FW久保建英(横浜FM)とDF橋岡大樹(浦和) のゴールパフォーマンス
 来年開催のU-20W杯出場権を獲得し、U-19アジア選手権を4強で終えたU-19日本代表が4日までに帰国した。

 チームの決勝進出は叶わなかったが、今大会はFW久保建英(横浜FM)が際立ち、出場する度に違いを見せた。全5試合に出場し、攻撃陣最多の出場時間で1ゴール3アシスト。初戦の北朝鮮戦(5-2)はスルーパスで貴重な先制点を演出すると、左足のスーパーFKが炸裂。2-0から2-2に追いつかれた悪い流れを断ち切り、勝利の立役者に。イラク戦(5-0)で冷静にスルーを選択して得点を導いたように、好連携から味方を生かすプレーも光った。

 U-20W杯出場権を懸けた大一番の準々決勝インドネシア戦(2-0)でも攻撃の起点となったのは久保のサイドだった。6万大観衆が詰めかけた完全アウェー。後半は雨脚が強まり視界が遮られる中、狭いスペースで味方に正確なパスを付け、鋭いドリブル突破で相手の脅威となり続けた。敗れた準決勝サウジアラビア戦でも、前半攻撃の糸口が見えなかったチームの突破口を開いたのは久保だった。

 大会期間中はDF橋岡大樹(浦和) と仲の良い姿が見られた。初戦でFKが決まった後には2人でハンドシェイクのゴールパフォーマンスを披露。「このパフォーマンスがかっこいいなってタケと言ってて、やる機会がありました」(橋岡)。ピッチ外では「意識せずに」自然と一緒にいることが多かったという。オンオフを切り替え、ピッチ上で躍動する久保には「頼りになるし、違いを見せられる。ああいう選手が一人いるだけで変わる」。

 経験豊富な17歳はチームメイトにとっても頼もしい存在だった。DF三國ケネディエブス(青森山田高)が「建英はレベルが違う。なんでもできる」と言い切れば、DF瀬古歩夢(C大阪)も「00年組の代表のときからあいつに助けられてきて、今回も助けられました」と話した。

 同じ横浜FMでプレーするMF山田康太(横浜FM)は代表の舞台で輝く同僚に「改めて違うステージでタケと同じピッチに立って、あいつの存在感を感じた。頼もしい仲間がいるなと思いました」と信頼を寄せた。「思い切ってやってほしいし、スタジアムが沸くようなプレーを出せるのがあいつの魅力」。

 もっとも、チームには久保以外にも実力者が揃い、橋岡や安部裕葵(鹿島) 、郷家友太(神戸) らJリーグで出場機会を得ている選手が多かった。期待値は高かったが、サウジアラビアの壁に阻まれ、影山雅永監督は「僕らは『タレント集団』なんて皆さんから言われていましたけど、日本におけるタレントなのか、世界におけるタレントなのか。本当に世界で戦えるタレントなのか。もっともっと基準を上げて、世界で戦えるタレントと言われる選手を増やす必要がある」と、あえて厳しい言葉で奮起を促した。

(取材・文 佐藤亜希子)