「ベスト・コンディション」で試合に臨むために自分のコンディショニング方法を考えよう!

写真拡大 (全2枚)

 こんにちは、アスレティックトレーナーの西村 典子です。

 遅くなりましたが、新年あけましておめでとうございます。2017年のシーズンに向けてそれぞれがスタートを切っていることと思います。今年も皆さんに役立つコラムをお届けしたいと思いますので、お付き合いのほどどうぞよろしくお願いいたします。さて今回は普段からよく使っている「コンディショニング」という概念について、そしてセルフコンディショニングの重要性について改めて考えてみたいと思います。

野球選手に必要なコンディショニングとは

野球のプレーを行うためによりよい状態に近づけることが大切

 現在ではスポーツの現場で当たり前のように出てくる「コンディショニング」という言葉ですが、皆さんはどのように理解をしているでしょうか。野球選手にとって自分の持てる力を十二分に発揮できる状態が「ベスト・コンディション」であり、その状態に近づけること、あるいはその状態を維持するために行うことすべてが「コンディショニング」という分野に入ると考えられます。

 コンディショニングとは身体のこと(体力的なもの、メディカル的なもの、疲労のマネジメント等)だけではなく、技術面やメンタル面などさまざまな要因をよりよい状態にしていくことであり、それを他人にゆだねるのではなく、出来ることは自分で行うものが「セルフコンディショニング」と呼ばれています。

 難しいスポーツ医科学やトレーニングの知識はわからなくても、「練習後の疲労回復にはどのようなケアをすればいいか」「筋力を強化するためにはどのような練習をすればいいか」「今の技術レベルをより高めるためには何に取り組むべきか」といったことを自分なりに理解し、実践していくことが大切になってきます。インターネットが爆発的に普及した現在は、こうしたコンディショニングに関する情報は比較的すぐに手に入りますが、一方で何が正しいのか、自分には合わないものなのかといったことを判断するのは難しい側面もあります。

 そこでセルフコンディショニングとして自分の身体を使って学んだ知識を活かして、まずは実践してみることが一番わかりやすいと思います。実際にやってみて「自分に合う、合わない」がわかると、またそこから工夫して違うアプローチ方法を試していくことが出来るでしょう。

プロ野球選手のコンディショニング

 たとえばプロ野球選手が実践するコンディショニング方法について、同じことを実践すればよい結果が得られる場合もありますが、一方で自分には合わずよい結果が得られなかった…ということはよくあることです(特にトレーニング方法など)。コンディショニングとはある一面だけを追いかけても望ましい結果を得られるとは限りません。プロ野球選手のもつ体力ベース(身体面)、メンタル面、技術レベル(スキル)は当然違ってきますので、さまざまな要因について少しずつ近づけていくようにすることが大切です。

 また経済的な面でプロのアスリートが自分の身体にかける「投資」は、高校生とは比較にならないものであることが多いので、自分の出来る範囲で自分の身体や気持ちなど、自分自身と対話をしながら行っていくことが望ましいといえるでしょう。

野球の優先順位を高める

日常の行動基準を「野球選手として」考えるようにする

 野球のパフォーマンスがよりよい状態になるためには、毎日の生活の中で、野球の優先順位を高めることが求められます。野球の優先順位が高い選手であれば、「睡眠不足は翌日の練習がつらくなるので、早めに休むようにしよう」とか「トレーニングの後なので、ここでしっかり食べて身体を大きくしよう」といったように、行動基準が野球選手としてどうあるべきかということに集約されます。

 自分でコントロール出来るものと出来ないもの(たとえば試合日程、対戦校、チームの練習内容等)がありますが、コントロール出来るものについては「野球選手として、よい状態に近づけられるように準備する」と決めて、実践していくとセルフコンディショニングの意識も高まると思います。

 新しい年の始めに野球における目標設定を野球ノートに書き残しておくこともよいですね!今年一年、野球が上手くなり、ケガをしないで高校野球生活を送ることができるように、まずはセルフコンディショニングをどんどん実践していきましょう。

【野球選手のコンディショニングを考える】●自分の持てる力を十二分に発揮できる状態が「ベスト・コンディション」●「ベスト・コンディション」に近づけること、その状態を維持するために行うことが「コンディショニング」●コンディショニングの情報は玉石混交。まずは出来る範囲で試してみる●プロ野球選手が行うコンディショニング方法がすべての人に合うとは限らない●日常生活において野球の優先順位を高めよう

(文=西村 典子)

次回コラム公開は1月30日を予定しております。

注目記事・【1月特集】「2017年は僕らの年に!」