連絡ツールとして便利なLINEですが、乗っ取りやなりすまし被害に遭わないためにはどうしたらいいでしょうか?(写真:hanack/PIXTA)

今やすっかり連絡ツールとして定着したLINEだが、出会い系被害や個人情報流出などにつながる例も多い。過去にもさまざまなトラブルが起きている。

例えばベッキーさんの事件で知れ渡ったLINE流出には、多くの人がヒヤヒヤしたのではないか。2016年1月、ベッキーさんと川谷絵音さんのLINEでのやり取りが流出し、週刊誌に掲載されてしまったのだ。

実は、これはクローンiPhoneを作ってリアルタイムで監視したからと言われている。パソコンにiPhoneのバックアップを取り、そのバックアップデータを元に別のiPhoneに復元することで、両方の端末から同じアカウントにアクセスできたという。

LINE社は2016年2月に仕様を変更し、同じ操作を行っても複数の端末から同じアカウントにアクセスできないようにしている。通常の使い方をしていれば、LINEが流出することはまずないだろう。

「見知らぬ他人」ともつながる10代

こうした問題が起きたら、すぐに改善するのがLINEの姿勢。だが、今もなおリスクはある。

Twitterでは知らない人と交流しても、LINEでは基本的に知り合いのみとつながるという人が多いだろう。しかし、10代の子どもたちは違う。安全のため18歳以下はID検索機能が使えなくなっているが、彼らは見知らぬ他人とも安易につながろうとする。

例えばTwitter上で、「暇だからLINEしよ」などと友だち追加QRコードを公開している10代は多い。LINEのID交換掲示板やQRコード掲示板でIDやQRコードを公開している例も少なくない。

ある高校生は「Twitterで同じ趣味の人たちと盛り上がった。やり取りが多くなって面倒くさくなったから、LINEグループを作ってそっちに移った」と言っていた。10代の子たちは共通の趣味でつながっただけで、まったく知らない相手とも気軽にLINEでつながってしまう。

当然、これはかなり危険な行為だ。LINEでつながると通話もできてしまう。もし悪意ある大人などとつながってしまえば、甘い言葉で誘い出されて犯罪被害に遭う危険性もある。

また、2018年8月には消費者庁が、「毎月最低30万円分のビットコインを受け取り続けられる」というLINEメッセージの誘い文句で消費者から多額の現金をだまし取る事業者についても注意喚起している。

LINEでのやり取りは、他人から見えないため被害に巻き込まれても外からは把握しづらい。精神的な距離が近くなり相手と親しくなりやすい面もあるために、こうした犯罪被害が後を絶たないのであろう。

LINEを乗っ取られる人の盲点

LINE乗っ取りと聞くと、「過去の話」と思う人もいるかもしれない。しかし、今も乗っ取りは頻発している。さらに現在ではメッセージのほか、QRコード決済などもできるようになり、乗っ取られた場合の被害は以前よりも拡大している。

乗っ取り被害の発端となるのは、運営元であるLINE社をかたるフィッシングメールだ。「お客様のLINEアカウントに異常ログインがありました」などとうたったメール内のURLをタップすると、LINEのログイン画面が表示される。これは本物そっくりに作られた偽サイトであり、IDやパスワードを入力してしまうとアカウントを乗っ取られてしまう。

こうした被害を防ぐため、LINE社は2016年2月から「2段階認証」を導入している。ログイン画面で正しいメールアドレスとパスワードを入力すると、登録した端末にSMS経由で認証番号が送られてくるようになった。認証番号を入力すれば、無事LINEアプリにログインできるという仕組みである。

ところが、それでも乗っ取り被害は収まらなかった。ある日、突然「携帯電話番号を教えて。そしてLINEの確認メッセージを認証してもらえる?」というメッセージが友人・知人から届き、4桁の認証番号を教えてしまい、アカウントが乗っ取られるユーザーが多発したからだ。

これは、なりすましで個人情報を聞き出すいわゆる「ソーシャルエンジニアリング」手法だ。SMS認証番号は絶対に他人には教えてはならない。


LINE社は乗っ取り被害を防ぐために、2016年から「2段階認証」を導入した(筆者撮影)

被害に遭わないためのコツはいくつかある。いつもと違う端末からログインがあった場合、LINEアカウントから通知が来る。この通知を必ず確認し、覚えがないログイン履歴があった場合はパスワードを変えるなどの対策をとったほうがいいだろう。

またそもそも、ほかの端末からログインできない設定にしておけば、他人が別の端末からログインすることはできない。

「設定」→「アカウント」→「ログイン許可」はオフにしておくといい。

なりすまし被害も

もっとアナログな問題も起きている。ある女性は、保護者同士でのグループLINEで大失敗をした。

LINEは気軽につかえるため、ついつい注意を欠いた発言をしやすい。メッセージを送る前に1度読み返して、問題がないか確認する習慣が大切だ。グループに参加していないあるママ友の悪口を書き込んでしまったのだ。ところが、それをグループに参加していた別のママ友がキャプチャを撮り、当人に転送してしまった。それによって、相手と険悪な関係になってしまったという。

また、ある20代男性は、女友達から「けんか売ってるの? 言いたいことがあれば直接言えば」と言われて驚いた。

そのような覚えは一切なかったが、女友達に問いただすと、恋人が女友達になりすましでLINEメッセージを送っていたことがわかった。スマホにロックをかける習慣がなく、LINEもほとんど使っていないので彼は気づかなかったという。

スマホを落とすなどして個人情報が流出する事件も少なくないので、万一に備えてスマホにはロックをかけておこう。念のためLINEにもロックをかけておくと安心だ。

LINEは親しい関係の人とつながるツールなので、不正アクセスされたり乗っ取られると、個人情報やプライバシーが筒抜けとなってしまう。周囲にも大きな迷惑をかけることになるので、くれぐれも注意してほしい。