テトリスが伝統工芸に出会ったら... 木材と「エレクトロ」がシブく調和してた!
「テトリス」と伝統工芸がコラボレーションする――。そんな情報を耳にしたJタウンネット記者は、大きな驚きを覚えた。日本の伝統工芸をめぐっては、数多くの職人が廃業しているとは聞くものの、まさかゲームであるテトリスとのコラボレーションを図るとは......。
興味本位で2018年5月31日の製品発表会へ行ってみると、シンプルな形の「テトリミノ」(ブロック)をモチーフとした作品に思わず目を奪われてしまった。
飛騨の木を用いたテトリス積木パズル。税抜3万5000円(Tetris(R)&(C)1985〜2018 Tetris Holding.・2018年5月31日撮影・以下同)
テトリス型の弁当箱まで
小さなころモノクロのゲームボーイで1度はテトリスをやった記憶がある人も少なくあるまい。いわゆる「落ちゲー」の祖であり、1984年に誕生してから現在に至るまで、広く人気を博す。そんな名作が、なぜ今回のような試みをするのだろう。
一連の取り組みを主催したのは、長江一彌氏がひきいる「Product Japan」というプロジェクト。「Product Japan」は「MADE IN JAPAN」をコンセプトとし、日本のものづくりの価値を国内外にアピールしていくものだ。
みずからも焼き物の「瀬戸白磁」を製作している長江氏は、現在の日本のものづくりについて、後継者不足などから「疲弊の一途をたどっている」とし、
「それをこのまま見過ごしておいても先のものづくりはない」
と断言。そのうえで、「商品に新たな価値をつけていく」ことが必要だとし、そのために「Product Japan」を発足させたと説明した。
もともと、テトリスは旧ソ連のアレクセイ・パジトノフ氏が制作したコンピューターゲーム。その後ヘンク・ブラウアー・ロジャース氏などの力で日本を含めた世界各国へ広まり、世界的な大ヒットを記録した。
今回、「Product Japan」がテトリスに目をつけたのは、このブロックをデザインとして販売されている製品が世界に多数存在しているため。日本のものづくりとテトリスのデザインを融合させたいと考え、テトリスの権利関係を管理するマヤ・ロジャース氏(ヘンク・B・ロジャース氏の娘)に打診したところ、日本の高い技術を好感したうえ、工芸技術の継承にも理解を示し、コラボレーションに至ったとしている。
京都の竹で作った重箱。受注生産で、税抜10万円(Tetris(R)&(C)1985〜2018 Tetris Holding.)
展示されている工芸品には、岐阜県にある飛騨市の木材を利用した積木や、京都の竹を用いた重箱や弁当箱、愛知県瀬戸市の陶磁器、香川県丸亀市のうちわなど、多種多様な作品がある。中には10万円程度のものもあるが、安いものであれば越前和紙のポストカードが税抜480円で、手軽に買えるものも少なくない。
テトリスブロックの形をしている茨城の笠間焼。税抜1800円(Tetris(R)&(C)1985〜2018 Tetris Holding.)
これらの作品はGINZA SIX(東京都中央区)の5階にある「Artglorieux GALLERY OF TOKYO」で5月31日から6月6日まで販売・展示されている。7日以降は東京ミッドタウン(同港区)ガレリアの3階にある「THE COVER NIPPON」で常設販売される。