2017年の景気の懸念材料として、約4割の企業が「米国経済」を挙げていることが、帝国データバンクの「2017年の景気見通しに対する企業の意識調査」で明らかとなった。

 2017年の景気について「回復」を見込む企業は11.0%で、2016年見通し(2015年11月調査)とほぼ同水準だった。

 「悪化」(20.0%)や「踊り場」(37.9%)局面を見込む企業が減少した一方、「分からない」が調査開始以降で初めてと3割を超え(31.1%)、先行き見通しに対する不透明感が高まっている。

 規模別でみると、「悪化」と見通す企業の割合は「小規模企業」が「大企業」より5.5ポイント高く、規模の小さい企業ほど厳しい見通しを示していた。

 業界別では、「小売」の「回復」と見通す企業の割合が4.7%と最も低く、「農・林・水産」も7.1%と1割未満にとどまった。

 両業界とも「回復」が「悪化」より20ポイント以上低くなっており、個人消費や農林水産関連で特に厳しく見込んでいる。

 2017年の景気に悪影響を及ぼす懸念材料は「米国経済」が41.8%で前年から30.1ポイントの大幅な増加となり最も高かった。2位は「原油・素材価格(上昇)」(28.5%)、3位は「人手不足」(28.4%)だった。

 「人手不足」は前年から2.8ポイント増。建設業(46.6%)、運輸・倉庫業(43.4%)では4割を超えておろ、深刻になっている。

 前回トップだった「中国経済」は前年比25.4ポイント減の21.0%、前回まで2年連続で2位だった「消費税制」は同25.1ポイント減の12.6%で、景気の懸念材料はこの1年で大きく様変わりした。【2017年の景気に悪影響を及ぼす懸念材料 トップ5】
1位 米国経済 41.8%
2位 原油・素材価格(上昇) 28.5%
3位 人手不足 28.4%
4位 為替(円高) 26.5%
5位 中国経済 21.0%

 今後、景気回復のために必要な政策は「個人消費拡大策」が42.9%と5年連続のトップとなった。

 次いで「所得の増加」(38.5%)、「年金 問題の解決(将来不安の解消)」(32.7%)、「個人向け減税」(32.6%)、「公共事業費の増額」(31.9%)、「法人向け減税」(30.6%)、が3割を上回った。

 政府の成長戦略の柱となる女性活躍に関しては、「出産・子育て支援」(20.5%)や「介護問題の解決(老人福祉、介護離職など)」(18.3%)が2割前後となった。

 2016年の景気は「回復」局面だったと判断する企業は5.7%となり、前回調査(2015年11月)から1.8ポイント減少した。

 「踊り場」局面とした企業は53.9%と2年連続で5割超、「悪化」局面は19.3%と前回とほぼ同水準、「分からない」は21.0%と調査開始以降で最も高かった。

 調査は、2016年11月16日〜30日、全国2万3850社を対象に実施し、1万110社の有効回答を得た。(回答率42.4%)