ソフトバンク・高橋純平【写真:藤浦一都】

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登板機会は1試合だけ、結果残せず「やっぱり悔しいところではあります」

 来季に賭ける思いは、この男も強い。1軍の主力組がまだいない宮崎・生目の杜運動公園。ソフトバンクの若手たちが汗を流す秋季キャンプには、2015年のドラフト1位・高橋純平の姿もある。プロ2年目。1軍デビューを果たしたものの、登板機会はそのデビュー戦1試合だけ。高橋もまた、悔しさを募らせた1年を送った1人であった。

 今春キャンプは主力組中心のA組に抜擢されたものの、開幕1軍はならず。それでも、序盤に昇格すると、4月14日のオリックス戦(ヤフオクD)でプロ初登板を果たした。が、3イニングを投げて6安打4失点。ほろ苦い結果となった。8月26日に再度1軍に登録されたが、登板機会のないまま、9月1日に再び登録を抹消された。

 今季は3年目の松本裕が一時先発ローテに入り、プロ初白星を挙げた。同期の小澤も初登板を果たし、高橋を上回る2試合に投げた。松本裕と同期の笠谷もデビューを飾って3試合に登板し、日本シリーズの40人枠にも入った。

「やっぱり(2015年ドラフト2位の)小澤(怜史)や、1個上の松本(裕樹)さんや笠谷(俊介)さんが1軍である程度抑えた中で、自分は抑えられなかった。それはやっぱり悔しいところではあります。最後にも、上に上げてもらいましたけど、投げる機会は与えてもらえなかったというのも悔しさとして残りました」と、その胸中を明かす。

 3球団競合の末に、鳴り物入りでソフトバンクに入団した2016年から2年が経った。確かに一歩ずつ前進しているとはいえ、自分自身に物足りなさを感じているのも事実である。

「投げずに1軍にいるときは、やっぱり肩身の狭い思いがあります。来年はそういうことがないように、自分がゲームのどこかで必要とされるポジションに居られるように頑張ろうと思います」

力の伝わったボールを…「いい感覚があります」

 悔しさを胸に、己を奮い立たせている、この秋季キャンプ。背番号47は、ランニングメニューで軽快にグループの先頭を走っていた。2016年のドラフト1位・田中正義や、自ら名前を挙げた笠谷や小澤といった面々を従えて走る姿があった。もともと高橋はランニングは得意ではなかったはず。ルーキーイヤーでは先頭から大きく遅れをとるなど、体力、走力不足を露呈していた。それが2年経つと、どうだろうか。体は一回りも二回りも大きくなり、走る姿に、かつての弱々しさはなくなってきた。ゆっくりとではあるが、着実に肉体面の成長が感じられる。

 今季はフォームに苦しみ、突如として制球を乱して四球を連発する場面が散見された。しっかりと指にかかったボールであれば、軽々と打者のバットに空を切らせることが出来る反面、力の伝わらないボールが多く、それを痛打されることもあった。その危うい脆さが、克服すべき課題。力の伝わったボールをどれだけ多く投げられるか、精度をどれだけ高められるか。この秋、そして春にかけて、そこが課題になってくるだろう。

 実はシーズン終了後に、右肩に軽い炎症と思われる異変が見つかった。それを回復させるため、10月に宮崎で行われていたフェニックスリーグには参加せずに、徹底した走り込みなどで身体作りに励んだ。秋季キャンプでようやく立ち投げでの投球練習を再開。まだ制限付きではあるものの、やはり右腕から投じられるボールには類稀なるポテンシャルがある。

「投球制限がかかったところからのスタートですし、休み肩で肩の軽さはありますけど、それがあるとしてもいい感じ、いい感覚があります」

 左足を真っ直ぐ踏み出し、しっかりと右手のトップを作ることをテーマにフォームをブラッシュアップさせている。

 2015年のドラフトで、最多の3球団が競合した高校ナンバーワン右腕。この2年間は決して、順風満帆とは言えぬ日々を過ごした。来季こそ覚醒を。高橋純平もまた、台頭を求められている若き才能である。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)