駐車場で見かける「前向き駐車でお願いします」は何のため? 守らなかったら違反になるのか
看板を掲げているコンビニ及びラーメン店に直撃取材
コンビニやファミレスなどの駐車場でよく見かける、「前向き駐車でお願いします」という看板。「前向き駐車」というのは、道路側・通路側とは反対向きに、クルマの頭から駐車スペースに入れること。こうした但し書きがなければ、多くの人はバックで駐車スペースに入れる人が多いはず。ではなぜ、店舗側はわざわざ「前向き駐車」をお願いするのか。
だいたい想像はつくとは思うが、近所のコンビニの店長に聞いてみると、「駐車場のお隣が住宅なので、後ろ向きに駐車されるとそちらのお宅に排気ガスが流れてしまい、不快な思いをされるので、お客様には前向き駐車をお願いしています」とのこと。
また、知人のクルマ好きのラーメン店の店主も、同じように前向き駐車をお願いしているので、その理由を訊いてみると、基本的にはコンビニと同じ事情とのこと。
さらに、「マフラーの出口が住宅側に向いていると、排気ガスだけではなく、排気音もより大きく聞こえる可能性があるので」ともうひとつ理由を付け加えてくれた。
前向き駐車に法的な拘束力や罰則はない
なお、「前向き駐車」はあくまで店側の「お願い」で、私有地の駐車場内の駐車方法についての協力要請なので、法的な拘束力や罰則はない。
とはいえ、店側のお願いを無視して、近所の人とそのお店の関係が悪くなると、お店も商売がやりづらくなり、駐車場や店舗の移転、その他のサービスの低下などにも影響する可能性は否めないので、できるだけ来店者も協力した方が、店のためにもお客自身のためにもいいと思う。
ただ、駐車スペースが狭く、道路への出入りがしづらいような駐車場だと、前向き駐車よりバックで駐車するのを望む人が多いのも事実。
駐車スペースが広くなった代わりに、駐車できる台数が減るのも困るし、店舗も近隣も来客者も不満がないカタチは見いだせないかもしれないが、ここは大岡越前に倣って「三方一両損」的な落としどころである、「前向き駐車」に協力するのが、大人の落としどころなのではないだろうか。