キャリア&格安SIMの20GBプランで得する人、損する人の見分け方

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ソフトバンクの「ギガモンスター」に始まり、auの「スーパーデジラ」、NTTドコモの「ウルトラパック」。大手キャリアで月20GB以上の大容量プランを選べる環境が整いました。

一方で、11月からはFREETEL SIMが大容量プランを新設するなど、格安SIMにも大容量化の流れが起こりつつあります。これらの大容量プラン、キャリアと格安SIMのどちらがお得なのでしょうか?

 

■大手キャリアの大容量プランはどう変わった?

 

そもそも、大容量プランは従来から各キャリアで提供されていました。8月19日時点で、筆者がまとめた情報は下記の通り。

8月19日時点でのキャリアの通信プラン。料金は定期契約した場合(税込)。NTTドコモのシェアプランについては省略

 

しかし、9月8日にソフトバンクが「ギガモンスター」と称して割安な20・30GBプランを発表。他2社も追随したことで、かなり状況が変わりました。

 

10月12日時点におけるキャリアの通信プランの料金。濃い黒で塗りつぶした部分は新規契約が終了したプラン

 

各社ともに8GB以上の通信プランが整備されたのが分かります。20GBプランが従来の半額以下まで値下げしたことにより、元の8GBプランより安くなってしまったわけです。

つまり、いま通信プランを選択する場合には「5GBか?20GBか?」と悩むことになります。元々5GBプランを使っていて、毎月制限掛かって困っていたという人にとっては、1080円で15GB増えるなら大歓迎ですね。

しかし、それほどモバイル回線を使っていなかったのに、「1080円で15GB増えるなら……」とノリで契約してしまうと、ただ出費が増えてしまうだけになるかも。

 

■3キャリアの違いは通信制限

 

キャリア間の違いで一応チェックしておきたいのは、「通信制限」の有無です。

NTTドコモとソフトバンクでは、数日間でそこそこ通信量を使っても月の上限さえ越えなければ制限はかかりません。

しかしauでは、3日間で6GBを超えると一時的に速度が制限されます。この制限に引っかかる人はあまりないと思いますが、auユーザーは一応覚えておきましょう。

auの公式サイトより、スーパーデジラの通信制限についての記載部分

 

ちなみに、テザリングオプションを利用する場合、月1080円が別途必要となります。各社無料キャンペーンを実施中で、au・ソフトバンクは2017年4月まで、NTTドコモは2018年3月まで無料となりますが、以降は有料になるので注意が必要です。

 

格安SIMの音声通話プランの相場は?

 

一方で、格安SIMにも大容量プランがあります。従来は月12GB以上のプランを提供していたのは、イオンモバイルとDMMモバイルの2社が代表的でした。

近日の動きでいえば、イオンモバイルが月額料金を値下げしています。また11月からはFREETELが新たに大容量プランを拡充することを明らかにしました。今後も動きがあるかもしれません。

月10GB以上使える代表的な格安SIMの通信プラン。価格表記は10月13日時点

 

格安SIMで10GB以上のプランをピックアップしてみました。

上記は全て音声通話対応のSIMを選択した場合です。また、通話定額オプションを提供しているサービスについては、5分/回まで通話料無料となるオプションを利用した場合も並列してあります。

なお、mineoとBIGLOBEについては、一か月に一定量までの通話分を安く購入できるという例外的な仕組みなので留意してください。またイオンモバイルの通話定額は制限時間が設けられていませんが、IP電話です。

 

■20GBプランを選択する場合は格安SIMの方が2000円前後安い

 

キャリアの場合、20GBで5分カケホーダイだと、8640円/月でした。これを考慮すると、通話定額オプションありの場合、FREETELの20GBプランなら月額で-1718円、イオンモバイルの20GBプランだと、-1642円安くなります。通話をほとんど利用しない人なら、通話オプションは不要となるので、それぞれ-2625円、-3262円安くなります。結構差がありますね。

 

大手キャリアのネットワークは格安SIMよりも安定だ

 

ただし、通信環境の安定性では大手キャリアに分があります。格安SIMは時間帯によっては速度が不安定になる可能性も……。月20GB使うのは、なかなか厳しい場合もあるかもしれません。値段差が2000円弱と小さいことを考えても、キャリアプランは有力な選択肢として残ります。

 

■10GBプランなら格安SIMのお得感はまだまだある!

 

10GBプランならどうでしょうか。「5GB出は足りないけど、20GBまで使わない」という人にとって、この容量は絶妙です。

IIJmioのホームページより。10GB以下のプランなら、格安SIMにも価格面で魅力がある

 

どの格安SIMを見ても、月額料金は通話定額込みで4000〜4500円の間に収まっています。キャリアの20GBプランと比べると、大体4000円/月安くなる計算です。これだけ割引額が大きくなると、多少通信が遅くなりがちな時間帯があっても、充分に選ぶメリットはありそうですね。

また、通話をほとんど使わない場合には、格安SIMだと3000〜3500円。キャリアの20GBプランと比べると、5000円/月以上安くなることもあります。

 

■結論

1)キャリアの月5GB(7560円/月)で満足している人

→なんとなく20GBプラン(8640円/月)に変えると損するので注意。
格安SIMで5GB前後のプラン(通話定額オプション込みで3000円/月程度)を選ぶ場合は4500円/月程度安くなる。

2)20GBを使い切れる人

→月20GBプランでは、格安SIM(通話定額オプション込みで7000円/月程度)の方がキャリア(8640円/月)にくらべて1500円/月程度安くなる。
→ただし、回線速度はキャリアの方が安定していることは理解しておきたい。

3)月10GBくらいがちょうど良いという人

格安SIMプラン(通話定額オプション込みで4500円/月程度)の方がキャリアの20GBプラン(8640円/月)よりも4000円/月くらい安くなる。
→通話の利用頻度が少ない人(通話定額オプションなしで3500円/月程度)は5000円/月以上安くなることもある。

 

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(文/井上 晃)

いのうえあきら/ライター

スマートフォン関連の記事を中心に、スマートウォッチ、ウエアラブルデバイス、ロボットなど、多岐にわたる記事を雑誌やWebメディアへ寄稿。雑誌・ムックの編集にも携わる。モットーは「実際に触った・見た人だけが分かる情報を伝える」こと。編集プロダクション「ゴーズ」所属。