2016年の世界のR&D支出トップ1000社のR&D支出額は6800億ドルで、前年比0.04%増の微増だったことがPwCの戦略コンサルティングを担うStrategy&(東京・千代田、今井俊哉代表)が実施した「グローバル・イノベーション調査」で分かった。1000社の売上高は16兆ドルで前年比11.8%減だった。

 R&D支出が最も多かったのはフォルクスワーゲンで132億ドル、次いでサムスンが127億ドルとなり、上位2社は前年と同じだった。

 一方、3位には前年7位だったアマゾンが、4位には前年6位だったグーグルが順位を上昇させた。日本企業ではトヨタが10位という結果だった。

【2016年調査R&D支出額 トップ10】(単位は10億ドル)
1位 フォルクスワーゲン 13.2
2位 サムスン 12.7
3位 アマゾン 12.5
4位 グーグル 12.3
5位 インテル 12.1
6位 マイクロソフト 12.0
7位 ロシュ 10.0
8位 ノバルティス 9.5
9位 ジョンソン・エンド・ジョンソン 9.0
10位 トヨタ自動車 8.8

 世界のトップ1000社に日本企業は165社がランクインした。R&D支出額は合計1010億ドルで米国に次いで2位だったが、R&D支出額は8%減、ランクイン企業数は16社減とともに昨年と比べ減少。特に、ランクイン企業数は調査開始の2005年の276社から100以上減っている。

【2016年調査R&D支出額 日本トップ5】(単位は10億ドル)
1位 トヨタ自動車 8.8
2位 本田技研工業 5.5
3位 日産自動車 4.4
4位 ソニー 3.9
5位 パナソニック 3.8

 R&D支出額を産業別に見ると、多い順にコンピュータ・エレクトロニクス(24.0%)、ヘルスケア(22.1%)、自動車(15.4%)、ソフトウェア・インターネット(12.9%)となった。

 2005〜2016年のR&D支出成長率はソフトウエア・インターネットが15.4%と最も高く、このまま推移すると2018年にはソフトウエア・インターネットは自動車を抜き3位の業界になると見込まれている。

 また、ヘルスケアのR&D支出成長率は3.6%増で、2018年にはコンピュータ・エレクトロニクスを抜いてトップになる可能性が高い。

 R&D支出の対象比率は、ソフトウエアやサービスが2010年に54%だったのが2015年には59%に増加しており、今後2020年までには63%に増加するもようだ。

 一方、製品ハードウエアの比率は2010年に46%、2015年には41%に減少しており、2020年にはサービスより少ない37%にまで減少すると予想されている。

 調査を行ったStrategy&のイノベーション・R&D担当プリンシパルのバリー・ヤルゼルスキ氏は、「従来型産業においてすら、ソフトウエアとサービスの増加は、ソフトウエア開発、製品関連データの収集・分析プラットフォームを提供できる人材採用増の動向を生み出した。この動向によって、ビジネススクールも既に提供するコースの種類を見直しているほどであり、教育、そして、より全般的な未来の雇用の両方に、甚大な影響を及ぼすであろう」と分析している。