岐阜とコソボ共和国、実はそっくり? そんな偶然から、世界に1つだけの「着物」が生まれた
面積がほぼ同じで、海がない。バルカン半島の内陸に位置する小さな国「コソボ」と岐阜県には、そんな共通点があった。この不思議な縁がきっかけで、岐阜市在住の美濃友禅作家河村尚江さんが、コソボをモチーフとしたKIMONOをデザインすることになった。
その世界に一つしかないKIMONOが、2019年3月14日、東京で開催された、コソボと日本の外交10周年記念及びコソボ共和国独立11周年記念の祝賀会で披露された。コソボから来日した議会議長はもちろん、駐日コソボ大使も大喜びだったという。
コソボと岐阜の架け橋となった貴重なKIMONOとは、いったいどんなものだろう? Jタウンネット編集部は友禅作家・河村さんに電話で話を聞いた。
東京五輪・パラリンピックを見据えた「KIMONOプロジェクト」の一環
プリズレンに架かる石橋が目にも鮮やかだ
河村さんは次のように話してくれた。
「KIMONOの色彩はコソボの国旗の色である青色と黄色を用い、意匠は伝統的なドレスの柄、真上と横から見た図書館の風景、国の神として祀られる土偶、コソボのプリズレンに架かる橋を用いました。
プリズレンは国の文化記念碑がたくさんある街と言われ、博物館の街、物事の起源・美しさの街と呼ばれています。コソボの国の平和を祈り、未来に架かる希望の橋でありたいという願いや、イマジンワンワールド KIMONOプロジェクトの理念である、KIMONOを通じて、『世界はきっと、ひとつになれる』を目指して制作いたしました」
上の写真をご覧になると分かるだろう。プリズレンの石橋の周りに、図書館や街の風景、植物や土偶など、コソボの伝統的民族衣装の柄などが見事にデザインされている。
「KIMONOプロジェクト」とは、福岡県久留米市の一般社団法人「イマジンワンワールド」が呼びかけている、2020年の東京五輪・パラリンピックを見据えた活動の一環だ。世界各国と地域をモチーフとした着物づくりで、日本全国の卓越した染織技術を結集し、加賀友禅(石川)や西陣織(京都)などの作家が参加している。
コソボKIMONO制作中の河村さん
「コソボ大使からは、ステージ上で作品の紹介をしてくださり、身に余る光栄でした。コソボよりお見えになった皆様には、あたたかく接していただき、本当に嬉しく、また心より感謝申し上げます。『着物とはこんなに美しいものなのか』など、ご感想や賞賛をいただき、ひとつひとつのお言葉が胸に響きました。この作品は、明るい未来に向かって橋が架かるよう願いを込めました。作品を前に沢山の笑顔が溢れるのを目の当たりにし、平和と希望を照らす未来を感じ、大変心を打たれました。」
コソボと岐阜の架け橋となった着物は、東京五輪開会前に開かれるやイベントやショーなどで披露される予定だ。
KIMONOの前に立つ、レオン・マラゾーグ駐日コソボ共和国大使