アンタッチャブル柴田英嗣

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猫や犬に対する虐待、殺処分など、『週刊女性PRIME』でも度々報じてきた動物にまつわる社会問題について、動物好きとしても知られるアンタッチャブル・柴田英嗣さんにご意見を伺った。動物愛護には賛意を示す一方、“動物と人間との共存は不可能”だと柴田さんが語る理由とは?

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--今回は、動物虐待を巡って最近報じられた3つのニュースを取り上げながら、柴田さんにご意見を伺っていきたいと思います。テレビなどで動物好きの一面を見せることも多い柴田さんですが、いつから動物に関心を持たれるようになったんですか? 何かきっかけはあったのでしょうか?

柴田:高校生の頃からですね。カバがもう気になっちゃって。ほかの動物はみんなサバンナで強そうだし、それなりに格好良く進化しているのに、あいつだけ急にダサいな、と思って。

 そこからの枝で、ライオンはカバを襲わないとか、そのライオンはキリンに殺されることもある、というようなことをその都度調べて、数珠つなぎに知っていったという感じです。

--犬や猫が好きで飼われていたというわけではないんですね。

柴田:犬や猫も飼っていたことはあるんですけどね。だけど、飼いたくて仕様がないとか、動物にベタベタ触りたいとか思ったことはないんですよ。むしろ、できればあんまり絡みたくないですね。猛獣とか怖くて仕様がない。だから、ムツゴロウさんとは違うラインですね、僕は。

 ただ、研究のために触るんですけどね、結局。動物さんには申し訳ないけど、いったん触らしてねって。

--動物もお笑いもガンガンいく系なんですね。いま一番関心があるのは、どんな動物ですか?

柴田:いま興味があるのは、お猿さんかな。小さいのから大きいのまで、色んな種類のがいたりするんですけど、なかにはすごい角刈りのやつもいたりするんです。そいつはどこかから分かれて、角刈りであることを選んだわけですよ。角刈りであることが大事だと思ったから。だけど俺が見たところ、何も大事じゃないんですよ。

 あとはキンタマが真っ青なやつもいますよ。めちゃくちゃ綺麗です。そのブルーさは、ラッセンでは出せないブルーです。木の間に隠れてカラダはよく見えないのに、真っ青なキンタマだけ見えているんですよ。見つかるぞっていう話なんですけど。でもそれを選んできたわけじゃないですか。それが不思議で仕方がない。

--なぜそれを選んだのか気になりますね。

柴田:メスへのディスプレイが大半なんですけどね。でも、そこでアピールする必要ある? っていう。もうちょい違う色でも良かったんじゃないかなって思うわけですよ。

――どれだけでも動物ネタが出てきそうですが、さっそく今回のテーマである動物虐待について伺っていきたいと思います。今年報じられた13匹もの野良猫を捕まえてガスバーナーであぶるという凄惨な事件(※1)や盲導犬に対する暴力(※2)など、動物たちへの繰り返される虐待について、常日頃どう思われていますか?

柴田:まずは、その虐待をした人間について考えますね。こいつはどこで反省をするのかな、と。どういうやつなのか、なんでそういうことをするようになったのか、と。だって、自分の目の代わりになってくれている犬をサンドバッグのように蹴り倒すって、考えられます? それがやれちゃう精神なわけでしょ。普通の精神状態じゃないですよ。

――反省という点では、猫を殺したり傷つけた場合の罰則は、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金だということですが、これについてはいかがですか?

柴田:動物を虐待した人は、それなりの実刑がないとダメだなとは思います。ペットのことを家族だと思っている人たちにとっては、家族を殺されたっていうことだと同じだと思うので。暴力をふるったら、それなりの刑罰があって然るべきだと思います。

――人間に対して暴力をふるった場合と同等な刑罰を?

柴田:重罪で良いと思います。ペットって、もう動物ではないと思う。人が人用に作った、人だと思っていますから。

――野性の動物に対しての虐待についてはいかがですか?

柴田:野生の場合は、虐待のレベルではなく、殺しちゃいますからね。サイのツノが欲しいとか、ライオンの皮を獲りたいとなれば、殺そうということになってしまいますよね。そういったハンターによる野生動物の狩りはなくしたいですよね。サイのツノが漢方になるとか言ってるけど、実際意味ないんですよ。

――盲導犬においての「チョーク」のように(※2の記事を参照)、虐待としつけとの境を巡って議論も起きています。

柴田:難しいですよね。遊びの範疇では、誰にでも心当たりがあると思います。たとえば昔、ミニュチュアダックスを飼っていたんですけど、どこでも歩くと危ないから、ガムテープを床に貼って、入ってきてはいけないところでピタッと止まるように訓練したんですね。

 だけど、それもよくよく考えたら、虐待なんじゃないかと思うわけですよ。これは極端な例だけど、そんな風に、自分じゃやっぱりその境目はわからないんじゃないでしょうかね。

――しつけはある程度は必要だとお考えですか?

柴田:自分は多少厳しくしても良いとは思いますけどね。そもそも人間は優しいと思いますよ。野生じゃそんな優しい親はいないわけですよ。噛むし、だいたい2、3歳になったら群れから卒業でしょ? そこからひとりで暮らしていかなきゃいけないわけですから。

 だけどペットは野生と違って弱いから、過保護にする必要もある。だとしても、そんなに優しくする必要があるのかなとは思う。暴力を肯定するわけじゃないですけど、多少のしつけはする必要がありますよね。自分もお父さんにぶん殴られたことありますもん。

――虐待のみならず、飼い手がつかず全国で殺処分された犬や猫についても議論の的となっています(※3)。ちなみに、昨年度のその数は5万5998頭だったといいますが、これをゼロにしていこうという取り組みについてはどうお考えですか?

柴田:これは致し方ないですよね。もし処分しなかったら、どうするんだっていう話ですよ。何もしなければ繁殖をし続けて、5年で100万頭くらい街に溢れるんじゃないですか? 悲しいですよ、処分している人たちだって。処分は良くないって言う人は多いですけど、じゃあどうするのっていう。むしろブローカーとかに文句を言うべきでしょ。

 そもそも、命の売買ですからね。動物の値段を半端なくあげるとか、動物を飼うことを免許制にしたり、教習を講じる必要があると思います。

――柴田さんは、動物とはどのように関わっていくべきだと思われますか? 人間と動物との共存は可能でしょうか?

柴田:極端な話、飼わないことだね。だけどそう言うと、養豚場や養鶏場にいる豚や鶏も飼っているんじゃないの? っていう話になっちゃうじゃないですか。

 飼わないとなると、ラム肉がない、牛肉が食べられないという話になってきちゃう。

 たしかにそうすることは正しいかもしれないけど、ニッチだし、実際にはそんなのできないじゃないですか。だから、少なくとも僕が生きているあいだは、共存とかは望めないと思いますよ。

――矛盾が出てきてしまうと。

柴田:元々人間はライバルである動物と戦って、倒して食べていたわけですから。共存は僕のなかでは無理なんですよ。人と暮らさない、飼わない、食べるとしたら野性を捕まえる、動物と人間との関係はそれしか無理なんです。ちょっとずつ改善しても、何も変わらないんですよ。

――難しい問題ですね。

柴田:動物愛護の問題って本当に難しくて、どこかでボロが出ちゃうんですよね。お前、肉食べてるじゃんとか、動物園紹介したら動物を檻に囲って見世物にしているとか…‥もうキリがないから、なるべく関わらないようにしています(笑い)。なので、今回もこの話を受けるか迷いました(笑い)。

――受けてくださってありがとうございます(笑い)。そうした現実を前にしながらも、柴田さんなりにされていることはありますか?

柴田:自分なりにできることをしていけばいいのかな、と思うんですね。たとえば、テレビで絶滅危惧種の動物を紹介するときは、わざと最初に「世界で◯◯匹しか生存が確認されていない」っていうことを付け加えて説明したりしています。それは狩りをしている人たちへのメッセージでもあって。

――一動物好きとして、今後どういったことをやっていきたいですか?

柴田:好きで調べているっていうだけだから、勝手に知識が入るし、関心も高い。自分がテレビとかで見て、興味を持てばすぐに動くと思いますよ。

 目的があればという感じですかね。たとえば、僕がケーキが好きだとして、新商品が出たとなれば、そこに行くでしょ。そういう感覚です。あとは新種の動物が出てくると気になりますね。このご時世のなか見つからないってすごいことですよ。

――ご自身で新種を見つけに行こうとは思われませんか?

柴田:思わないですね(笑い)。しんどいですから。アマゾンやサバンナに1回でも行けばわかりますよ。いったんいいよ、ってなりますよ。パンまずいとか、感染症怖いなとか、そんなことばっか思ってしまいます。

※1 『<埼玉・深谷市>猫虐待殺傷の一部始終を動画撮影した、鬼畜男の正体』

※2 『盲導犬を怒鳴って蹴り上げた「八つ当たり」動画拡散で考える、虐待と訓練のはざま』

※3 『<犬猫の殺処分問題>年間5万匹以上が犠牲!涙する保護センター職員が実態を告白』

<構成・文/岸沙織 取材記者/相馬直子 編集/近藤光>