2016年中に平均賃金を引き上げた企業が8割以上となり、中堅・中小企業の改定額が前年を上回ったことが厚生労働省の「賃金引上げ等の実態に関する調査」で分かった。

 2016年中の賃金改定の実施状況(9〜12月予定を含む)は、「1人平均賃金を引き上げた・引き上げる」は86.7%(前年85.4%)、「1人平均賃金を引き下げた・引き下げる」は0.8%(同1.2%)、「賃金の改定を実施しない」は7.1%(同8.4%)となった。

 「1人平均賃金を引き上げた・引き上げる」は前年より上昇し、「1人平均賃金を引き下げた・引き下げる」と「賃金の改定を実施しない」は前年より低下した。

 2016年中の1人平均賃金の改定額は5176円(前年5282円)、1人平均賃金の改定率は1.9%(同1.9%)となった。平均賃金の改定額は過去4年間は前年を上回っていたが、2016年は前年を下回った。

 企業規模別にみると、1人平均賃金の改定額は5000人以上の企業で5683円(前年7248円)、1000〜4999人で5434円(同5999円)と大企業は前年を下回った。

 一方で、300〜999人は5319円(同4633 円)、100〜299人は4482円(同3947円)と中堅・中小企業は前年を大きく上回った。

 1人平均賃金の改定率は5000人以上の企業で1.9%(前年2.2%)、1000〜4999人で1.8%(同2.0%)、300〜999人で2.0%(同1.8%) 100〜299人で1.8%(同1.6%)だった。

 2016年中の賃金改定が未定以外の全企業のうち、管理職の定期昇給制度がある企業で定期昇給を「行った・行う」は68.1%(前年69.9%)、「行わなかった・行わない」は5.0%(同6.1%)となった。 一般職の定昇制度がある企業で定期昇給を「行った・行う」は78.4% (前年77.6%)、「行わなかった・行わない」は3.3%(同5.5%)となった。

 定期昇給を行った企業は、管理職、一般職ともに前年を下回る結果だった。

 定期昇給制度がある企業で定期昇給とベア等の区別がある企業で「ベアを行った・行う」は、管理職で17.8%(前年20.5%)、一般職で23.3%(同25.0%)となっている。

 賃金の改定を実施または予定していて額も決定している企業について、賃金の改定の決定に当たり最も重視した要素は「企業の業績」が51.4%(前年52.6%)と圧倒的だった。

【賃金の改定の決定に当たり最も重視した要素 トップ5】
1位 企業の業績 51.4%
2位 労働力の確保・定着 11.0%
3位 親会社又は関連(グループ)会社の改定の動向 5.9%
4位 雇用の維持 4.6%
5位 世間相場 4.2%
(重視した要素はない 15.7%)

 調査は、2016年8月、全国の企業約3500社を対象に郵送で実施し、常用労働者100人以上の企業1709社の有効回答を集計した。