公用車やハイヤーのボディカラーはなぜ「黒」が多いのか
フォーマルウェアにも使用される黒は無難で汎用性も高い
自治体の首長や公的機関が業務に使用する公用車や企業の重役クラスが利用する社用車、そしてハイヤーなどのボディカラーが、ほとんど「黒」一択なのはなぜなのか。
まず、都内でハイヤーの運転手を務めているドライバーに訊いてみた。
「うちの会社のハイヤーは全車が黒いボディです。ハイヤー=黒というイメージが定着していますし、実際に黒を指定してくるお客さんも多いようです。黒が好まれるのは、フォーマルウェアが黒であるのと同じように、格調が高く、公式の場に出かけていくのに都合がいいからでしょう」とのこと。
たしかに各種のセレモニーや記念式典、授賞式や結婚式、追悼式、歓迎会や祝賀会、その他のパーティーや式典に出席するときのことを考えると、重厚感ある黒のボディが一番無難で汎用性が高いといえる。
このドライバー氏のいうとおり、公用車=フォーマルウェアと考えると、ボディカラーがほとんど黒に統一されていることに合点がいく。
黒は意志の強い人に好まれる傾向にある
また心理学的には、黒=何ものにも染まらない色として、意志の強い人に好まれる傾向があるという。自治体の首長や会社の経営者などは、そうした内面が現れて「黒」を好んでいる可能性もある。
同時に、黒には「暗い」「怖い」「威圧的」というイメージもあり、それを演出している場合もあるし、「黒が落ち着く」として色に迷ったら「黒」という人も珍しくない。
また黒が好きな人は「冷静沈着」というイメージがある一方で、「考え過ぎて悩みが多い」、でも「弱さを隠したい」といった心理も働いている可能性も……。
クルマの場合、黒いボディは汚れが目立ちやすく、熱を吸収しやすいという欠点もあるが、公用車やハイヤーは毎日洗車が基本であり、なおかつ運転手付きなら乗車前からエアコンはバッチリ効いているので、これらのことは問題ない。
結論として、重厚感があって、冠婚葬祭どこにでも乗っていけるというのが、黒が選ばれる一番の理由といえるだろう。