猪口 真 / 株式会社パトス

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中高年でゴルファーが激減

「レジャー白書2017」(日本生産性本部)によれば、ゴルフ人口が激減しているという。なんと、2016年のゴルフ参加人口(ゴルフコースで年に1回以上プレーしたことのある人)は前年に比べ210万人も減少し、550万人だというのだ。1年間の減少率はなんと27.6%だ。個人的にはそんなに減った印象はなく、人気コースは相変わらず混んでいるし、コースの予約の取りにくさはメンバーコースであっても、年々増していて、ゴルフ人口が減少しているとはとても思えないのだが。

実際、日本ゴルフ場経営者協会算出のデータによれば、ゴルフ場利用税の課税状況から算出した場合、2016年の年間総来場者数は速報ベースで8,631万人となっており、ここ数年、ほとんど変化はない。仮に550万人しかゴルファーがいないとすれば、1年平均回数約16回となる。これはかなりのゴルファーだし、平均値がこの数字になるとはとても思えない。

ただし、減少したとは思えない中でも、確実に変化していることがある。どのゴルフ場へ行っても、明らかに高齢者が増えている。これは、白書にも明確に表れており、年代別の構成比は60代が23.1%、70代は29.7%、60代と70代を合わせると、なんと52.8%。半分以上が60代以上なのだ。

よく若者のゴルフ離れと言われるが、実際に起きているのは、「中高年のゴルフ離れ」だ。

ゴルフへの参加率を見ると、50代男性は2015年の15.8%から8.5%と半減し、40代男性も2015年の11.0%から2016年の8.3%へと減少している。

もっとも仕事をばりばりこなし、企業でも中心となるこの世代が、実はゴルフから離れている。余裕がなくなったのか、別のことに興味がうつったのか、ウォーキングやジョギング・マラソン人口も激しく減少しているので、減少しているのはゴルフだけではないようだ。中高年の方々はどこへ行ってしまったのか・・・

当然、こうした層から誘われることが減ってしまった20代、30代はゴルフに行かなくなるのだろう。

もはやレガシー、負の遺産か

昔は、中高年のオヤジたちとコミュニケーションをとるために、ゴルフは必須だと言われたこともあったが、「飲みにケーション」と並んで、まったく指示されないものとなっている。

果たして、中高年がここまでゴルフから離れているなか、若いビジネスマンはゴルフをするべきか。

当然賛否両論あり、もちろん否のほうが多い。金はかかるし、車も必要。練習も必要だし、仲間もいる。確かに壁は多く、典型的なオヤジの贅沢とみられても仕方のない部分も多い。

もはや負の遺産だと思う人も多いだろう。

ゴルフを利用する?

しかし、ゴルフはやりようによっては、仕事、プライベート問わず非常に役にたつことも多い。まず、普段会えない人に近づくきっかけにしやすい。(好きならほぼ断られない) また、1日一緒だから会話も多い。普段できない話をする機会となる。(第一、飲みと違って素面なので「覚えてない」ことはない) そして、仕事での会話もスムースになる。

基本、やりたい人だけやればいいのだが、この中高年がやらなくなった状況をチャンスととらえ、積極的に参加してはどうか。仲間うちだけでいくのではなく、仕事を中心として、友人、家族とのコミュニケーションのツールとして活用する価値は十分にある。

ただし、たいした努力もせず、自分のことだけを考えてゴルフをするだけでは、なんの役にもたたない。うまく活用して、組織の上に閊えている中高年を追い越してしまおう。

以下がそのポイントだ。

上手なゴルファーではなく、「グッドゴルファー」になる

コミュニケーションツールなのだから、別にうまくならなくても良い。酒のマナーと強さが別なのと同じだ。グッドゴルファーの条件は、「周囲をよく見る」「ピンを持つ」「グリーンを直す」「素早くプレーする」「無駄話をしない」さまざまあるが、私の定義は「一緒に回るメンバーが気分もスコアも良く回れる」プレイヤーのことだ。仕事と何も変わらない。当然、グッドゴルファーは、間違いなくグッドビジネスマンだ。

また、ヘビーゴルファーはゴルフ談義が大好きだ。ゴルフ雑誌は熟読しておこう。

メンバーになる

幸いなことに、ゴルフ会員権は非常に安くなっている。プレー費との比較をすれば、手の出ない価格ではないことがわかる。倒産するようなゴルフ場は論外だが、本格的に始めるならメンバーになるべきだ。ゴルフが好きな人でも、まだまだメンバーライフを楽しむ人は少ない。一部の人たちのものというイメージが強いが、まったくそんなことはない。なによりゴルファーとしての世界観が変わる。ゴルフ社会に堂々とデビューしよう。

ゴルフコンペを開催する

貴重な土日にゴルフコンペを開催して、人が集まるのだろうかと心配するのもわかるが、個人的な印象では、30〜40人集めるなら、飲み会よりもコンペのほうが集めやすい。コンペを仕切ることは、まさにビジネススキルに直結する。3か月ほど前から準備すれば十分で、会費を集めて商品を用意し、コンペを主催しよう。

師匠を見つける

とはいえ、すべて独学でいくのはなかなか難しい。練習のしかた、ゴルフ場での立ち振る舞い、コースの選び方、なんでも教わろう。

逆の立場になれば、仕事を引退したあと、若い人たちから誘われることもあるかもしれない。いろんな世代とつながっていることは損ではないはずだ。