「かに大根鍋」(19,000円 ※要予約)。最初のインパクトから〆まで全てが旨い!

寒い季節に恋しくなるのは、身も心も温めてくれる鍋。

都内随一の強烈なビジュアルで食べる前から圧倒される、『牧野』の「かに大根鍋」をご紹介しよう。

毛ガニにバターを加え、さらに〆にはイクラまで登場する、ずる過ぎる美味しさなのだ!



生きた北海道産の毛ガニを仕入れ、その日にさばくのがこだわり。身は甘く、甲羅には味噌がたっぷりと詰まっている
まかないから発想を得た裏メニューが看板鍋へ!

『牧野』で「かに大根鍋」を始めたのは1980年代頃のこと。元々、まかないとして食べていた「豚大根鍋」からヒントを得て、豚肉の代わりに蟹を入れたのが始まりだ。

当時は接待も多く、ふぐを食べ飽きているお客様のためにこっそりと裏メニューとして始めたものだったそうだ。

メニューに載せたのもここ十数年のことだが、その美味しさから徐々に口コミで話題が広まっていき、今やほとんどの人が「かに大根鍋」を目当てに訪れるという。



大根はその時期により産地を変えながら、その時期一番みずみずしく大ぶりのものを仕入れている。この日は千葉県成田産を使用
バターのコクと唐辛子の辛みが鍋の味わいをさらにアップさせる

鰹出汁をベースに白味噌を加え、一度炊いてから冷まして味をしみこませた唐辛子と大根を投入。そこへ豪快に蟹を入れて、しばらく煮込んで完成。

蟹から出るいい出汁が鍋全体に広がり、席に運ばれてきた瞬間、あたりをいい香りが満たしていく。

さらに、そこにバターがコクをプラスし、唐辛子がピリッと味を引き締める。この2つの名脇役の働きにより、一層美味しさを増すのだ!



たっぷりと味噌や身が詰まった大きめの毛ガニを仕入れるのも、こだわりのひとつ
かに味噌をかきだし、さらに旨みをプラス

生きたまま仕入れる毛ガニは予約時間に合わせてばらし、すぐ鍋に投入。そうすることで旨味がそのまま客席へと運ばれ、柔らかく、ぷりぷりとした身の食感が味わえる。

また客席に運ばれて来たと同時に、甲羅の裏に潜んでいるかに味噌をかきだし、出汁に溶かしていく。これによりさらに旨みがアップし、ひと口飲んだだけでも悶絶しそうなほど、極上のスープが完成するのだ。

「生のまま鍋に入れることと、かに味噌の味わいで、鍋の味が完成しているのよ」と女将は語る。


〆にはいくらをザカザカ乗っけちゃえ!!



出汁、醤油、みりんで漬け込んだやわらかな味わいのいくらは、雑炊に合わせた薄味で調整されている。いくらの追加料金は1名800円〜
いくらと蟹が見事に競演。冬限定の贅沢を堪能!

鍋と言えば〆も欠かせない。「かに大根鍋」の〆はやはり雑炊で注文してほしい。その際、忘れてはいけないのが「いくら」の追加オーダー。

毛ガニ×バターという最強タッグが、白米というサポーターを得てよりパワーを増し、ここぞとばかりに、旨みを爆発させる。そこに「いくら」が加わるのだから、美味しくないはずがない!

雑炊にたっぷりといくらをのせるという贅沢な〆は、いくらが旬を向かえる毎年10月下旬〜12月末頃の限定で味わえる!



「ひれ酒」(900円)。とらふぐのしっぽを入れるのが『牧野』のこだわり。マッチで火を付け、香ばしさをプラスしてから召し上がれ。※つぎ酒は500円
鍋前にはひれ酒でしっとりと大人の時間を楽しみたい

もはやかに屋と化しているが、『牧野』はふぐ料理の専門店。下関から仕入れる活とらふぐの身を網上で焼いて食す“焼きふぐ”や、特製の橙酢がふぐの風味を引き立てる“ちり鍋”も最高に美味だ。



「煮こごり」(1,000円)。ふぐの皮を長時間煮込んで冷たく固めた懐かしい味わいの逸品。ふぐのゼラチンのみで固まっているため、口に入れた瞬間にほろっと溶けていく口当たりがいい

鍋の登場までの時間を「ひれ酒」と「煮こごり」で過ごすのもいいだろう。熱い酒で煮こごりが口の中で旨味とともにほどけていく。

そもそもはふぐが名物なのだから、その美味しさは間違いないのだ!



上野から浅草へ向かう人々が行き交うメインストリートだったというかっぱ橋本通り。ここで今も昔も変わらず食道楽の胃袋をわし掴みにしている
予約は早めに!年内ならば11月中がおすすめ

人気店だけに毎年冬場の予約は争奪戦。忘年会シーズンに突入する12月の予約はほぼ予約は埋まっている状態だが、11月ならばまだ予約できる可能性もあるとか!

浅草きっての名店である『牧野』の「かに大根鍋」で、体を芯から温めてこの年末を乗り切るパワーをつけに行こう!