今年は大物選手の移籍が相次いでいますが、その中でも中村俊輔選手がチームを移ることは大きな話題です。選手としては少しでも自分を高く評価してもらえるチームでプレーするのは当然のこと。今回の中村選手の選択は、ごくごく普通のことだと思います。

僕も横浜フリューゲルスからヴェルディに移籍したときは、当時の移籍最高額だったこともあり、ニュースになりました。移籍を決めるまでも大変でしたが、実際は移籍した後がさらに混乱しました。

当時のヴェルディは個性的な選手ばかりが集まった独特な雰囲気で、まずそれに慣れるのが大変でした。そして注目を集めた分、少しでもプレーの質が悪いとバッシングが集中し、そのために自分のプレーを見失う時間が続いてしまいました。

ただ、僕と中村選手が違うのは、年齢から来る経験です。たぶん、中村選手はキャンプの間だけで他の選手の特徴をしっかりと把握できるでしょう。そしてその選手たちを生かすプレーを自分の中で組み立てるはずです。馴染むのに時間はかからないと思います。

それに名波浩監督が、中村選手の使い方をしっかりわかっているだろうということもプラス材料です。中村選手がいい部分を出せるように工夫してくれるでしょうし、きっと中村選手に対しては「好きなようにやれ」と自由を与えてくれるのではないでしょうか。

さらに、セットプレーなどの「飛道具」はどんな場面でも役に立つはずです。もし、流れが悪くても一本のFKで戦況を変えることができるのですから、すぐチームにとって不可欠な存在になれるでしょう。

それでも、不安材料もあります。最初の2、3試合で結果が出ないと、非難される可能性は間違いなくあります。中村選手自身も責任感を感じてしまうでしょうし、それがプレーに影響するかもしれません。そのワナに陥らないためには、勝利とともに、中村選手のアシストがゴールが生まれること。それで磐田の今季がグッと明るくなるのは間違いありません。