広島・新井貴浩【写真:荒川祐史】

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緒方監督、新井、菊池、丸、今村が出席「昨年の喜びとは違った感じ」

 広島は18日に甲子園で阪神に勝利し、2年連続8度目のセ・リーグ制覇を決めた。37年ぶりのリーグ制覇を達成した緒方孝市監督、新井貴浩内野手、菊池涼介内野手、丸佳浩外野手、今村猛投手が優勝会見に出席。2年連続リーグ制覇、そして昨年は果たせなかった日本一への思いを語った。以下は会見全文。

――まずは監督、リーグ連覇おめでとうございます。

緒方監督(以下、緒)「ありがとうございます」

――今の率直な気持ちは。

緒「やっと落ち着いたというか、冷静になれました。本当にその瞬間というのは、昨年の喜びとは違った感じがして、本当に自分の中で感極まってしまって、自分の中でも涙が出ていたという感じでした。今は落ち着いています」

――感極まるというのは、去年はなかった感覚ですか。

緒「去年は本当に無我夢中で、あっという間に優勝が決まった感じで。ゲームセットになって、すぐに胴上げという感じがしたので。今年は、本当に優勝した瞬間まで、一歩一歩という感じが自分の中ではあって、ゲーム展開も接戦で、最後の胴上げのところでは中崎が本当に頑張って抑えてくれて、さらに自分の中では感動したというか、そういう気持ちになりました」

――次は新井選手、リーグ連覇が決まった瞬間の気持ちは。

新井(以下、新)「嬉しかったです」

――昨年、優勝した時は「夢みたい」というコメントがありましたが、今年のリーグ連覇はまた違うものがありましたか。

新「いや、去年も嬉しかったですけど、今年も同じぐらい嬉しいです」

――マジック1で、甲子園の左半分が真っ赤に染まりましたが、球場の雰囲気はどうでしたか。

新「不思議な感じがしました」

――不思議というのは。

新「なかなか甲子園でああいう雰囲気というのはないことなので、そういうところですね」

――続いて菊池選手、今の率直な気持ちは。

菊池(以下、菊)本当に、嬉しいです」

――去年の優勝と、何か気持ちの変化はありましたか。

菊「勝たなければいけないという重圧もある中で、本当に最後の最後まで、ちょっと長かったなという感じです」

――最後の9回、3つのアウトというのは独特な雰囲気がありましたか。

菊「そんなに変わりはないですけど、(田中)広輔の方にボールがいって、去年と同じだなと思って、ちくしょうと思って見ていました。最後は本当に、ずっと飛んで来いと思っていたので、ちょっと悔しいです」

新井「本当に若いみんなが頑張っているのが、頼もしかったです」

――続いて丸選手、リーグ連覇が決まった時の気持ちは。

丸「去年もそうでしたが、幸せな瞬間でした」

――昨年は「本当に苦労が報われた」という表現をしていましたが、今年のリーグ連覇で湧いてくる感情はどんなものでしたか。

丸「当然、嬉しいという感情が一番強いですが、その次はホッとしたというか。昨シーズンに優勝したことで、周りの期待というか、そういうものも去年以上にありましたし、その中でこうやって優勝という一番いい結果を出して、ホッとしています」

――今村投手は、みなさんとは違うところで試合を見ていたと思いますが、ブルペンからどんな気持ちで戦況を見ていましたか。

今村(以下、今)「とりあえず勝てばいいかなと、本当にそれだけを思って見ていました」

――決まった瞬間は、どのような感情が湧いてきましたか。

今「去年と違ってシーズンが長かったなと思いました」

――今日(18日)は接戦でしたが、こういったゲームを勝ち切って、連覇を手にしたのは大きいと思いますが。

今「去年とまた違う勝ち方ができたので、またいい試合ができたなと思いました」

――シーズンはまだ終わったわけではないですが、皆さんに今年を振り返っていただきたいと思います。まず監督、去年は25年ぶりの優勝という、歴史を動かすような優勝になりましたが、そこから2年連続で頂点に立った意味はどういうものだと思っていますか。

緒「意味というよりは、自分の中では、連覇よりも新たな1年が始まることで、優勝を目指していく。そういう気持ちでいましたし、戦う上で、ペナントを勝ち抜くにはやはり投手陣の力がしっかりしないと優勝までいかないと感じました。今シーズンは若い、経験の少ないピッチャーばかりだったので、いかに投手陣が頑張れるか、シーズンを通して成長していくかというところに、本当に自分の気持ちが一身にいっていたので。

 そういった中で、開幕戦から中心で回ってもらわなくてはいけないジョンソンが離脱するという中で、岡田や先発ピッチャーで言えば九里、交流戦からは薮田、本当に彼らのような若い力がどんどん出てきて、それを助けたのが後ろの中継ぎ陣、ここにいる(今村)猛であり、中崎であり、一岡であり、そして中田、そう言ったメンバーが、本当に今年1年、フルに活躍してくれた。頑張ってくれたということですね。また、それを支えたのが、守りにしてもそうだし、攻撃にしても、ここにいる野手陣ですよね。特に丸、菊池と、センターラインの子がしっかりと守りを固めてくれて、頑張っているピッチャー陣に点を取ってあげて、逆転につなげていく。本当に、ある意味、若い投手陣を成長させてくれたという意味で、彼らの力は大きかったと思います」

――続いて新井選手、今シーズンは去年の優勝から追われる立場として、他の5球団も打倒広島で戦っていたと思いますが、それも踏まえて今シーズンはどんな戦いでしたか。

新「去年のチャンピオンチームとして迎えたシーズンなので、もちろんマークもすごく厳しくなりますし、今年はカープには負けないと、他のチームが思ってスタートしたので、すごく厳しい道になるかと思いました。まあ、僕は大して何もしていないですけど、本当に若いみんなが頑張っているのが、頼もしかったです」

――そんな中でも、ファンの中で七夕の逆転劇など、新井さんの勝負強いバッティングが幾度となく印象に残っています。

新「たまたま最後に僕がホームランを打ったというだけで、そこまでの過程でみんながつないで回してくれたので、本当にみんなの力だと思っています」

菊池「本当に必死で、また去年と違う苦しいシーズンだった」

――菊池選手、今年はWBCからの長いシーズンだったと思いますが、ここまではどんな1年でしたか。

菊「シーズンが始まってから、なかなか調子も上がらず、本当に迷惑をかけてきたなという思いもありますし、プロである以上、それがあったからと言い訳はできないので、本当に必死で、また去年と違う苦しいシーズンだったと思います」

――昨年優勝したことで、今年に生かせたものはありましたか。

菊「僕だけではなく、それぞれが自信を持って試合に挑めていたので、そこはすごく大きかったと思います」

――続いて丸選手、同じような質問になりますが、今年は追われる立場として、どのような戦いでしたか。

丸「優勝したので、去年の優勝チームと見られるんですけど、チーム全体として、去年のことはいい意味で忘れるというか、常にチャレンジ精神というか、そういう気持ちで、常に挑戦し続ける気持ちを持って、全員が戦ってきたシーズンだったと思います」

――今年のチームの特徴として、逆転のカープというものがありましたが、丸さんから見てその要因は何だと思いますか。

丸「逆転のカープというよりは、常にどんな状況でも、次の1点、次の1点をという風に、石井コーチを中心にみんなで言い続けていたので、それが結果的に、劣勢になった時でも、1点ずつ返したことによって、最終的には逆転できたと思います。チーム全員が、そういう意味でも一つになっていたと思います」

――今村投手はリーグ最多登板など、貢献度は大きかったと思いますが、ここまではどんなシーズンでしたか。

今「がむしゃらに投げてきたかなと思います」

――長いシーズン、苦しい日々もあったと思いますが、どのように乗り越えていましたか。

今「打たれる日もありましたけど、毎日試合があるので、僕一人が引きずっても仕方がないので、打たれた日もすぐに切り替えて、次の日に臨めたと思います」

――数字を見ても、チームのブルペン陣の中で防御率トップということもありますが、投手陣の結束が強いように見えます。

今「年齢が近いということもありますし、ブルペンの一人一人が前のピッチャーのことを思って、助け合いながらできたと思うので、それはすごくよかったと思います」

――最後に代表して監督、まだ気は早いかもしれないですが、チームはまだまだ進んでいくべき目標があると思います。意気込みをお願いします。

緒「気は早くないですよ。次の目標は始まっているわけですし、昨年は一番最後に悔しい思いをして終わったシーズンだったので、やっぱり最後は笑って、みんなで笑って終われるシーズンにするために、厳しい戦いに間違いなくなると思いますが、まずはクライマックスシリーズですね、そこをしっかり勝ち上がって、もう一回、日本シリーズという場に立って、日本一を勝ち取りたいと、それはチーム全員が思っていることなので、ファンの人も含めて思っていることなので、ぜひ、日本一を勝ち取りたいと思います」(大久保泰伸 / Yasunobu Okubo)