夏帆 撮影/廣瀬靖士

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「憧れていた人と仕事ができたので、頑張って続けてきてよかったなって(笑)」

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『予兆 散歩する侵略者 劇場版』でヒロインを演じている夏帆。長澤まさみと松田龍平が共演した映画『散歩する侵略者』のスピンオフ作品だ。

「黒沢清監督の作品が好きで、いつか出演するのが目標だったんです。だからお話をいただいたときは驚きました。黒沢監督の演出はいろんなものが削ぎ落とされているから本当に無駄がなくて。撮影って深夜になることもあるのですが、3週間という短い撮影期間だったにもかかわらず、毎日夜の7時には家に帰れていました(笑)」

 憧れの人との仕事は興奮しっぱなしだったとか。

「長回しのシーンが多かったので、1つのカットにかける情熱がすごかったですね。緊張感もありましたが、それがすごく心地よくて。アドレナリンがすごくて、撮影が終わってからもしばらく興奮状態が続いていたぐらい。だから、この期間中のことは現場の記憶しかないです(笑)」

 侵略者が人々から恐怖やプライドといった“概念”を奪い取っていく……というストーリーだけど、女優という概念が変わった仕事はあった?

「20歳を越えて初めて舞台に挑戦したのですが、映像のお仕事とは何もかもが違って。演技の見せかたやアプローチの仕方が違うので、世界が広がりましたね。映像は同じシーンに出演する役者以外の方とはお会いしないこともありますが、舞台は役者同士が密にやりとりするので」

 目標も叶(かな)ったこともあり、今年はかなり充実していた様子。

「この作品は撮影しているときから、とても手応えを感じていました。完成版も見ましたが、本当に面白いです(笑)。去年、おととしは仕事のことで悩んでいたこともあったのですが、それが実を結んだ1年だったと思います。いろんな作品に呼ばれる役者になれるよう、来年も意欲的に仕事をしていきたいですね」

これだけは奪われたくないものは?

「今回演じてみて“愛”が奪われたらどうなってしまうんだろう……とは思いました。食べ物なら? 挙げたらキリがないですけど(笑)、1つ挙げるなら白米。そう考えたら、奪われたくないものってたくさんあるんだなって思いますね」

<映画情報>

『予兆 散歩する侵略者 劇場版』
出演/夏帆、染谷将太、東出昌大。11月11日(土)より2週間限定で東京・新宿ピカデリーほか全国公開。