高畑充希「こんな未来予想図、想像してなかった」――朝ドラヒロインを経て、新たなスタートへ!
「普通」という答えから、高畑充希のインタビューは始まった。質問は声優として参加した映画『ひるね姫 〜知らないワタシの物語〜』で演じた主人公・森川ココネの印象。そこから作品について、そして高畑自身のキャリアについてなど質問を重ねていったが、取材が終わったとき、ココネと彼女がよく似ていることに気づいた。キーワードはやはり“普通”である。高畑充希が普通か? と問われれば答えはNOだ。朝ドラヒロインをはじめ、次々と話題作に出演し、本作では主題歌まで歌っている彼女が、いわゆる普通の女の子のはずがない。でもきっと、彼女は誰よりも“普通”の魅力を知っている。夢と現実を行き来する、普通じゃない物語のなかで、ふたりは共鳴した。

撮影/平岩 享 取材・文/黒豆直樹 制作/iD inc.



平凡なヒロイン、「激変しない」ラストに感じる魅力



――本作は『東のエデン』『攻殻機動隊 S.A.C.』シリーズで知られる神山健治監督による、オリジナルアニメーション映画です。瀬戸大橋のある岡山県倉敷市で暮らす女子高生・ココネが、父親の謎の逮捕をきっかけに、思いもよらない事件に巻き込まれていきます。最初に、ココネについてどんな印象を持たれましたか?



普通…ですね。ヒロインなのに(笑)。いい意味で、すごく普通の女の子だなと。

――たしかに…。映画を紹介するプレスシートにも「何の取り得もない平凡な女子高生」とあり、キャッチコピーのひとつは「今度のヒロインは“世界を救わない”」とあります(笑)。声を吹き込むうえでは、どんなことを意識されたんですか?

平凡ではあるんですけど、けっこう行動力はあるほうなので、そこでグイグイといきすぎてる感じがあまり強く出ないように、柔らかく、基本的に素朴な雰囲気でいられたらいいなと思ってました。





――ココネの岡山弁がフワッと柔らかさがあって、『ひるね姫』というタイトルのほんわかした感じともマッチしていて、心地よかったです。

岡山弁ってけっこう濁音が多くて、普通に話してみると、少しきつめの感じに聞こえちゃうことがあるんです。そこを少し柔らかく中和して届けるように意識しました。

――これまでもいろんな地方の方言で演技された経験がありますが、岡山弁でお気に入りの言い回しは?

「……やけんなぁ」ってちょっと語尾を上げる感じで言うのがカワイイ(笑)。ただ、私のSNSに、岡山出身の方々から「え? 何で岡山弁が?」とか、「岡山弁なんかが映画になるなんて…」という弱気なコメントがたくさん届いてて、「ちょっと! みんな、そんなに後ろめたさを感じながら話してるの?」って(笑)。この映画をきっかけに「素敵な方言だね」という印象になったらうれしいですね。

――ココネが父親を救出すべく、夢の世界と現実を渡り歩き、そして自分自身の出生の謎をも解き明かしていくという物語については、どんな感想をお持ちですか?

いろんな魅力が詰まった、いいとこ取りの福袋みたいな映画だなって思いました。お得な映画です(笑)。



――完成した映画もご覧になったそうですが、感想は?

私は当然、台本を先に読んで物語を知ってはいるんですけど、最初は専門用語も多かったりして「ちょっと難しいかも」って感じていたんです。でもそこで、考えるのをやめたとき、物語にスッと乗っかることができて、物語のパワーにグイグイと引っ張られ、巻き込まれました。

――たしかに、夢と現実の世界のつながりなどを論理的に「なぜ?」と難しく考えるのではなく、何も考えずに物語に身を委ねたほうが…。

そうなんです。何も考えずに楽しんでほしいです。神山さんが、死にそうになりながら作ってて(笑)、とにかくその熱がものすごい! でも最終的に、なにげない小さな家族の物語になっているのが、すごく素敵だなって。「ここがこうなって、泣ける」とかじゃなく、言葉で説明しづらい魅力があると思います。

――高畑さんのお気に入りのシーンは?

最後の縁側のシーンですね。いろんなことが起こりつつ、最後は“そこ”っていいなぁと思いました。“激変”じゃないところが好きです。



舞台に参加してる時期は、役を降ろされる夢を見る(笑)



――ちなみに高畑さんは、寝付きはいいほうですか? 寝ているあいだに見た夢を覚えてますか?

寝付きはかなりいいほうです。深く眠っちゃうので、夢は…そんなに見ないかなぁ? 見るとしても悪夢ですね。

――サラッと「悪夢です」とおっしゃいましたが…(笑)。どんな悪夢を?

舞台に参加してる時期は、役を降ろされる夢とか見ますね(笑)。わりとみんな、見てるって言いますよ。舞台上でセリフを忘れちゃう夢とか。目が覚めて「あぁ、夢でよかった!」って(笑)。

――先日、高畑さんとは映画『シンデレラ』の吹替で共演されている城田 優さんにインタビューさせていただいたんですが、セリフの難解な舞台稽古中には「悪夢を見る」とおっしゃっていました。

あぁ、見そうだなぁ…(笑)。



――夢のなかで「何十億でも払うから降板させて! 」と泣き叫んでるそうです(笑)。

降ろされるんじゃなくて「降りたい」って?(笑) 面白い。城田くんは繊細だから、悪夢を見そうですよね(笑)。

――「寝付きはいい」とのことですが、悔しかったり、うれしくて興奮して眠れなかったという経験はないですか?

ないんですよね。結局、眠れちゃう(笑)。どこでも寝られるって特技で、現場のちょっとした合間の時間でも眠れるんです。寝すぎちゃって眠れないっていうのはありますけど…。

――お忙しいスケジュールのなかで、ほんのちょっとの時間でも寝られるというのは、立派な才能ですね!

周りのみなさんに、まさにそう言われたことがあります。「どこでも寝られるって才能だよ」と。加えて、悩んだり、追い詰められたりしてても、寝ると忘れちゃえるんですよ(笑)。この、なかなかハードな世界を生きていくのに向いてるのかもしれませんね。



東京は夢を抱えた人たちが集まるドラマチックな街!



――父親を助けるために倉敷市を飛び出したココネは、高畑さんの地元でもある大阪を経由し、東京にたどり着きます。ココネ自身は東京に対して、ぼんやりとした憧れを抱いていますが、高畑さんは上京される以前、東京に対してどんなイメージをお持ちでしたか?

小さい頃から「舞台女優になりたい!」と思っていたので、東京にはきっと、大阪よりは多くのチャンスが転がっているだろうとは思ってました。

――東京という街自体に憧れは?

なかったです。「絶対に大阪のほうがいい!」って思ってました。「大阪が首都になればいいのに」って(笑)。

――実際に上京されて、いまも東京で暮らしてらっしゃいますが、東京はどんな街ですか?

ドラマチックな街――ドラマが起こりやすいところなんだなって思います。私も含めて多くの人が、地方から夢を抱えて東京を目指してやって来て、実際に夢をかなえたり、挫折したりしてて…。そんないろんな人がいるからこそ、いろんな物語が生まれるんだなって。



――以前よりは東京を好きになりましたか?

なりました。好きです。何でもあって便利だし…あ、でも電車は混みすぎですよね(苦笑)。大阪も人は多いけど、混んでてもたかが知れてますから。電車が混みすぎてて乗れないことがあるって、びっくりしました!

――もともと“大阪愛”が強いようですが、故郷を離れてみて、改めて地元の魅力に気づかされることもあったのでは?

近所付き合いが多いですね、地元は。誰かが見ていてくれるという安心感はあります。ただ、コミュニティが小さいから、視野は狭まっちゃいますね、どうしても。狭い付き合いのなかで、誰かが大声で言ったことが、まるで大多数の意見のように聞こえてきちゃうところもあるかも。

――東京の生活は、逆に「コミュニティのつながりの希薄さ」がネガティブに語られがちですが…。

それはあると思います。でも、東京にいるといろんな人の意見が聞こえてきて、いろんな気持ちがあるんだなって気づかされます。だから、いろんな声のなかで自分をしっかりと保つのが難しいのかな…。地元だと、良くも悪くも生きていきやすいところがあるのかもしれないですね。



自分がTVでモノマネされて「有名人になったんだ…」



――高畑さんは現在進行形で、東京で夢をかなえ続けています。とくに、昨年は半年にわたって『とと姉ちゃん』(NHK)でヒロインを務められるなど、これまでにない大きな1年だったのではないかと思います。そこから少し時間を経たいま、朝ドラ以前との変化は感じられていますか?

そうですね、とくに周りの環境ですね。何だろう…? 私のことを知っている人が増えたんだなって。TVで私のモノマネをしてくれてた人がいて…。モノマネをするってことは、それを見て「似てる!」とか感じる人がいるってことで、私のことを知ってるってことですよね? それを見たとき「あぁ、有名人になったんだな」って思いました。

――口ぶりから、ご自身ではあまりその実感がわいていないようですが…?

身近なところでの変化というのは、そこまで感じていないんですよね。ごく近いところでは、これまでとあまり変わってないんですけど、少し離れたところで多くの方に知ってもらえてるんだなと。正直、去年まではそこに追いつけていなくって。

――何より作品に没頭されていたので、周囲の喧騒にまでは意識が回らなかったところもあるんでしょうね。

「私自身は生活も含めて何が変わったわけでもないんだけど、なんかエラいことになってるな…」くらいの(笑)。それが今年に入って…。



――ようやく気持ちが実情に追いついてきた?

“取り戻しつつある”という感じかなあ…? 朝ドラのイメージもあって、どこかで「元気で明るくいなきゃ!」みたいに思っている部分もあったんだと思います。それが、今年に入ってほとぼりが冷めて、「あ、いいのか、私らしく自分のペースで」と、また思えるようになってきましたね。

――怒涛の日々が終わりを告げて、少し落ち着いて…。

朝ドラまでは、ガーッと全力で走り続けてやってきて、1年を駆け抜けたんだなと…。いまはもう一度、立ち止まってリセットして、また新しくスタートを切って、ここから始められたらいいなと思ってます。



「人生、何が起こるかわかんない」25歳の現実に驚き



――いま、ちょうど20代の折り返しとなる25歳ですね。女優になることを夢見ていた頃、25歳で現在の場所に立っている未来を思い描いていましたか?

全然! 私、あまりTVや映画を見ない子どもだったんです。舞台やミュージカルが大好きで、舞台女優として細く長く続けていくというのが夢だったんですよ(笑)。そんな自分が朝ドラのヒロインをやらせてもらったり、CMに出ることになるなんて…。

――思いもよらなかったメインストリームのど真ん中?(笑)

まさかです。こんな未来予想図は想像すらしてなかった(笑)。びっくりです。人生、何が起こるかわかんないんだなって、いまだに思ってます。不思議ですねぇ…(笑)。

――先ほども、東京で自分を保ち続けることの難しさについてお話されてましたが、忙しい日々のなかで、仕事以外の時間で大切にされていることがあれば教えてください。

やっぱり、周りの景色がどんなに目まぐるしくても、昔からの友達や身近な人たちとの時間って変わらなくて。ご飯を食べたり、飲んだりしながら、ああだこうだと話をする時間って楽しいです。ちょっとでも時間が空くと、すぐに遊んでくれる人を探してます(笑)。



【プロフィール】
高畑充希(たかはた・みつき)/1991年12月14日生まれ。大阪府出身。AB型。2005年、山口百恵トリビュート・ミュージカル『プレイバック part2〜屋上の天使』のオーディションで主演の座を獲得し、女優デビュー。2007年から6年間にわたり『ピーターパン』で主役を務める。2007年の映画『ドルフィンブルー フジ、もういちど宇宙へ』出演以降、『女子ーズ』、『アオハライド』、『植物図鑑〜運命の恋、ひろいました〜』、『怒り』など多数の映画に出演。舞台では2016年、『青い種子は太陽のなかにある』で読売演劇大賞優秀女優賞を、同作と『いやおうなしに』の演技で杉村春子賞も受賞。2016年はNHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』に主演し、月9ドラマ『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(フジテレビ系)、映画『アズミ・ハルコは行方不明』にも出演。2017年は舞台『わたしは真悟』に続き、『エレクトラ』の上演、映画『泥棒役者』(2月20日)、『DESTINY 鎌倉ものがたり』(12月9日)の公開を控え、『いつまた、君と〜何日君再来〜』(6月24日)では主題歌を務める。
【Instagram】@mitsuki_takahata


■映画『ひるね姫 〜知らないワタシの物語〜』
3月18日(土)全国ロードショー!
http://wwws.warnerbros.co.jp/hirunehime/


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★★高畑充希さんのサイン入りポラを抽選で1名様にプレゼント★★

今回インタビューさせていただいた、高畑充希さんのサイン入りポラを抽選で1名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

■応募方法:ライブドアニュースのTwitterアカウント(@livedoornews)をフォロー&以下のツイートをRT


■受付期間:2017年3月16日(木)12:00〜3月22日(水)12:00

■当選者確定フロー
・当選者発表日/3月23日(木)
・当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、発送先のご連絡 (個人情報の安全な受け渡し)のため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
・当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから3月23日(木)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただきます。3月26日(日)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。

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