野田佳彦氏は「泥臭いことをやらせたら天下一品」元総理、行き交う車に頭を下げる
「よろしくお願いします!」
野太い声でそう呼びかけるのは元首相の野田佳彦氏(60)だった。相手は人間ではない。自動車だ。地元選挙区の交差点に立ち、行き交う車に向かって頭を下げた。
「財務大臣に就任するまでの25年間、毎朝、地元で辻立ちしていたのは有名。いまは地元で頭を下げてから、全国の仲間の応援演説に飛び回っている。泥臭いことをやらせたら天下一品だ」
と全国紙政治部記者。
その言葉どおり、信号が変わって右を向いたかと思えば左を向いたり、正面から来る車に頭を下げたりと、ちっとも休もうとしない。その目線は車内に注がれており、結構な頻度で「がんばって!」と声をかけられるからすごい。思わずスピードを緩めて手を振る女性ドライバーもいた。
野田氏は希望の党への合流について、細野豪志氏(46)から「三権の長を経験された方にはご遠慮いただいたほうがいい」と拒まれ、
「先に離党していった人の股をくぐる気はまったくない」
と男気をみせて無所属で出馬した。
今回の選挙を「水中の陣」と表現して危機感を抱く。
「背水の陣はうしろに海や川があって崖の上にいる感じでしょ? 落っこちたらドボン。もうね、民進党もああいう状況で、ひとりってことは、水中でもがき苦しみながら浮かび上がって、岩肌に爪を立て、爪から血を流しながらもよじ登って勝つという気合の入った構えですね」
と壮絶なたとえを解説する。
自民党を倒す大局を見失ってはいけないと言う。
「状況がゴチャゴチャになっているぶん、いまは小選挙区で誰が自民党に勝つか、ですから。その地域でいちばん強い野党候補に市民は結集していただきたい」
熱烈な相撲ファンとしても知られる野田氏に解散・総選挙を相撲にたとえてもらった。
「いきなり、横綱(安倍首相)が突っかけてきた。立ち合い前の張り手ですね。王道じゃないですよね、やり方がね。もうちょっと堂々とした感のある解散の仕方があったはずだと思います」
安倍首相に聞かせたい。