記憶力と油の関係、脳に必要とされる3つの脂質
「健康によくない」「ダイエットの敵」として認識されがちな脂質。実は、脳の機能を維持し、集中力や記憶力に欠かせないということをご存じですか?
脂質は、重量にして脳の50~60%を占めています。特に重要なレシチン・オメガ3・コレステロールについて解説します。
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3つの種類と効果
1.レシチン
レシチンという脂肪酸は、記憶に関係する脳内物質「アセチルコリン」と「ミエリン鞘」の原料です。アセチルコリンは記憶力に関係する脳内物質です。人の顔は覚えているのに名前を思い出せないなどという記憶力の低下は、アセチルコリンの不足によるものです。
ミエリン鞘は脳細胞同士の情報リレーをサポートする物質です。レシチンが不足し、ミエリン鞘が弱くなると、次の脳細胞に情報が届かなくなります。すると、買い物に出かけ、いざお店に着いたときに何を買おうとしていたか忘れてしまうなどの物忘れが起こります。
2.オメガ3
DHAやEPAなどのオメガ3とよばれる種類の油は、脳神経の発達や機能の維持に欠かせません。 特にDHAは脳の伝達情報に必要な神経細胞を活性化し、判断力や集中力を高めてくれます。また、EPAは血中の中性脂肪を減らし、血液をサラサラにする働きがあります。脳内の血管の若々しさを保ち、幸せホルモン「セロトニン」の働きも良くしてくれる物質です。
3.コレステロール
体内のコレステロールのうち、4分の1が脳に存在します。脳の神経細胞は高度な情報処理をしているため、複雑な形をしています。その細胞膜の形と柔軟性を維持しているのがコレステロールです。ストレスに強い体をつくる副腎皮質ホルモンや性ホルモンもコレステロールを原料にしています。
脂質のとり入れかたのコツ5つ
1.卵を食べる
卵黄に含まれる卵黄レシチンは、脳内の神経伝達物質のもとになります。また、卵はコレステロールを多く含む食材として知られているため、気になる方は避けがちですが、食事からとるコレステロールで、すぐに高コレステロールになることはありません。
2.大豆製品をとり入れる
大豆にはレシチンが含まれています。最近、大豆製品をとれていないなという人は、間食に豆乳を飲んでみて下さい。
3.魚を食べる
魚の中でも、さんまやさば・マグロやいわしなどの青魚にDHAやEPAが多く含まれています。特にイワシにはDMAE(ジメチルアミノエタノール)が含まれており、脳を活性化します。
DHAやEPAは熱に弱く酸化しやすいので、お刺身で食べるのがベスト。煮魚やグラタン、缶詰などもいいいですね。天ぷらやフライなど高温で加熱する調理法は、貴重な脂肪分が半分以上流出してしまいます。
4.亜麻仁油やしそ油を使う
細胞の機能を正常に保つには、オメガ3とオメガ6のバランスが大切です。しかし、日常的に使われる食用油や市販のドレッシング、加工食品で使われているのは、オメガ6のリノール酸がほとんど。そのため、オメガ6系の脂肪酸が過多になりがちです。オメガ3の亜麻仁油やしそ油を使い、積極的にオメガ3脂肪酸を補いましょう。
オメガ3とオメガ6の理想の割合は1:1。現代の日本人は1:4でオメガ3の摂取量が少ないので、意識してとり入れたいですね。(※1)
5.チアシードをとる
チアシードは、オメガ3脂肪酸であるα‐リノレン酸が豊富。グレープフルーツジュースやオレンジジュースに浸して吸水させ、塩こしょうや亜麻仁油・しそ油などを加えて味を調えるとデリ風サラダドレッシングが作れます。
少しの工夫でオメガ6をオメガ3に置き換えることができます。記憶力を維持・向上するために、脳に必要な脂質をしっかり補って、健やかな毎日を過ごしたいですね。
【参考】
(※1)生田哲 「食べ物を変えれば脳が変わる」 PHP新書(2012年P62)
生田哲 「食べ物を変えれば脳が変わる」 PHP新書(2012年P6,40,148)
姫野友美 「心療内科に行く前に食事を変えなさい」 青春出版社(2016年P108〜115)
「あすけんダイエット - 栄養士が無料であなたのダイエットをサポート(www.asken.jp)」
[文:あすけん 管理栄養士]
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。