肘への死球なのに一発退場…「警告試合」とは?
◆ オリックス・田嶋が退場に
13日にメットライフドームで行われた西武−オリックスの19回戦で“事件”が勃発した。
西武が5−1と4点をリードした4回表、この回から登板した2番手・森脇亮介はかんたんに二死をとるも、そこから連打と四球でたちまち満塁のピンチに。ここで、9番・若月健矢に投じた初球のフォークがすっぽ抜け、これが若月の左肘に直撃してしまう。
押し出しでオリックスが1点を返して次の場面へ……と思いきや、若月は怒りを露わにして森脇に詰め寄る素ぶりを見せると、次の瞬間には両軍入り乱れての緊張状態に。実はこの死球、オリックスにとってこの試合3つめの被死球だった。
これに激昂した一塁側ベンチ。飛び出していった佐竹学コーチがマウンド上の森脇に詰め寄って小突いたため、そこから乱闘騒ぎに発展。佐竹コーチは暴力行為によって退場となり、審判から「警告試合」が宣告された。
すると、直後の4回裏。西武は二死ながら一・二塁のチャンスで打席には森友哉。1ボール・2ストライクと追い込まれるも、オリックス先発・田嶋大樹が投じた直球は森の右肘を直撃。幸いにもガードを装着した部分に当たり、森もすぐに一塁へと歩くそぶりを見せ、田嶋もマウンドから降りて帽子を取り、謝罪の意志を表明したものの、球審の原は一塁ベンチを指さして退場を宣告。田嶋は強制的にマウンドから降ろされることになった。
◆ 「警告試合」とは…?
死球による投手の退場と言うと、頭部付近への“危険な投球”に対して宣告される「危険球退場」が代表的なものであり、今回のケースのようないわゆる“ふつうの死球”での退場となると珍しい。なぜ今回このような事態になってしまったのかというと、4回表に宣告された「警告試合」がその原因となっている。
「警告試合」とは、審判団が“危険な要素を含んだ試合”と判断した際に発令されるもの。今回のような乱闘が起こった時や、両軍入り乱れてもみ合うまではいかないまでも、睨み合いの緊張状態になった時などに責任審判から告げられる。
目的としては、“報復行為を防ぐ”というのが第一。「警告試合」の宣告後も試合は進んでいくものの、もしも審判団が報復行為であると判断するプレーが飛び出した場合、それが故意であるかどうかに関わらず、該当のプレーをした選手やそのチームの監督に退場を宣告することができる。
特に死球は“報復合戦”となりやすいために厳しく取られ、今回の田嶋もすぐに帽子を取って謝罪したが、球審はすぐに退場を宣告した。公に明文化されたルールがなく、過去の例も少ないため断言するのは難しいが、見た目の危険度や投手の態度などはあまり関係なく、死球を当ててしまった時点で高確率で退場になると考えたほうが良いだろう。
ちなみに、審判には報復行為と判断した段階で退場を宣告できる権利があるため、死球にならずとも打者をめがけて投げたと思われる危険な投球をした投手や、野手でもクロスプレーの危険なスライディングが“報復”と判断されれば退場となる可能性もある。
◆ 戦いはまだつづく…
この試合は西武が11−4で勝利を収めるのだが、9回表には西武の5番手・平良海馬が福田周平に死球を当てて即退場。ここではもみ合いとはならなかったが、再び両軍がベンチから飛び出して一触即発ムードとなる一幕があった。
思えば前カードの京セラドーム大阪での対戦でも、西武・岡田雅利が死球を受けた後に“乱闘未遂”となったシーンもあり、そこからさほど間を空けずにこの日も西武が1つ・オリックスは4つの死球を受けた末、両軍合わせて3人が退場するという異常事態となってしまった。
特にオリックスとしては前カードの8月3日からこの日までの3試合連続で死球を受けており、その数合計7つと西武戦の被死球が非常に多いことから、今後も両者の対戦は凄まじい緊張感のなかでの戦いとなることだろう。
あす・あさっての試合も含め、両チームの対戦は残すところあと6試合―。遺恨が深まることなく、モヤモヤのない熱戦に期待したいところだが、果たして……。
文=尾崎直也
13日にメットライフドームで行われた西武−オリックスの19回戦で“事件”が勃発した。
西武が5−1と4点をリードした4回表、この回から登板した2番手・森脇亮介はかんたんに二死をとるも、そこから連打と四球でたちまち満塁のピンチに。ここで、9番・若月健矢に投じた初球のフォークがすっぽ抜け、これが若月の左肘に直撃してしまう。
押し出しでオリックスが1点を返して次の場面へ……と思いきや、若月は怒りを露わにして森脇に詰め寄る素ぶりを見せると、次の瞬間には両軍入り乱れての緊張状態に。実はこの死球、オリックスにとってこの試合3つめの被死球だった。
すると、直後の4回裏。西武は二死ながら一・二塁のチャンスで打席には森友哉。1ボール・2ストライクと追い込まれるも、オリックス先発・田嶋大樹が投じた直球は森の右肘を直撃。幸いにもガードを装着した部分に当たり、森もすぐに一塁へと歩くそぶりを見せ、田嶋もマウンドから降りて帽子を取り、謝罪の意志を表明したものの、球審の原は一塁ベンチを指さして退場を宣告。田嶋は強制的にマウンドから降ろされることになった。
◆ 「警告試合」とは…?
死球による投手の退場と言うと、頭部付近への“危険な投球”に対して宣告される「危険球退場」が代表的なものであり、今回のケースのようないわゆる“ふつうの死球”での退場となると珍しい。なぜ今回このような事態になってしまったのかというと、4回表に宣告された「警告試合」がその原因となっている。
「警告試合」とは、審判団が“危険な要素を含んだ試合”と判断した際に発令されるもの。今回のような乱闘が起こった時や、両軍入り乱れてもみ合うまではいかないまでも、睨み合いの緊張状態になった時などに責任審判から告げられる。
目的としては、“報復行為を防ぐ”というのが第一。「警告試合」の宣告後も試合は進んでいくものの、もしも審判団が報復行為であると判断するプレーが飛び出した場合、それが故意であるかどうかに関わらず、該当のプレーをした選手やそのチームの監督に退場を宣告することができる。
特に死球は“報復合戦”となりやすいために厳しく取られ、今回の田嶋もすぐに帽子を取って謝罪したが、球審はすぐに退場を宣告した。公に明文化されたルールがなく、過去の例も少ないため断言するのは難しいが、見た目の危険度や投手の態度などはあまり関係なく、死球を当ててしまった時点で高確率で退場になると考えたほうが良いだろう。
ちなみに、審判には報復行為と判断した段階で退場を宣告できる権利があるため、死球にならずとも打者をめがけて投げたと思われる危険な投球をした投手や、野手でもクロスプレーの危険なスライディングが“報復”と判断されれば退場となる可能性もある。
◆ 戦いはまだつづく…
この試合は西武が11−4で勝利を収めるのだが、9回表には西武の5番手・平良海馬が福田周平に死球を当てて即退場。ここではもみ合いとはならなかったが、再び両軍がベンチから飛び出して一触即発ムードとなる一幕があった。
思えば前カードの京セラドーム大阪での対戦でも、西武・岡田雅利が死球を受けた後に“乱闘未遂”となったシーンもあり、そこからさほど間を空けずにこの日も西武が1つ・オリックスは4つの死球を受けた末、両軍合わせて3人が退場するという異常事態となってしまった。
特にオリックスとしては前カードの8月3日からこの日までの3試合連続で死球を受けており、その数合計7つと西武戦の被死球が非常に多いことから、今後も両者の対戦は凄まじい緊張感のなかでの戦いとなることだろう。
あす・あさっての試合も含め、両チームの対戦は残すところあと6試合―。遺恨が深まることなく、モヤモヤのない熱戦に期待したいところだが、果たして……。
文=尾崎直也