九州場所の番付表

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 大相撲・九州場所の番付が10月30日の朝、発表された……といっても番付って何なの? という相撲ビギナーに説明を。

 番付とは力士の地位を指し、同時にそれが記された独特の相撲字で書かれている表を指す。

 力士たちの番付はひとつ前の本場所の成績から、審判部(親方衆で編成されている)を中心とした「番付編成会議」で決められるが、本人の成績だけでなく、他の力士の成績も兼ね合いで決められる評価。

 簡単に言うと「おすもうさんって毎場所前に、AKB総選挙みたいのがあって大変」と認識していただきたい。

 番付がすごいのは江戸時代の元禄年間、1700年頃から決めているということ。「AKB総選挙も300年続いたら、メンバーどないなるねん?」などと妄想してもらうと、そのすごさがわかるはずだ。

 大相撲の番付、そんな長い歴史を持ってるだけに、今回、39歳で西前頭13枚目に再入幕した(一番上の『幕内』クラスに再び上った)安美錦は、「昭和以降、最高齢での再入幕」なんて言われる。なにせ、ほら、その前の大正、明治、江戸時代ではもっと高齢で再入幕した力士がいたかもしれないでしょ。調べるのは難しい。 

 それにしても安美錦はすごい! 昨年夏の、左アキレスけん断裂という、大ケガを乗り越えての復活なんだから。ヒョウヒョウとした表情と、ちょっと毒気のあるユーモアでスー女たちにも大人気の彼。

 40歳近い年齢でそれだけの大ケガを負い、「ああ、もう引退しちゃうの?」とみんなが心配したが、彼は不屈の男! 自らのブログで「まだ自分の中で納得できるものがないので絶対に引退はしません」と宣言。番付が下がってもケガを治しながら土俵に上がり、「行事泣かせ」とも呼ばれる技巧派の相撲で勝ちあがってきた。

 1男2女がおり、長男は今年7月に生まれたばかり。その愛息を抱っこしての土俵入りを大阪巡業で見せ、今回の復活も「家族がいたから乗り越えられた」と語る。九州場所もきっと家族のために、お父さんはファミリー・パワーで頑張るはずだ。

ようやく本場所の土俵で4横綱が揃う

 その一方で、21歳3か月の若さで、新たに小結に上がったのが阿武咲(おうのしょう)。小結とは、一番上のクラスである幕内の中でも、横綱を頂点に大関、関脇に次ぐ名誉ある地位。

 幕内に上がってから3場所連続で10勝5敗の好成績を収めてきた彼は、メラメラと炎のように立ち上る勝気をむき出しにして相手に向かっていく。その「勝ってやるぞ!」という相撲は、見る側をも「よっしゃあ!」とやる気にさせてくれる。

 176センチ、165キロの身体は、まるで勢いよく跳ねる大きなゴムまり、もしくは元気玉のようで「おすもうさんってまさにこういう感じだよね!」と嬉しくなる。

 6年生のときに、全日本小学生相撲優勝大会でチャンピオンになった彼は相撲エリートと言える。高校を1年で中退して阿武松(おうのまつ)部屋に入門し、相撲一筋に取り組んできた。

 インタビューでは硬派な受け答えっぷりが目立ち、今回の昇進でも「たくさんの横綱・大関陣に当たれるのは本当に楽しみ。強い方と相撲を取るのが好きです」なんて発言をしていたけど、この強気っぷりの根源は、元ヤンキーの魂が養ったという噂も。スー女たちからは「そこがまたかわいい!」と絶賛される阿武咲。21歳のスピーディーで炎メラメラの相撲を、ぜひ九州場所で見てみてください。

 そして九州場所の番付、一番上の東西に陣取る4人の横綱、日馬富士、白鵬、稀勢の里、鶴竜。この4人が揃って15日間相撲を取ったことがまだ1度もないが、どうやら九州場所で、遂に4人が最後まで戦うことになりそう。

 ここまで焦らされたら、期待も否応なく高まり、「もぉ〜、この4人、ツンデレなの?」などと私の心はつぶやいている。休場が続いて「進退を賭ける」と親方に宣言されてる鶴竜はじめ、絶対に負けられない男たちの戦い、めちゃくちゃ期待してます! 

 九州場所は11月12日〜26日。福岡国際センターで開かれる。

 ちなみに独特な相撲文字が味わい深い「番付表」は会場で一部50円で販売されているほか、通販でも買える。番付表の一番下には「千穐万歳大々叶(せんしゅうばんざいだいだいかのう)」という文字があり、これは末永い繁栄を祈る祝詞。

 このありがたい言葉が示すように、番付表そのものが実は「縁起物」。よく、番付表を貼ってるお店、あるでしょう? あれは相撲ファンというのもあるけど、縁起かつぎとして貼っているのだそう。ぜひ1枚手に入れ、部屋に貼って来年からの運気アップにつなげよう。

<文/和田靜香>