員さんが気付いてくれるまで待つしかないことが多かったけどこの旗があると助かるー!この気づきはありがたい」
と投稿。呼び鈴がない店では店員を呼ぶことが難しいため、この気遣いに喜んでいるようだった。
ツイッターではこの投稿に対し、
「最高のおもてなし!」
「旗!いいですね 手を振るだけじゃ、居酒屋さんだとあまり目立たないですもんね」
「こういう発想ができて即サービスに実装できるところが本当にすごい」
といった称賛の声が寄せられている。
耳の不自由なお客さんは「初めてだった」
投稿主のねこさんに話を聞くと、普段居酒屋で店員を呼びたい時は手を振って呼ぶことが多い。しかし混んでいる店内ではなかなか気付いてもらえず、キッチンなどから遠い席に通された場合は呼ぶこと自体が大変だという。
「旗だと目立ちますし、赤い線が引いてあるので、ただ手を振ってるだけよりは遠目から見ても分かりやすいです。とても良いアイデアだと嬉しく思いました」
ねこさんは当時の気持ちをこのように話す。また旗や説明の用意以外にも、注文した料理が届いた時に店員が身振りや口の形を大きくして説明する、帰る時に「ありがとう」と手話で表現するなどの対応があり「びっくりしました」と話している。
Jタウンネットは2020年1月14日、ねこさんらが訪れた佐藤商店(東京都豊島区)のスタッフに詳しい話を聞いた。
旗を作ったというスタッフは、ねこさんらにこのような対応をした理由を次のように話す。
「お店をオープンしてから、初めての耳の不自由なお客様でした。ベルがない店なので、どのようにしたら呼んでいただけるか考えた結果、旗を作りました」
佐藤商店は19年7月にオープン。今回の対応は予約を受けてから来店するまでの1時間半〜2時間で考えた。ちなみに旗が赤の斜線になっているのは、カラーを考える際に「赤と白が一番目立つ」と感じたからだという。
今回の対応がツイッターで話題になったのをきっかけに、他の聴覚障害者からの予約もすでに入っているとのこと。その際も同じように対応する予定だ。
スタッフは今回話題になったことについて、
「お店としても個人としても、すごく嬉しく思っています。ツイッターでいろいろな人に見ていただいて、耳の聞こえない方が声を発することも不自由だということを多くの人が知ってくれたらいいと思います」
としている。