政府は“地方創生”を目指しているものの、本社を地方へ移す企業が増えていないことが、帝国データバンクの「1都3県・本社移転企業調査」で分かった。

 2016年の1月〜9月は、1都3県への転入が225件、転出が164件となり、転入企業が転出企業を上回る状況が続き6年連続で転入超過になると見込まれている。

 転出企業は前年の同時期と比較して18件(9.9%)減少しており、年間でもピークだった2001年の概ね3分の2の水準にとどまるとみられている。

 1都3県への転入企業は、2003年からほぼ一貫して転出企業を上回っていた(2009年・2010年を除く)。

 とりわけ、2015年は転入企業335件、転出企業231件となり、1991年以降で最大となる104件の転入超過となっていた。

 帝国データバンクでは、2016年も転入超過が継続するとみられる背景として「優秀な人材を確保するために労働力人口が集中する立地を選択する企業の経営戦略があると考えられ、近年課題となっている“人材不足”問題が企業移転トレンドに影響を及ぼしている」と分析している。

 2016年9月までに1都3県へ移転した企業の転入元を道府県別にみると、大阪府が53件(構成比23.6%)で突出して多く、次いで愛知県(20件、同8.9%)、北海道(17 件、同7.6%)などが続いた。

【1都3県へ移転した企業の転入元トップ10】
1位 大阪府 23.6%
2位 愛知県 8.9%
3位 北海道 7.6%
4位 静岡県 7.1%
5位 福岡県 5.3%
6位 茨城県 4.9%
7位 群馬県 4.4%
7位 兵庫県 4.4%
9位 宮城県 3.6%
9位 岡山県 3.6%

 2015年と比較すると、1位の大阪府から4位の静岡県まで構成比が増加するなど、1都3県に転入する地域が前年より集中している様子がうかがえる。

 一方、2016年9月までに1都3県から転出した先で最も多かった地域は茨城県の22件(同13.4%)。以下、静岡県(16件、同9.8%)、大阪府(15件、同9.1%)などが続き、上位5府県への転出が全体の45.7%を占めた。

【1都3県から転出した企業の転出先トップ10】
1位 茨城県 13.4%
2位 静岡県 9.8%
3位 大阪府 9.1%
4位 群馬県 7.3%
5位 愛知県 6.1%
6位 栃木県 4.9%
6位 兵庫県 4.9%
8位 北海道 3.7%
8位 宮城県 3.7%
8位 新潟県 3.7%

 2015年と比較すると、茨城県への転出が2016年9月までの9カ月間で前年を上回るなど、移転先の集中も進んでいた。