県立名護高等学校（沖縄）
■沖縄県優勝校を二度追い詰めた名護沖縄県名護市にある県立名護高校は1946年に田井等高等学校として創設。その後1948年に現在の校名に改称した。名護高校は部活動が盛んでバスケットボール部や陸上部、そしてラグビー部などが全国大会出場経験を持っている。
野球部は1972年の春・夏に甲子園に出場している。そんな名護は沖縄県の新人戦と昨秋の大会で優勝校の美来工科をあと一歩のところまで追い詰めるなど躍進を見せた。春と夏の大会では沖縄県の台風の目となることが予想される名護の冬の取り組みを追った。
■名護の基本情報現在部員は1年生23人、2年生23人の46人で活動し、グランドは女子ソフトボール部と相談しながら使用している。そのような環境の中でも結果を残した名護ナインのウリはいつでも声を切らさず、きつい時こそ全員で声を出すことができること、挨拶がしっかりできる、お互いでしっかりと言い合えるところだ。当たり前と言ってしまえばそれまでだが、その当たり前の積み重ねが大きなものとなり、お互いで言い合えるということが真のチームワークの良さを思わせる。
■粘り強さで美来工科を追い詰めた秋秋の新人中央大会では沖縄県の強豪興南を破り準々決勝まで進出するも、優勝校の美来工科に1点差で敗れた。さらに秋の県大会でも三回戦で美来工科と激突し、9回二死までリードしていたにもかかわらず延長戦の末サヨナラ負けを喫し、この2試合は選手たちの心に最も印象深く刻まれた。
主将の山下 明弘選手は「秋の大会の時に美来工科から先制した時は鳥肌が立ちました。しかし相手はバッティングがよく、点を取ってもすぐに取り返してきたので守っている時はとてもプレッシャーを感じましたね。そんな中でもエースの仲宗根 和輝がよく投げてくれて1桁安打で抑えてくれましたが、攻撃陣がエースの好投に応えられなかったというのはとても悔しく、この試合で打てなかった主軸の選手はとても責任を感じました」と悔しさをにじませた。
この秋は我慢強さが収穫としてあげられるのと同時にチャンスで一本でないところが課題であるとあげ「延長戦まで決着がもつれ込んだ時、ベンチでは常にチャンスが来ることを信じて今は我慢しようと心がけていました。しかしこれは相手も同じでチャンスで一本でなかった名護より美来工科の方が一枚上手だったと思います」とこの熱戦を振り返った。
山下主将は秋の大会で活躍した選手として、1番大城 海哉、2番宮城 公鳳、3番伊野波 盛矢、エースの仲宗根 和輝やそれをリードする捕手の西江 凌らの名を挙げ、春の大会では4番の仲間 陸にも期待していると話してくれた。さらに「チーム内にはメリハリができる選手、険しい道を選ぶことができるストイックな選手、辛い状況でも声を絶やさず、人知れず努力している選手が多数いるので、その選手たちがいざという時、大事な時にチームを救ってくれると信じています」と力強く語った。
■厳しい選択肢を選び続けるオフシーズンの取り組み山下主将は、秋の戦績を越えるためには「プレイ以外のことから徹底し、その次に技術面を鍛えていきたい。守備では取れるアウトを確実に取れるようにし、攻撃では全員がチャンスに強くなり、足を磨いていきたい」と答えてくれた。
これらのことを体得するためにはまずはチーム全員が身長-体重が100になるようにしてスイングスピードを速くすることが目標。そのためにもチーム内では捕強と呼ばれるタイヤ押しと手押し、タイヤ持ちといったトレーニングやダイヤモンドを3周するサーキット、室内での素振りや階段、体幹トレーニングなどに取り組んでいる。
春の大会では最低でもベスト4以上、夏の大会では沖縄県で優勝し甲子園出場すること。「目標実現のために自分たちに楽な選択肢はありません。この冬は、特に2年生は自分を追い込み、どんなにきついメニューでも手を抜かず全力で取り組みオフシーズンが終わってやり残したことがないようにしっかりと頑張りたい」と熱く語った山下主将。
春の大会と夏の大会では美来工科にリベンジを果たし悲願の甲子園出場を遂げられるかに多くの注目が集まる。
1球の大切さを知るエースと4番副主将の仲宗根 和輝選手と仲間 陸選手にお話を伺いました。
仲宗根 和輝選手（県立名護高等学校）
Q. この秋を振り返って、見つけた課題を教えてください。
仲宗根：1球の大切さを改めて感じました。仲間：勝負に弱いところですね。主にバッティングでこの場面で打てば流れば変わるという場面や、試合が決められる場面で打てなかったので。
Q. この冬はどんな冬にしていきたいですか？
仲宗根：好機で1本打てるようになる。先発完投できるように下半身で期待上げ、精神的にも大きく成長する冬にする！仲間：勝負強さや技能面だけでなく、メンタルの部分でもさらに強くして自分に自信がつくような冬にしていきたいと思います！
仲間 陸選手（県立名護高等学校）
Q. 野球をする上でモットーにしている、好きな言葉は何ですか？
仲宗根：初志貫徹です。仲間：感謝です。
Q. このチームの好きなところ、または他のチームに負けていないところはどんなところですか？
仲宗根：1球の大切さ、怖さをどのチームより知っているところです。全員が主将の気持ちできつい練習でも支え合って頑張ることができるところですね。仲間：元気が良く、雰囲気も良くて、一人一人個性が強く面白いところです！試合になると雰囲気が良く、チームワークも良いので何かすごい力を持っているんじゃないかと思います。
Q. このオフシーズン、『自分はここまで成長するぞ！』というこの冬の熱い宣言を最後にお願いします！
仲宗根：MAX150キロ以上！仲間：勝負強い4番に！！
強打自慢の選手たち（県立名護高等学校）超攻撃型野球を目指して最後に田原 伸繁監督にお話を伺いました。
Q. 今年のチームは、新チームが始まってから、どんなテーマを持ってチームを作り上げてきましたでしょうか。秋の大会の振り返りならびに、冬でのテーマも教えていただけたら幸いです。
”攻撃は最大の防御なり”打って走って攻めまくる”超攻撃型野球”を目指してチーム作りをしています。5回10点差、7回7点差、9回5点差をつけて最後の守備に入ることを理想の試合展開としています。”打ち勝つ野球・走り勝つ野球・攻め勝つ野球”を目指しています。
新人大会準々決勝では優勝した美来工科高校を9回裏二死2ストライクまで2対1で追い込みながら、悪夢の逆転サヨナラ負け。秋季大会も3回戦で同じく優勝した美来工科高校に2対3で延長10回さよなら負けを喫し、悔しい思いをしている。優勝を手にしているが捕まえきれなかった思いをしている。「あと少しだ」と選手たちに、そして「自分自身」に言い聞かせて送る日々です。優勝には確実に近づいている。諦めずに頑張るしかない。
Q. 最後に、これから厳しい冬のトレーニングに挑む選手たちへメッセージをお願いします。
新春に開催される沖縄県野球部対抗競技大会に総合5位以内。春季大会で4強以上、九州大会出場。選手権沖縄大会に優勝し、甲子園大会に出場して名護高校の校歌を歌うことを目標に頑張ろう。新人大会、秋季大会ともに悔しかっただろう。あと一球で勝利だった。あと1点で勝利だった。悔しくて、負けた日の夜は眠れなかっただろう。怒りのやり場がなかった。
しかし、確実に沖縄の頂点は見え隠れしている。あと少しで届きそうな位置にいる。あと少しで掴みかけている。粘り強く、根気強く頑張っていこう。この冬を越えたら「沖縄にこのような馬力と破壊力のある超攻撃型野球で守りも堅く、粘り強いチームがあるのか」と皆が驚くようなチームを作り上げよう。皆で一緒に45年ぶりの甲子園大会に出場しよう。
田原監督、名護高校野球部の皆様、ありがとうございました！
今年も大好評！【冬が僕らを強くする 特設ページ】各チームのページ下部にあるフォトギャラリーもお見逃しなく！
