北海道日本ハムファイターズ 中田 翔選手(大阪桐蔭出身)「野球に特化したトレーニングを追求しよう」【後編】

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 日本一を達成した北海道日本ハムファイターズの4番を打つ中田 翔選手。前編では、フォームチェンジを恐れない中田選手の考えは1人のプロ野球選手としての考え方として学ぶものがありました。後編では、中田選手のトレーニングの考えについて迫っていきます。

トレーニングは単純な箇所を鍛えるのではなく、総合的に鍛えるもの

中田 翔選手(北海道日本ハムファイターズ)

 前編の最後でトレーニング内容を紹介していったが、とにかく機能的なものであった。最後に行ったコアトレーニングもただ筋力を強化させるのではなく、効果的に力を出せることにも繋がる行い方をしていた。ダンベルプレス、バーベルアームカールを10〜13回×2セットの他、たとえば両手を水平に広げて直立し、片足でバランスを取りながら、上半身をゆっくりと前傾させて水平になったところで止め、また最初の状態に戻すというドリル。

 これは初めから体幹に力を込めて上体を傾けていくのではなく、少しずつ骨盤を締めていきながら内転筋と腹筋の力を入れる度合いも徐々に強めていくのだという。そうすることで筋肉の扱い方がうまくなり、バッティングならインパクトの瞬間だけ100パーセントの力を発揮する感覚をつかむことなどに結びついてくるという。いずれも野球のパフォーマンスに繋がるものばかりだった。

――トレーニングはかなり野球に特化したものなのですね。

中田 翔(以下「中田」):そうですね。トレーナーのケビン山崎さんとやっているのは、すべてバットを振る中で使う箇所を強化していくというもの。単にダンベルを持ってとか、体幹を強化しますとか、そういうトレーニングではないですね。今日は特に股関節や内転筋。上半身との連動を意識した下半身メインのメニューでした。あとは当然、シーズンを戦い抜く強い体を作るということもオフの期間中の大切な目的です。怪我に強い、疲労にも強い体。もちろんキャンプに行ってからもトレーニングはするので、その土台作りですよね。今のうちに体幹だったり、普段、鍛えにくいところを多めに入れてやっています。基礎トレーニング、体力面の強化。バットスイングとかはまだ軽くするくらいで、1月からみっちり振り込む予定です。

――トレーニングをより効率的に行うために工夫されていることなどはありますか。たとえば道具にこだわってみたり。

中田:野球をやっていく上で、道具を選ぶことも大切だと思います。グラブにしてもそうですし、スパイクにしてもそう。トレーニングをするときでもいいアイテムがあれば、それはすごく助かりますよね。今のような寒い時期に体を動かすなら体の温まりが早いウェアとかいいですよ。今日も契約しているナイキの「ハイパーウォーム エアロロフト」というウェアを着ていますが、すごく着やすいし、汗もしっかりかける。同じことをやるのでも、より効果が上がった方がいいじゃないですか。アイテム選びは大事にしていますね。

機能的なトレーニングは早めに知った方が良い

中田 翔選手(北海道日本ハムファイターズ)

――この時期は高校生にとっても秋の大会が終わって、春の大会に向けての“変われる”期間だと思います。施設や環境面は様々ですし、中田さんのような高度なトレーニングはできませんが、トレーニングをするときにどんなことを大事にすべきでしょうか。

中田:僕は高校生のときは寮生活だったので、毎日のようにウエイトトレーニングをすることができましたけど、やっぱり重いものを上げたり、スクワットだったりとか、そのレベルでした。当たり前ですけど、今のようにたくさんの機械や器具があるわけではないですし、内容も全然、違いました。今の高校生のみんなもそういう感じなのかなと思いますけど、いろいろな知識をつけて、早いうちにいろいろなトレーニングを覚えるというのは、僕はすごくいいことだと思います。もし高校のときに今やっているようなメニューを知ることができていたらなってやっぱり思いますから。

――知っていたら高校通算100本は超えていましたかね。

中田:100本は越えているでしょうね、間違いなく(笑)。そういう野球に繋がるトレーニングというのは重要だと思います。

――機能的なトレーニングをすることの大事さが伝わって、高校生の意識が少しでも変わればいいですね。

中田:そうですね。それにウエイトトレーニングやトレーニングに対して興味が出てくる子が増えてくれれば嬉しいですね。体の成長は高校生くらいから一気に伸びてくると思いますから、技術だけでなく、体の部分で他の選手と差をつけるというのもありですよね。その時期にどれだけ的確なトレーニングをするかで、その先も変わってきます。プロに入ってから感じるんですけど、高校のときからしっかりウエイトトレーニングをしている選手は、今も体が大きい。逆に高校であまりやらなかった選手は体の線が細い。もちろん全員が全員そうというわけではないですけど、そうやって後々にも違いが出てくるのかなと思います。あとは自分の体は自分が1番よくわかると思うので、怪我をしないように取り組んでもらえたらと思います。

――最後に高校生へのアドバイスを。

中田:仲間たちと切磋琢磨して、純粋に野球を楽しむというのは根本にあるとは思いますけど、チームメイトとはいえ、ライバルはライバル。僕は仲良しクラブは草野球だけでいいと思う。真剣に勝負をした中で、たくさんの経験して、その中でいろいろなものが芽生えてくると思う。僕は本当に負けず嫌いで、誰にも負けたくないというのが子供の時からありました。誰かが100回バットを振ったら、僕は200回振っていましたから。やっぱり誰にも負けたくないという気持ちは大切ですし、野球をやっている以上はずっと持ち続けてもらいたいですね。

(インタビュー・文/鷲崎 文彦)

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