『世界でいちばん長い写真』インタビュー|成長し続ける高杉真宙、人生のターニングポイントとは
実話を基に誉田哲也が書いた小説を映画化した『世界でいちばん長い写真』。高校写真部に所属する引っ込み思案な高校生・宏伸を演じるのは、映画『虹色デイズ』『君が君で君だ』や、劇場アニメ『君の膵臓をたべたい』など話題作への出演が続く高杉真宙。今作の撮影秘話や、人生においてなくてはならないというアニメやマンガとの向き合い方などを語ってくれた。
──最初に台本を読んだ時の感想をお聞かせいただけますか。
高杉:平凡な男の子がパノラマカメラと出会って、少しずつ毎日が変わっていくところが良いなと思いましたし、爽やかな青春ストーリーなので、誰もが共感できるような物語になっています。
──草野翔吾監督が“高杉くんのままでいいよ”とおっしゃったそうですが、だからこそ宏伸くんとの違いも意識して演じられたそうですね?
高杉:根本的なところは宏伸と似ているんですけど、僕は自分の意見を言えないタイプではないのでそこは違うと思いました。あと、割とマイペースなので、宏伸のように人に振り回されることもあまりないかもしれません。ただ、“変わりたい”と思っていた頃の自分と宏伸が重なる部分があったので、もしかしたら今の僕は宏伸の未来の姿なんじゃないかなと、演じていくうちに気付きました。
──宏伸くんのようにご自身と根本的なところが似ているタイプを演じるときと、ご自身とは正反対の役を演じるときとどちらが難しいと感じますか?
高杉:僕とは正反対のような役であっても共感できるポイントというのは必ずあって、例えば『ギャングース』という映画でサイケというワイルドな男を演じているんですけど、“彼はこういう目的があって、こういうコンプレックスを抱いているから生きたいという思いに繋がっていくんだな”としっかり理解することができたんです。逆に自分と似ている宏伸のような役だと、どんなことを考えているのか共感ポイントを探さなくても既にイメージできてしまうので、そのイメージが固まりすぎないように演じるのが難しいなと思うことがあります。だからこそ先ほどお話ししたように宏伸との違いを意識するのも大事なのかなと思いました。
──今作の現場はいかがでしたか?
高杉:割と自由に演じさせてくださる現場で、役者が考えた芝居を監督が見たいと言ってくださったのが凄く嬉しかったです。一度やってみて違ったら違うとハッキリおっしゃるので安心して思い切り演じることができました。ここまで柔軟にというか、今まで参加させていただいた作品の中でも一番自由度が高かったですし、それは草野監督の現場だからこそだと思います。
──ユニークな撮影方法も体験されたとか?
高杉:“せかなが委員会”のメンバーが机を円形に並べて座って話し合いをしているシーンがあるんですけど、輪の中心にカメラが置かれていてスタッフさんが一人も部屋にいない状態にして、役者が台詞を言いながらそのカメラを手で回して撮影していたんです。それは初めての体験だったので面白い手法だなと驚きました。
──最初からそういう手法で撮ることが決まっていたのでしょうか?
高杉:いえ、現場に行ったらそういうセッティングになっていたんです(笑)。そんな風に監督もスタッフさんも役者も全員が学生時代に戻って青春を疑似体験しているようなワクワクする現場だったので楽しかったですし、きっとご覧になる方も同じように青春時代を思い出していただけるのではないかなと思います。
──まるで本物の高校生のドキュメンタリーを見ているようなリアルさでした。
高杉:自由に演じさせていただいたことでよりリアルな芝居になったように思います。完成したものを観たら“このアドリブ絶対に使われないでしょ”と思っていたものが結構使われていましたし(笑)、お芝居と素の曖昧さが面白いなと思いました。台本に書かれていたキャラクターを役者達が生き生きとした個性的な登場人物として演じていたのも印象的でした。
──宏伸くんは珍しいカメラと出会ったことで人生が変わり始めますが、高杉さんにとってターニングポイントになったことと言えば、やはりお芝居の世界に飛び込んだときなのでしょうか?
高杉:カッコ良く言えばそうかもしれません(笑)。でも、自分の人生になくてはならないものと聞かれてまず思い浮かぶのはアニメ、ゲーム、マンガで。それこそ幼稚園や小学生の頃からマンガやアニメは見てきたので、僕にとって日常になくてはならないものです。最近はマンガ原作の作品に出演させていただく機会も多いので、それが本当に嬉しくて。昔は役者という仕事があまり好きじゃなかったんですけど、こんな風に大好きなアニメやマンガに関われる仕事をやらせていただく度にこれからも頑張らなきゃなと気合いが入ります。
──役者になってからアニメやマンガとの向き合い方で変化はありましたか?
高杉:アニメやマンガは純粋に楽しみたいという気持ちが強いので、あまり仕事の意識を向けないようにしています。でも、声優をやらせていただく機会があって、その時は改めて実写と声だけのお芝居は全く違うんだなと実感しました。例えると漫画家さんが絵画を描くようなものというか、そのぐらい違うんだなと。声優をやらせていただいたことで大好きなアニメの制作の裏側が少し知れたのも嬉しかったです。以前からどうやって制作されているのか興味があったので、沢山の行程を積み重ねて作られているということを知って驚きました。ドラマや映画の現場が大変なのは知っていますけど、アニメの大変さとは全く違うというか。おかげでさらにアニメやマンガへの愛が強まりました。
──それだけアニメやマンガをご覧になっていると、例えばご自身でも脚本や物語を書いてみたいと思うことも?
高杉:ないですね(笑)。脚本を書ける人を尊敬しているので、自分には書ける自信が全くないというか(笑)。発想力や想像力といったクリエイティブな才能がないと難しいので、まだ僕には無理だと思います。
──アニメで培った想像力を活かした面白い脚本をいつか書いていただきたいです!
高杉:そう言っていただけるけるならいつかチャレンジしてみます(笑)。
──以前インタビューさせていただいた際に“長く生き残っていける俳優になりたい”とおっしゃっていました。そのためにいま準備していることはありますか?
高杉:同性からも指示される役者は長く残っていけるんじゃないかなと思っているので、まず男性から“カッコいい”と言っていただけるような男になりたいです。そのために筋トレに挑戦したりしてるんですけどなかなか続かなくて…定期的にやらないとダメですね(笑)。あと興味を持ったことをもう少し掘り下げてみようと思っていて、なんでもいいんですけど、例えば洋服だったら色んな素材や形があるのでじっくりと見て研究してみたり。そんな風に少しずつ人間としての幅を広げていけば自然と役者というお仕事にも繋がっていくんじゃないかなと思っています。
──ちなみに高杉さんがカッコいいと思う男性は?
高杉:ヒゲの似合うダンディーな渋い男性がカッコいいと思います。『散歩する侵略者』でご一緒した長谷川博己さんはまさに“カッコいいの塊”で、僕がどんなに年齢を重ねたとしても長谷川さんのように渋くてカッコいい大人にはなれないんじゃないかなって(笑)。でも少しでも近づけるように、まずは目の前の作品に全力投球して役者としても男性としても魅力的だと思っていただけるように頑張りたいと思います。
高杉真宙 サイン入りチェキを1名様にプレゼント【応募期間】2018年6月21日(木)〜2018年7月1日(日)終日まで
【当選人数】1名様
【応募方法】映画ランドアプリをダウンロード→該当するSNS投稿を拡散→応募フォーム入力
映画『世界でいちばん長い写真』は6月23日(土)よりシネ・リーブル池袋・イオンシネマ全国順次公開
(C) 2018 映画「世界でいちばん長い写真」製作委員会
スタイリスト:石橋修一/メイク:堤紗也香
取材:奥村百恵/撮影:小宮駿貴
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